*初恋*

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 バカップルの新妻ノート -お出迎え編ー no reason etc.
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「バカップル」
バカップルライフ

バカップルのHigh school life -Dの目撃-

 
 バカップルの新妻ノート -お出迎え編ー no reason etc.
同窓会編で出てきた謎の男D…もとい「たかし君」目線で高校時代を、というリクをいただきまして。
そういえば、慰安旅行編で看護師Aが出てきましたが、高校時代を振り返ったものでは第三者目線、それも名もなき人目線のものはないって気づきまして、楽しく書かせていただきました♪

まあ、Dの場合は「たかし」って名前があるようですけど(笑)

バカップルのカテゴリに相応しい、無意識バカップルとなっています。(多分)
覚悟の上お進み下さいませ。



バカップルのHigh school life -Dの目撃-




 あの同窓会の日、大変残念なことに俺は静かに失恋していた。
 まあ、薄々わかっていたというか……俺的には納得の結末だったんだけどさ。



 当時、俺は密かに気になっている子がいた。
 俺はA組、その子はF組。まあなんつーか、南極と北極くらい離れてるわけだ。
 可愛い子なんだよ。琴子ちゃんって言うんだけど……俺のクラスメートの、入江って男が好きでさ。
 媚びてるわけじゃない。ただ、いつも一生懸命だった。
 頭は良くないけど、人としては馬鹿じゃなかったんだよな。
 A組の女って、なまじ勉強ができるもんだからプライドが高くて、男からすると正直可愛げのない奴が多かったんだ。
 まあ、これも学年によるって話だし、たまたま俺のいる年がそうだっただけかもしれないけど。
 で、A組は毎年ほとんどが外部大学を受験するから、一年を通してピリピリしてた。そこに、ほとんど内部進学するF組の琴子ちゃんがのほほんと顔を出したら、一斉に非難の対象になっちまう。
 それは琴子ちゃんもわかってたみたいで、いつもドアの窓から顔だけ覗かせて、入江の顔を捜してた。
 そんなところも可愛かったんだよ。 
 俺は、参考書を見るフリをしながらいつも見ていたから、知っている。

 

 そう。
 そのせいで、見たくもないもの見ちゃったんだよなぁ…。



 あの日は、猛暑って言葉がぴったりな日だった。
 俺は図書室に用があって学校に来ていた。琴子ちゃんは、確かF組ならではの補習授業だったんだと思う。
 入江はテニス部の部活に出ていた。
 図書室からは、テニスコートがよく見えた。っていうか、グラウンド全体が見渡せたんだよな。
 窓の下には園芸部の花壇なんかもあって、素っ気無いベンチも置かれてた。通常登校のときなら、昼休みはこのベンチは女子で埋まってる。
 そこに、琴子ちゃんが座ってた。
 何を見てるかなんて、聞くまでもない。ここから真正面に見えるのはテニスコート――つまり、見ているのは入江なわけだ。
 この炎天下、座っているだけでもじっとり汗ばむはずだ。
 それでも琴子ちゃんはにこにこして、入江を見ていた。
 
 俺はさ、それで終わりだと思ってたんだ。
 入江のいるテニスコートが良く見えるとはいえ、それなりの距離がある。あいつが琴子ちゃんに気づいたとしても、わざわざ来ることはないと思ってた。
 ところが、来たんだよ。入江が。
 相変わらず偉そうにさ。

「…何してんだよ。熱射病になる気か?」
「ならないよ~。あたし、元気だもん!」

 そういう問題じゃない…よな。
 入江も多分そう思ったんだろうけど、それ以上何か言う気が失せたんだろう。ため息を零し、首にかけたタオルで汗を拭う。

「で?」
「うん?」
「その、怪しげなモノ何?」

 じろ、と入江が見た先には、タッパーに入った黄色い物体が見えた。
 確かに怪しい。
 でもよく気づいたな。俺はさっきから琴子ちゃんを見てたけど、全然気づかなかった。
 琴子ちゃんは入江が気づいたのが嬉しいのか、ぱああっと顔を輝かせると、あのね、と立ち上がった。

「レモンの砂糖漬けなの。スポーツした後に食べると疲れが取れるって」

 ほら、と蓋を取って、琴子ちゃんがタッパーを差し出す。
 やっぱり気遣いの出来る子なんだなぁ、と俺は感心してた。いや、俺のいるところからは、その中身の状態までよく見えなかったから。
 けど、入江はあからさまに顔を歪ませていた。

「お前…丸ごとのレモンをどうしろっつーんだよ」
「え?齧るんじゃないの?」

 …丸ごと入ってたのか。あんまりにも琴子ちゃんらしくて、俺は静かな図書館で一人ぷっと吹き出す。
 入江の怒声が聞こえた。

「齧らねぇよ!!」
「え、え、そうなの?どうしよう……あ、ハサミ…」
「レモン丸々1つをハサミで切り刻む気か?不器用なお前が?」
「うっ…」

 入江の目が細められる。うわ…あれは、俺でも怯むぞ。
 琴子ちゃんも「あー」「うー」と呻いていた。でも、せっかく作ってきたレモンの砂糖漬けに未練があるのだろう。
 少し泣きそうな顔になっている。
 さすがの俺でも食えないよなぁ、丸々1個のレモンなんて。
 そう思いながら、俺はちらちらと窓の外を覗っていた。
 琴子ちゃんは未練たっぷりにタッパーを見つめ、無造作に指を突っ込んでいた。
 細い指に、レモンと砂糖の混ざり合った汁が絡められる。
 琴子ちゃんはそれを入江の顔に突き出した。

「でもね、美味しいんだよ?舐めてみてよ」
「はぁ?」
「ほら、垂れちゃう!」

 ぐいぐいと指を押し付けられている入江は、どうするんだろう。
 俺なら。
 彼女でもなけりゃ、好きでもない女の指なんて口にしたくない。入江はどうなんだ?
 正直、入江の琴子ちゃんへの態度は冷たいくらいで、もう少し優しくしてやってもいいのでは…と思わずにいられないことも多い。実際渡辺なんかはそう言ったりしているのを聞いたこともある。
 俺はドキドキともワクワクともつかない気持ちで、入江の動きを見つめた。
 
 入江は、突き出された琴子ちゃんの指を少しの間見つめて、それからぱくりとその指を咥えた。

(……!)

 俺はものすごい衝撃を受けた。

「ね?美味しいでしょ?」
「…甘い」
「そりゃ、砂糖漬けだもん」

 琴子ちゃんはそう言って笑って、また汁を指に絡めた。そして、入江の口に突きつける。
 入江はため息を吐いてそれをまた舐め取ると、もういらない、と言った。
 琴子ちゃんは口を尖らせた。

「でも、まだここにレモン本体が…」
「齧らねぇっつってんだろ!」

 びし!と入江が琴子ちゃんの丸いおでこにデコピンをする。
 あれは痛そうだ…。
 入江が踵を返してテニスコートに戻っていく。琴子ちゃんは、黙ってそれを見送っていた。
 きっと彼女の中では、せっかく作ってきたレモンの砂糖漬けを食べてもらえなかったという悲しみがあるんだろう。
 でも、俺からすればそんなのは些細なことだった。
 だって、あの入江が、女の指から物を食ったんだぞ!?
 今から思えば、好きでもない…少なくとも、気になってもいない女の手からそんなことはしないよな。
 あれで無意識、本人が気づいてなかったって言うんだから、天才も恋愛に関しては凡人ってことか。







(そうだよ、あの時からすでに俺の立ち入る隙なんてなかったんだよ。忘れてたけど…)

 若干二日酔い気味で、鈍い痛みを訴える頭を抱えながら、俺はベッドの上で欠伸を噛み殺した。
 考えてみたら、あの頃の入江の態度も、この間の入江の態度も変わってないんだよな。
 琴子ちゃんに近づく男をさり気なく……残酷に滅多打ちにするところとか。
 あの後仕入れた噂によると、琴子ちゃんは6年にも及ぶ片思いの末に入江を結婚したらしいけど、6年も片思いをした原因の半分は、入江にあると思う。
 琴子ちゃんが入江しか見ていなかったのもね、そりゃ、もちろんあると思うよ。
 でも半分はさ。
 あの独占欲の塊が、それとわからない程度に睨みを利かせたからに決まってる。
 俺だって、伊達に3年間A組にいて、入江を見てきたんだ。あいつの性格はわかってるつもりだ。
 絶対、琴子ちゃんに近づく男を追い払ってたに違いない。


 あー、くそ!
 タクシーに乗り込む直前の、入江の勝ち誇った顔を思い出しちまった!
 その後の股間の痛みも!


 琴子ちゃーん、俺は絶対、君みたいな可愛い子を見つけてみせるからなー!



 END


無意識バカップルも大好物です☆

TOM様、リクありがとうございました!


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miyacoさん、こんばんは~!
無意識バカップルですか・・・面白いですね。
まだ“俺の女”でもないのに、入江は琴子に近づく男どもを潰しにかかってたであろうと、A組のDの推測・・・おそらく「当たり!」でしょう!
全く興味もない女の指はなめないだろ~?そうそう!
何気にエロを想像させる行為なのですが、
琴子は平気っぽいね(さすが琴子!)
第3者目線でのバカップル観察もほんと面白い!
次作も楽しみにしてます!

>naotti3様 

何こっち見てんだよ(怒)みたいな、言いがかりに近い(あ、でもこれは実際見てるから言いがかりではないのか)ものだとは思いますけどねwww
意外に琴子もこのときは何も考えてなくて、後で理美やじん子に指摘されて、きゃーって赤くなってる気がします。直樹は…何考えてたんだろ。自分で書いておいてなんですが、それ妄想したら面白そうですね(笑)

>たーくんママ様 

こんばんは!
バカップルにも色々あるみたいです(笑)でもこの、結婚前の無意識バカップルも、書いてて楽しかったです。だから、面白いと言っていただけて嬉しい!ありがとうございます(^^)
琴子もいい加減天然ですもんね♪きっと周囲に指摘されるまで、何とも思ってないと思います。
それはそれで最強なんですけどねぇ。
次もお楽しみいただけるといいなぁ…と願って。また遊びにいらしてください。お待ちしております!

拍手お返事 

>TOM様

TOM様が下さるネタ、どれも面白いから大丈夫です!もう私も楽しませていただいてしまって、本当にいいなかなぁと思いつつ、こんな美味しいネタをいただけるなんて・・と喜んでるんですよ~(^^)
高校生や、清里前のイリコトは青くてすっぱくて、無自覚バンザイだと思ってます☆指を舐めるなんて、普通やらないですよね。私ならドン引きします(笑)いや、ならイリコトにもさせるなよって話なんですが、あの二人ならアリかなぁ、と。無自覚を語るならやはり第三者目線に限るので、また書いてみたいです♪
次はどの辺りが狙い目かなぁ…ムフフ♪

臭マーキング 

      おはようございます。
 そりやぁ好かん女の指なんぞぉ舐めんよねぇ・・・。一度ならず二度も
さりげなく あっちゃこっちゃに威嚇してるみたいです直樹ったら・・・ 
琴子に何気に男払いの直樹臭つけてそう・・・。 カップルでもあんまり公衆でしないよねぇ・・。ニィシャァ~ 

 

無意識バカップルってその表現に大うけですww!
入江くん、自分の指でもそんな風にものを食べなそうなのに、
琴子のそのあまりに可愛らしい仕草についつい(ホイホイ?)つられてしまったのね。。ニヤリ
なんかいいなぁ~じわりじわり琴子が浸透していく感じが描かれて・・
こうして見事に彼は嵌ってしまったのですね。
自然と読んでて笑みがこぼれます♪

>吉キチ様 

臭マーキングって!タイトルで吹いてしまいました(笑)
意外にも直樹は「そういう羞恥心」がないようなので、その気になったら電車でもキスできるカップルになりそうですよね。実際そういうのがいると、私はイラッとする方なんですが、イリコトならばっちこい!でございます(^^)
直樹にマーキングされたら…そりゃ、他の男は寄ってこないですよねぇ(^^;

>たらこ様 

バカップルにも種類があるんですねぇwww書いた自分もびっくりです(笑)
琴子って、直樹ホイホイですよね。なんだかんだ言いつつも寄ってきて…本人には絶対言えませんけど。フフフ。
この力に逆らおうとして一人暮らししてみたりするものの、結局は無駄なんですよね。そこに至るまでの青い入江くんを、また少しずつ書いていけたらと思ってます♪
微笑ましく見守ってやってください~(^^)
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