*初恋*

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 拍手お返事(11/18~11/19分) バカップルの同窓会 -二人だけの二次会編-
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「二次創作」
短編

さくらんぼ

 
 拍手お返事(11/18~11/19分) バカップルの同窓会 -二人だけの二次会編-
ま、ま、間に合ったぁ~~~~!

数日前から頭に浮かんではいたんですが、同窓会の裏(笑)に専念してて後回しになっちゃってたのです。
そして気づいたら記念日前日…!
本当に間に合ってよかった…。



さて、この作品は最後の最後に琴美が出てきて、ちょっと死ネタ絡んでます。
苦手な方は、作中の「**********」より下を読まないようお願いいたします。読まなくても多分大丈夫だと思うので。

さくらんぼ



 明日、琴子は結婚する。
 ずっとずっと大好きだった、直樹の花嫁になる。
 それを前に、琴子は自分の部屋の片づけをしていた。
 明日の結婚式、そこから続く新婚旅行。それらが終わると、今琴子しか使っていないこの部屋は、直樹と使う夫婦の寝室になる。
 今日が独りで使う最後の夜だった。


「あ、手帳…」

 使い捨てタイプの手帳が出てきた。パラパラと捲ると、マンスリーのところは雑多な予定が書き込まれているが、ウィークリーのところは日記帳よろしく細かく書き込まれている。
 手帳は全部で5冊。6冊目は現在も使用中だ。
 懐かしくて、琴子はパラパラと開いてみた。

 高校一年。
『今日入江くんを見たよ!今日もやっぱりカッコイイ~!』
『また女の子に告白されてた…モテるんだな…。』
『入江くん、またトップだった。すごいすごい!あたしも早くA組になりたいな!』

 高校二年。
『今年もF組だった……まだ来年があるけど!入江くんのためだもの、頑張ろう!』
『入江くん、彼女いないのかな。あんなにあんなに素敵なのに…あたし、もうちょっと頑張っていいのかな?』
『今日は、やっぱり入江くんが好きって思った。』

 笑ってしまうほど、直樹一色の書き込み。
 琴子は我が事ながら、ぷっと吹き出した。
 今度取り出したのは、高校三年。この年は、琴子にとって重要な年だ。

 高校三年。
『振られた……受け取ってももらえなかった…酷いよ、入江くん~!!』
『震度2で家が崩壊とかってありえない!でももっとあり得ないのは、お世話になるのが入江くんの家ってこと!』
『入江くんが勉強教えてくれるって!おばさんに感謝!』・・・


 ああ、こんなこともあったな。
 そう思えるようなことがたくさん詰まっている。
 このどれかひとつが欠けてしまっても、今の琴子と直樹はいないだろう。
 酷いことも言われたし、琴子だって言い返していた。その歴史がいっぱい詰まった手帳。
 きっと、全部なんて書き残せていない。
 書くことすら辛くて、目を背けて眠ったことだってある。
 こうして見てみると、琴子と直樹の二人の歴史は長かった。






「お前、まだ起きてたの?」
「入江くん!」

 ふいに響いたコン、という短いノックに顔を上げると、部屋の入口に直樹が立っていた。
 帰宅したばかりらしく、手には脱いだジャケットと鞄を持っている。
 さすがに今日は、まともな時間に帰ってくることができたらしい。

「おかりなさい。今日は早く帰れたんだね」
「ま、さすがにね。明日が明日だから」

 それもそうだ。
 琴子は慌てて立ち上がり、直樹を部屋に招きいれた。あんな寒い廊下にいたら、風邪をひいてしまう。
 明日は大事な結婚式なのだ。
 直樹は琴子に引っ張られるままに部屋に入り、琴子の座っていたベッドに腰掛けた。

「何これ?」
「手帳だよ。高校一年の時からの…懐かしくて、見てたの」
「ふーん…見ていい?」
「いいけど…ちょっと恥ずかしいよ」
「何を今さら」

 直樹はベッドに並べられていた中から、適当な一冊を取った。
 つい先ほどまで琴子も見ていた、高校三年の時のものだった。

『入江くんとキスしちゃった!』

 のっけから、そんな言葉が飛び込んでくる。
 日付を確認して、直樹はぷっと吹き出した。琴子に好きでいるのをやめる、と言われて無性に腹が立って、衝動的にしてしまったあのキスのことだとすぐにわかる。
 そのことはしばらく日記のネタになっており、いかに琴子が振り回されたかが伝わってきた。
 直樹には人の日記を盗み見るような趣味はないものの、なるほど、これはつい見てしまうかも、と思った。
 一緒になって覗き込んでいた琴子も笑っている。

「懐かしいよね。ほら、この受験の時なんて、なんていうか、愛の共同作業?」
「罰ゲームの間違いだろ?」
「ひ、ひどいっ」

 憤慨する琴子に、直樹は掠めるようなキスをした。
 途端に口を噤み、琴子は赤くなる。まだキスを数える癖が抜けていないのか、膝の上に置かれた指が1,2,3と折られていく。
 その手を上から包み、直樹は琴子を抱きしめた。

「もう数えなくていいって言ったろ?」
「ん…」

 柔らかい琴子の唇を、直樹は何度も奪う。
 ついこの間教えたばかりの恋人のキスは、琴子のお気に入りになったようだ。
 探るように舌を差し入れると、柔らかな琴子の舌が遠慮がちに絡められた。

「ふ……ぁ…」

 琴子の小さな手が、直樹の背広を掴んだ。縋るように力がこめられ、直樹はさらに口づけを深める。
 ようやくキスを終えると、直樹は琴子を膝の上に抱え上げた。
 濡れて、ぽってりと腫れた琴子の唇を指でなぞる。

「お前、今も日記みたいに手帳使ってんの?」
「え?あ…うん」
「ふぅん」
 
 直樹がまたキスをする。今度は重ねるだけの、短いものだったけれど。
 ちゅ、ちゅと重ねられるキスに、琴子はうっとりと目を閉じた。
 そうすると、目裏に広がる世界がある。
 遠い未来を想像したりもする。
 その中で、琴子と直樹はいつも二人一緒だ。時々ケンカもするけれど、愛し合っていて。
 そして、笑顔で抱きしめあっている。


 大好きだよ、琴子―――あの雨の日、廊下で聞いた初めての言葉。
 大好きよ、入江くん―――高校一年のときから言い続けている言葉。


 それを、変わらず言い続けている、そんな未来。
 遠い遠い未来、そこに家族が増えているのだろうか。今はまだ、そこまで想像できないのだけれど。
 でも絶対に、幸せなはず…そんな予感でいっぱいだ。
 
「ね、入江くん」
「…なに?」

 キスの合間に話しかけると、思った以上に優しい声が返ってきた。
 ふふ、と琴子は笑う。

「あたし、ずぅっと入江くんと一緒にいたい。それで、ずぅっとこうして抱いててほしいの」
「へぇ?随分積極的じゃん?」
「ち、違うよ!そういう意味なじゃくって!」

 茶化された、と思って直樹を睨んだ琴子は、見下ろす彼の目が優しくてドキッとした。
 からかったのは言葉だけで、直樹自身はそんな風に思っていないのだとわかる。
 
「意味じゃなくて?」
「あ…え、と…」

 直樹の腕の中で、琴子はくらくらしてきた。
 あれほど大好きで、一度は諦めた人の腕の中にいられるなんて……この手帳のどこにも、そんな未来を想像したものはなかった。
 好きだ好きだと言いながら、どこかで諦めていたのかもしれない。
 それだけに、今、この幸せに眩暈がする。
 琴子はこく、と小さく喉を上下させると、直樹の広い胸に顔を埋めた。

「……大好き」

 琴子の頭上で、ふ、と直樹が笑う気配がする。 
 直後、琴子はきつく抱きしめられた。

「俺もだよ」
「……ん」

 何をするでもなく、ただそうして二人抱き合った。
 直樹がおじいちゃんになって、琴子がおばあちゃんになって。それでもこうしていたい、と思いながら。



 そして翌日。
 琴子は直樹の生涯ただ一人の「奥さん」になった。





             ***********





「琴美」
「あら、裕樹おじさん」

 仏壇に手を合わせていた琴美は、裕樹の声に顔をあげた。
 隣に座った裕樹は、仏壇に置かれた写真を見て目を細めている。

「写真、変えたのか」
「そうなの、やっぱりこの二人がバラバラに写ってるのは変な感じだったから」
「お兄ちゃんは琴子が本当に好きだったもんな」

 つい昨日まで、この仏壇には2つの写真が置かれていた。けれど、やっぱりどうもしっくりこなくて。
 なんだかんだ言いながらも結局母を手放そうとせず、常に隣に置いておきたがった父だったから、フレームとはいえ隔てるものがあるのはきっと不満だろうと思っていた。
 だから、思い切って変えたのだ。
 今仏壇には1つの写真が置かれている。
 老いて尚仲睦まじく、寄り添う両親。満面の笑顔の母と共に、父もまた優しい目をしている。
 実はこの直前の一枚は、父は仏頂面だった。けれどそれは対外的なもので、本当はこの目で母を見ていることを琴美は知っていた。だから、カメラを連写モードにしておいたのだ。
 騙された父は、最初の一枚だけ用意しておいた仏頂面で写ると、後はいつものように母のことを優しく見つめていた。
 それなら最初からその顔でいればいいのに、と呆れつつも、企みが成功したことで内心ほくそ笑んだものだ。


 本当に、素直じゃない人だった。
 卵の殻入りの卵焼きをヘタクソと言いつつ完食し、裾を焦がされたワイシャツにため息を吐きながらも着用していた父。
 母が手がけたものなら、絶対に手放さなかった。譲らなかった。
 言葉にはしなくても、そこには確かな愛情があった。
 そんな彼らが、琴美は大好きだった。

「墓参り行くんだろ」
「あ、うん。もうそんな時間ね」

 裕樹に促されて、琴美は立ち上がった。 
 大好きな両親の眠るところには、大好きだった祖父母達がいる。
 早く彼らに会いたい。
 
『入江くん、大好き!』
『知ってるよ』

 彼らのやりとりが、今でも鮮やかに思い出される。
 
 もう手帳に書き込む人はいないけれど。
 琴子と直樹の時間は、永遠に続いているようだった。


 END




ラストシーンを書きたいがために、琴子と入江くんのラストの一文を入れ、そのために前フリが(長っ)があったという…(笑)
結婚記念日のために書いたのに、最後こんなんですいません!
きっと琴子は死ぬまで「入江くん大好き」って言っていて、入江くんも懲りずに「知ってるよ」とか言ってたんじゃないかな。ずっとずっと、隣り合いながら。そんな妄想をしています。
こういう風に思ってる奴もいるのかーって思ってくださると助かります(^^;
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~ Comment ~

涙が… 

コメント一番ゲット~!!(笑)
…泣きそうになってる、というか涙が浮かんでいるのですが。
こういう話、本当にダメなんです…。
いつかは来る日なんだけど、でも来てほしくないような…。
私もmiyacoさんと同じで、きっと二人は最後までそんなことを話している気がします。
あ、だめだ。涙があふれた…。

コメントありがとうございます。 

>水玉様

温かいコメントありがとうございます~!
私なぞの文章でそんな貴重な涙を……!ハンカチ、ハンカチはどこ!?
最後のそのときまで、二人はあのままでいてくれるのではないかっていうのは、きっとイリコトファンなら共通の希望なのではないでしょうか(^^)
琴子はおばあちゃんになっても、入江くん素敵~って言っていそうだし、入江くんは入江くんで、ったく仕方ねぇなって言いながら琴子の手を握ってる気がします。
また遊びにいらしてくださいね。お待ちしております!

 

じ~んときますねぇ(涙)
おじいちゃんになっても
おばあちゃんになっても寄り添う二人・・
『うっとうしぃ!!』の怒号とともに・・

小さな医院を開院して昼夜問わず
二人で患者さんのために働いてるのかな~とか
それとも入江くんは才能を如何なく発揮し神の手なんてもてはやされ
世界中の病に苦しむ子供を救いに飛び回ってるのかな~とか
いつも二人の行く末を想像・・いや妄想しているのですが
私の中でも晩年は絶対寄り添う二人なんです。
だからすごくmiyacoさんが上手に表現してくれて
うぅ・・うれしい。。

自分の行く末は全く読めませんけどね(汗)

コメントありがとうございます。 

>たらこ様

言葉では突き放したように言いつつも、態度は手放さないって感じだったのではないかと思っています。
二人はいつか開業するんでしょうかね。ノンちゃんのように、難しい病気で困っている子を助けたいと思うならやっぱり勤務医は辞められないのかなとも思うし、風邪とかの身近な病気で困っている子を助けたいとも願っていそうだし。どちらにしても、琴子は入江くんの傍にいると思います♪それで、斗南大病院にいるなら琴子が看護婦長とかになってたりして、モトちゃんに「世も末よねぇ」とか言われてたり。

なんだか最後がしんみりしてしまったので、たらこ様にそう言っていただけて安心しました♪
私も、自分の行く末なんて読めないです(笑)ボケずに死にたいとは思ってますが…(^^;
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