*初恋*

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 バカップルの父親気分-マタニティーブルー番外編- バカップルの同窓会-A組編-
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「二次創作」
青い入江

My Knight

 
 バカップルの父親気分-マタニティーブルー番外編- バカップルの同窓会-A組編-
結婚後とかのお話ばかりだったので、初々しい二人でも。

ええと、ちょっとネタバレになってしまうのですが、苦手な方もいると思うので…。

これ、痴漢が出てくる電車のお話なのです。
そう言うのが苦手な方はご覧にならないようお願い致します。

My Knight




 相変わらずの朝のラッシュ。
 最近ではドアを押さえるくらいはしてくれる入江くんも、あたしが乗るのを見届けるとふいっと中の方へ移動してしまう。
 あたしはそこまで行ってしまうと、下りたい時に下りれなくなっちゃうから無理。
 だから、あたしの定位置は、ここ。ドア付近だ。
 ここは痴漢にも遭いやすいんだけど、仕方ない。この間は寝違えて動けないところに、二人がかりだったもんなぁ。
 ほんと、酷い目にあったわ。
 でもまあ、あの時入江くんが守ってくれて(うふふ♪)あれ以来あたしは痴漢にあってない。
 入江くんの知性と勇気に恐れをなしたってところだろうけど、何にせよ悪いことじゃないわ。
 あたしはいつものように人波に呑まれながら、定位置でもあるドア付近に立った。
 …と、あれ?
 
「入江くん?」

 珍しい。
 入江くんが、あたしの後ろにいる。学校はもちろん、電車でもこんな風に近づくことないのに。
 不思議そうにするあたしをギロツと睨み、入江くんは前を向いてしまった。
 話しかけるな…ってことよね?
 まあ、この混雑じゃ話しかけることもできないんだけど。
 奥まで行けなかったのかしら?
 

 でも、その日から数日そんなことがあって。
 本当にどうしたのかなーって思っていたら、ある日を境にぱたりとそれが止んだ。
 


 今日の入江くんは、以前と同じ電車の中ほどでつり革に掴まっている。
 あそこまで行ければねぇ…いや、行って下りることができればねぇ。あたしだって行きたいと思うの。
 だってあそこまで行けば、あたしの今いるドア付近よりは少しはマシなんだもん。
 でも、下りれなくなったら悲惨だし。
 あたしはここ数日の入江くんの奇妙な行動を思い出しながら、目の前の温い手すりに掴まった。
 …今日は随分混んでる。月曜日だからかな。
 あ、違う。リュックサックを背負った小学生のグループがいるんだ。遠足かな?社会科見学かな?わからないけど、彼らのせいでいつもに増して混雑具合は酷いみたい。
 ぐぐぐっとドアに押し付けられ、あたしはべたっとドアに張り付いてしまった。
 鞄は右手にあるものの、く、苦しい……。
 それに、なんかあたしの背中を押してくる人、なんか妙に息が荒いような…?
 振り返りたいし、それとなく押し返したりもしたいんだけど、鞄を持った右手は人と人の体の向こうに行っちゃってるし、左手はこれ以上ドアに押し付けられないよう突っ張るのに精一杯で、動けない。
 そうこうしている間に、生温かい息が首に吹き付けられる。
 なんか、妙に汗ばんだ手があたしの太腿を撫でて、下着の上からお尻に触れてきた。

(ち、痴漢っっ!!)

 ここのところ遭遇してなかったのに、どうして、よりによってこんな日に!!
 寝違えた日よりも状況は悪いかもしれない。
 痴漢の手はいまやあたしのパンツの中に入って来ようとしていて、肌とパンツの隙間を指でなぞっている。
 ぞぞぞっと恐怖が背中を走り、あたしは声にならない悲鳴を上げた。でも、小学生のグループの話し声が大きくて誰も気づかない。
 いいわよ、あんた達の行き先なんて興味ないから!!
 それよりも、この痴漢何とかしてよ!!
 入江くん…!
 そう思って視線だけ、いつも彼がいる辺りに送ると、何故かいない。うそ…乗り込んだ時はいたはずなのに…。
 入江くんも流されてしまったんだろうか。
 
「…っ」

 痴漢の手が、ついにあたしのパンツの中に入ってきた。
 気持ち悪い…怖い……嫌だ、こんなの……あたしに触らないでよぉ…!
 もういい加減我慢できなくて、あたしは声をあげようとした。でも、上手く出ない。
 怖くて、声が奥に引っ込んでしまってる。
 それを察した痴漢がさらにあたしをドアに押し付けて、もう声が出ないように押しつぶしてきた。

 息が……もうこれじゃぁ……。

 でも、神様はあたしを見捨てていなかったみたい。
 あたしが諦めかけたそのとき、電車はあたしの降車駅に滑り込み、あたしの前のドアが開いた。
 転がるように電車から下りようとするあたしを、痴漢が引き止める。腕をぎりぎりと掴んで離してくれない。
 やだ、このまま電車に残されたら…!?
 恐怖に顔を歪ませたあたしは、けれど、すぐにもっと力強い腕に引き寄せられて電車から下りることができた。
 あたしの腕をつかんでいた痴漢も引き摺り下ろされて、あたしを引っ張ってくれた人が鉄道警察を呼んでくれる。
 現行犯で逮捕された痴漢が連れて行かれるのを、呆然とあたしは見ていた。
 一体、何が起きたの…。
 呆然としたまま顔を上げ、あたしの横に立つ人を見る―――入江くんだった。
 あたしを助けてくれたんだ…そう思ったら、急に安心してしまって。
 あたしは、騒ぎに気づいた人々が遠巻きに様子を伺う中、入江くんに抱きついて泣いてしまった。

「いり、いりぇく……っ」
「……」
「いりえくん、いりえくん、いりえくん……っ!」
「…何だよ」
「あ…あいつ、あたしの下着の中手入れてきて、気持ち悪くって、怖くって、けど入江くんいないし誰も助けてくれないし、怖くて声でなくって……それで、それで……ひっく」

 うわーん!!!
 入江くんが突き放さないでいてくれたから、あたしはぎゅうぎゅう抱きついて泣いてしまった。
 
「…おい」
「ご、ごめ、ごめんね!?涙、止まらないの…うぇええええ~~」
「………」

 ついでに言うと、鼻水も止まらないのぉ~~~~!
 はあ、と頭上でため息が零れてる。
 そうだよね、こんな風に泣きつかれても困っちゃうよね。
 だけど、だけど……怖かったんだもん。
 助けてくれた入江くんが、神様みたいに見えちゃうんだもん。

「ねぇ、入江くん」
「だから、何」
「ハンカチ貸してくれないの?」
「はあ!?」
「泣いてる女の子にハンカチ。ねぇ」
「……自己申告するか!?普通!!」

 言いながらも、入江くんはズボンのポケットからハンカチを差し出してくれた。
 安心して、鼻水はかまないでおくから。
 あたしは渡されたハンカチを握り締め、溢れる涙を強引に拭った。
 おばさんが洗濯してくれてるんだから、同じ洗剤を使っているはずなのに。
 ハンカチからは、あたしとは違う入江くんの匂いがした気がした。







 学校へ行くと、ひそひそと噂されている。
 …慣れてきてはいるけど、今度はなんだろう。
 隣を見ると、入江くんも眉を顰めてる。ってことは、彼にもわからないってことか。 
 そうよね、昨日帰るまで何もなかったもん。
 
「よ、入江!」

 入江くんの肩を叩き、渡辺さんが声をかけてきた。渡辺さんまで笑ってる。入江くんは靴を履き替えながら、にやにや笑う渡辺さんを睨んだ。
 もちろん渡辺さんは怯まない。
 琴子ちゃん、とあたしにも朝の挨拶をしてくれて、それからまた、入江くんに向き直った。

「お前、琴子ちゃんを痴漢から守ってやったんだって?泣いてる琴子ちゃんにハンカチ貸してやって、抱きしめてたって聞いたぜ?」
「はぁ!?」
「ええええ!?」

 な、なんと!!
 あたしと入江くんは、揃って驚いてしまった。
 そりゃあ駅なんて公共の場所だし、学校の最寄り駅だったんだから目撃者がいたのは不思議ではないけど、そんな噂が駆け巡ってるなんて。
 だって、ついさっきのことだよ!?
 あたしは恐る恐る入江くんを見た。
 入江くんはギロッとあたしを睨んだけど、でもそれだけで、すぐに前を向いて歩き出してしまった。
 怒られるかと思ったのに、入江くんは怒らなかった。
 め、珍しい…。
 入江くんはずんずん歩いて行ってしまい、あたしと渡辺さんは、その後を慌てて追いかけることになった。
 入江くんがA組の教室に入るとき、あたしはずっと握り締めてた入江くんのハンカチを思い出す。
 これ、どうしよう。ハンカチがなかったら、入江くんトイレ行った時困るよね?
 まさか手を洗わないってことはないだろうし……金ちゃんみたいに、手をブラブラさせて「これでオールオッケーや~」なんてこともないだろうし。
 あたしは急いで、自分のハンカチを鞄から出した。
 入江くんはもう教室に入ってしまったから、渡辺さんにお願いする。

「ごめんなさい。これ、入江くんに渡してもらっていいですか?」
「いいけど……これ、入江が使うの?」
「うん。だって、あたし入江くんのハンカチ借りちゃって……濡れちゃったのそのまま返すのはちょっと悪いし」
 
 あたしが見せた入江くんのハンカチは、あたしの涙で濡れている。
 渡辺さんは納得してくれたみたいだけど、あたしのハンカチと教室の入江くんを見比べて肩を揺らして笑った。

「いいよ、渡しとく」
「ありがとう!」

 あたしは渡辺さんにお願いして、F組へと走り出した。



          **********



「おーい、入江」

 いつまでも教室に入らず、廊下でなにやら琴子と話をしていた渡辺に、直樹は顔も向けず視線だけ向けた。
 
「ほら、今日のお前のハンカチ」
「…俺の?」

 直樹のハンカチは、琴子が持っている。さすがの直樹も、あの状態で琴子を一人にすることも、ハンカチを貸さずにいることもできなかったからだ。
 朝から噂になっていて、その中には「ハンカチ」というワードもあったからから、クラス中の視線が直樹と渡辺に集まる。
 渡辺はそれには気づかず――気づいていても無視したのかもしれない――直樹にハンカチを差し出した。

「ピンクのハンカチ…その隅っこにあるの、もしかしなくてもお前?」

 言われて見ると、ハンカチの隅に人の顔らしき不恰好な刺繍がある。
 どこか不機嫌な顔で、顔の下には「IRIEKUN LOVE」と入っていた。
 直樹がピシッと固まる。

「可愛いよな~。それ、自分でやったんだろうな……って、入江?どこ行くんだ?」

 琴子の乙女心に感じ入っていた渡辺の前を、ハンカチを握り締めた直樹が通り過ぎていく。
 怒りの形相で歩く直樹に恐れをなし、まるでモーセの奇跡のように廊下の人が割れていく中を、直樹は進んでいく。
 そうして向かった先はF組。
 程なくして

「琴子―――ッッ!!!(怒)」
「きゃあ、何よぉ!?」

 という声が響き、渡辺は腹を抱えて笑ったのだった。





 END




高校生の時も楽しいですよね。
イリコトなら何でも美味い♪あ、いや…普通の意味ですよ?(笑)
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拍手お返事 

>BLUE様

私も渡辺くんは好きです♪
ほんと、いい仕事してくれますよね(下品な言い方…じゃないと思います!私も抵抗なく使いますし♪)
後半は渡辺くんだけでなく、じん子や理美の出番も少なくなってしまって(というかほとんどなくて)寂しかったので、二次の醍醐味として出てきていただきました♪

きっとまた彼は登場するので、その時はぜひ見守ってやってください(^^)
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