*初恋*

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「二次創作」
短編

えっちゃんのまほうのて

 
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えっちゃんのまほうのて


タイトルからお分かり頂けるかと思うのですが、えっちゃん(悦子)をメインにした短編です。
お盆ですので、と言いたいところですが、それらしいのは作中でちょっとだけ(^^;
お許しください~(汗)。








 あるところに、えっちゃんという女の人がいました。
 えっちゃんは、お母さんでした。
 でも、少しばかり早くに神様のところに行かなくてはならず、えっちゃんは後に残す子供を思い、泣きながら旅立ちました。
 えっちゃんの心は、その時に体から離れてしまいました。
 そのことは変えられません。
 残していく家族のことが心配だったえっちゃん。
 えっちゃんはその時から、最愛の子供を、傍で見守るようになったのです。



 
                      **********



 えっちゃんの子供は女の子です。
 とてもえっちゃんに似ていて、琴子ちゃんと言いました。
 ドジでそそっかしくて、おっちょこちょいで――でも、誰より心優しく、素直で一途な、おひさまのような女の子です。
 その子は、くねくねと曲がりまくった道の先で大好きな人との結婚を果たし、今は旦那様のお父さん、お母さんと一緒に暮らしています。
 そこには、えっちゃんの愛した旦那様も一緒に暮らしていました。
 ですので、えっちゃんはあちこち行かなくても、そこにいれば大好きな人を全員見守っていられました。
 

 そのお家は、いつもとても賑やかです。
 琴子ちゃんの旦那様のお母さんが、とても明るい人だからです。お父さんはそんなお母さんをとても大事にしていて、きっと、何をしても可愛くて仕方ないのでしょう。
 琴子ちゃんの旦那様のお母さんがちょっとくらい無茶を言いだしても

「仕方ないなぁ、ノリちゃんは」

 そう言って、笑いながらお願いごとを叶えてあげるのです。
 ですから、お母さんが自分の息子と琴子ちゃんの結婚式を二週間後に執り行う、と決めた時も、結局その決定が覆ることはありませんでした。
 お式のことを、えっちゃんは輪廻の果てでも忘れることはないでしょう。
 そんなお式を見せてくれた琴子ちゃんの旦那様の両親は、とても素敵な夫婦でした。
 その二人の間に生まれたのは、その二人と比べるとちょっと無愛想にも思える直樹くんと、裕樹くんです。
 そして、直樹くんが琴子ちゃんの旦那様です。
 直樹くんは、お父さんのように琴子ちゃんを甘やかすことはありません。
 時々、見守っているえっちゃんですら酷い、と思うようなことも平気言いますし、やります。
 そう言う時、琴子ちゃんは泣いてしまうこともあります。
 でも多くの場合、自分のために言ってくれてるから、と素直に聞き入れるのです。
 そういうところを見ていると、後に残して全てを任せてしまった旦那様がどれほど良い父親だったのか見ているようで、えっちゃんはいつも嬉しくなります。



 琴子ちゃんと直樹くんは、看護師さんとお医者様です。
 二人とも忙しいので、今年のお盆はえっちゃんの眠るお墓まで行けません。
 だから今年は、えっちゃんの旦那様の部屋にある仏壇でご話することにしたようです。

「っきゃ~!!!入江くん、大変!!お線香が真っ二つに!!」
「……お前の鞄の中で折れたんだろ。帰り、振り回してたじゃねーか」

 どうやら、琴子ちゃんは直樹くんと一緒に帰るのが嬉しくて、お線香が入った鞄を元気に振りながら帰ってきてしまったようです。
 紙を解くと、真ん中あたりでぽっきり折れたお線香たちを見て、琴子ちゃんが情けない顔をしています。
 ですが、ここで泣いて終わらないのが琴子ちゃん。

「ねえ、二つに折れてたら、本数は倍になってるよね?」
「あ?」
「ってことは、お母さんに二倍、お線香あげられるってことよね!?」
「お、お前……そのポジティブ思考はどこから…」
「ここから!」

 えへん!と、琴子ちゃんは胸を叩きました。
 それは主に「任せておけ」というジェスチャーで、どこで考えたかと言うなら、やはり頭を指すべきではないのでしょうか。
 えっちゃんはそう思いましたが、琴子ちゃんがあんまり自信たっぷりにしているので、まぁいいか、と思いました。
 それに、悪い方へばかり考えているより、よほど素敵な考え方です。
 えっちゃんは、いつでも前向きな考え方のできる琴子ちゃんが大好きでした。
 結果、えっちゃんの線香立てには、ちょっと長さが不揃いなお線香がもくもくと煙を立てることになりました。
 直樹くんはその様子に、急いで仏壇の傍の換気扇を回し始めます。
 えっちゃんは、琴子ちゃんがやることを直樹くんが見守り、必要とあらば今のようにさり気なくサポートすることを見てきました。
 だから、いくら琴子ちゃんが前向きだとしてもちょっと酷い、と思われるような直樹くんの態度も、赦せてしまうのです。
 琴子ちゃんの言う通り、意地悪で言っているんじゃない、とわかるから。

「お母さん、ごめんね。ちょっと煙いよね」
「ちょっとじゃねーだろ……ったく」

 こつん、と指の関節で琴子ちゃんのおでこを突き、直樹くんは静かに琴子ちゃんの隣に腰を下ろしました。
 えっちゃんも、二人の前で居住まいを正します。
 二人は静かに仏壇に向かって手を合わせてくれました。
 心しかないえっちゃんには、その二人の心が真っ直ぐ響いてきます。
 それは、とても温かくて、甘くて、幸せで。
 あら、直樹くんの方は反省もしてるみたい?もしかしたら、琴子ちゃんを前にすると素直になれないこと、本人なりに気にしているのかもしれません。
 えっちゃんは、一生懸命お祈りしてくれる琴子ちゃんの頭を撫でました。

――大好きよ、琴子。

――いつも頑張ってるわね。

――偉いね。

 ドジで、そそっかしくて、おっちょこちょいで――でも、いつだって一生懸命な、えっちゃんの大事な子。
 琴子ちゃんが7歳の時に、えっちゃんは離れてしまいました。
 でも、それからずっと見守っています。
 あれから、何年経ったでしょう。
 琴子ちゃんの体が女の人の体に近づいた時、えっちゃんの旦那様では対処しきれませんでした。その頃特有の悩みに寄り添ってあげられないことを、どれだけ嘆いたことか。
 そして、琴子ちゃんがそれらを乗り切った時は、どれだけ安堵したことか。
 恋をして、泣いて、笑って。
 現実には何もできなくても、心は寄り添ってきたつもりです。
 いくつになっても、子供は子供です。えっちゃんにとって、琴子ちゃんはいくつになっても、7歳の琴子ちゃんのままなのです。
 可愛くないわけがありません。
 お母さん、大好き!
 そう言って甘えてきた琴子ちゃんを思い浮かべ、えっちゃんはその頃と同じように、ふわりと抱きしめました。
 



 それから、えっちゃんは琴子ちゃんの隣に座る直樹くんの前に体をずらすと、合わせられた大きな手をそっと握りました。
 二人がこうして揃って会いに来てくれるようになってから、えっちゃんはいつも、そうしています。
 
――お勉強はできないけれど、いい子なんです。
――あなたのことが、大好きで仕方ないの。
――私に似て思い込んだら一直線な子だけど、許してあげてね。

 伝わっているかは、えっちゃんにはわかりません。
 でも、いいのです。
 実際どうなっているかは、普段見守っていればちゃんとわかるのですから。




「ねえ、入江くん」
「ん?」

 そっと目を開けた琴子ちゃんが、隣に座る直樹くんの服の裾を引っ張りました。
 
「あたし今ね、お母さんが傍にいてくれる気がした」
「へぇ……いいじゃん」
「うん。こうね、ふわって。なんだろう……気のせいじゃないんだよ」

 えっちゃんは、驚きました。こんなこと初めてです。
 でも、えっちゃんは琴子ちゃんのお母さん。難しい事をいつまでも考えていられるわけがありません。
 まあいいわ、と思い直し、立ち上がる二人を見ていました。
 どうやら琴子ちゃんは足が痺れてしまったようで、きゃあきゃあ言いながら、直樹くんの腕にしがみ付いています。

「情けない奴だな」
「だ、だって~~……ううっ、む、むず痒いぃ~~!」

 うわーん、と大袈裟に嘆いてみせる琴子ちゃんの声が、余程うるさかったのでしょうか。
 いいえ、そうじゃないですね。そういう風に見せているだけですね。
 直樹くんはいかにも面倒臭そうに、仕方ないなという態度を前面に出して、琴子ちゃんを抱き上げました。
 途端に琴子ちゃんの声に、喜色が混じります。
 えっちゃんはおかしくて、くすくす笑ってしまいました。
 仏壇の前に座ったまま、二人が部屋を出ていくのを見守ります。

――琴子を、頼みますね。

 えっちゃんは、深々と頭を下げました。
 ゆっくり、ゆっくりと。額が畳についてからも、しばらくは頭を上げませんでした。
 ぎゃあぎゃあ騒いでいた二人は、ぴたりと足を止めて仏壇の前を凝視しました。
 髪の長い女の人がお辞儀をして、それから、にこりと笑っている姿が見えた気がしたのです。
 琴子ちゃんは、自分の頭を触りました。
 それから、直樹くんを見上げます。でも、彼は自分をしっかり抱き上げていて、頭を触る手など残っていません。
 じゃあ、誰が?
 考えたら怖いはずのことなのに、不思議と、怖くありませんでした。
 柔らかく空気に溶けて消えたようなその人が、幸せそうに笑っていたからかもしれません。






                  **********





 えっちゃんは、魔法の手を持っています。
 大切な人たちをどんな時でも抱きしめられる、不思議な手です。
 何も触れないし、掴めないけれど。
 その代わり、いつでも抱きしめてあげることのできる、魔法の手なのです。
 




END




お盆なのにお墓詣りにも行かせず……あうぅ。
でも、こうだったりするのかしら、という妄想は詰めております。なんだか妙なお話になってしまったんですけれども(汗)。

お盆となると、色々な状況の方がいらっしゃいますよね。
帰省される方、帰省してくるのを出迎える方。日頃の疲れを癒しに旅に出られる方、変わらずお仕事に勤しまれる方。全ての方にとって、有意義なお時間となりますように(^^)
私はお茶くみ頑張りマス!(親戚が集まってくるので、下っ端の嫁は万年お茶くみなのです。)







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胸にしみます! 

これは空想じゃないと思います。
絶対早逝した母親はこんな風にして我が子を見守っていると思います。
よく傍で見ていてくれるなんて言ううけど、このお話はそのことをすごく上手に書いてくれているわ。
自分が母親だからこそ心にしみてくるわ~!

>ちぃ様 

>ちぃ様

私も今年は、赤ちゃんがいるということでお墓詣りは免除(?)になりました~。なので、今年は虫食われ率が低いです(笑)。

悦子さんのことはお名前と、帰省エピの中でちょっと語られているだけなので妄想の幅が広く、かなり独自色が強くなってしまっております。でもきっと、あの琴子ちゃんのお母さんなんだから…という気がしていて。入江くんも、故人を偲ぶことに抵抗を見せないイメージがあるので、ほのぼの系になりました(^^)。読んでいただき、ありがとうございました!

>水玉様 

>水玉様

ああっ、ハンカチ!!
すいません~。ほのぼの系を目指し絵本っぽくなるようにしてみたのですが、やはり題材が題材なだけに…ですよね(汗)。
miyacoの妄想がめいっぱい詰まっておりますこちら。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

>玉子様 

>玉子様

私の中で、悦子さんってこういうイメージなんですよ~(^^)
ほんと、入江家(特に姑である紀子ママ)は素敵です♪悦子さんも何の憂いもなく、見守っていられるはず!

琴子ちゃんの前向き思考は、愛すべき美点ですよね!玉子様の仰る通り、入江くんは呆れつつもそこが好きって思ってるんじゃないのかな、なんて♪あの二人には、いつまでもそんな夫婦でいてほしいな、と思います~。

>YKママ様 

>YKママ様

ああっ、私も早くそうなりたいです~!お墓参りこそ行かずに済んだものの(正直、会ったこともない旦那さん方の祖先なので、馴染みがなくて・汗)お茶くみからは逃れられませんでした…。むしろ、子供連れてきて!という感じで。

確かに、子を持って初めてわかる親心ってありました。悦子さんが鬼籍に入った理由など、原作中では明かされておりませんでしたが……その分妄想も広がり、こんなことに(笑)。
二人には、いつまでも悦子さんが笑顔でいられる夫婦でいてほしいな、と思います(^^)。

>marimari様 

>marimari様

こちらこそ、ありがとうございます!

普段は特に意識することなく、現実の日々を過ごしている二人。だけど実は、彼らを見守っている特別な存在があったら……そんな妄想から出来たお話でした。時期もお盆で丁度よく。
本当だったら悦子さんだって、重雄と一緒に暮らしながら琴子ちゃんの実家として、頼りになる母になりたかったんじゃないのかなぁと思います。それこそ、啓太絡みの嫉妬事件の時なんて、琴子ちゃんに実家があったら避難してもおかしくない状況でしたし。それが出来ない分、彼女はこうして見守ってるんじゃないのかな?なんて思っております。
お嬢様、きっとmarimari様の傍がすごく居心地がいいんですね!離れてみると、実家の居心地の良さがよ~くわかります。かなりの頻度で実家に顔を出しつつ、マイペースに続けて行けたらと思いますので、よろしければまた遊びにいらしてくださいませ(^^)お待ちしております!

>kawachi1gou様 

>kawachi1gou様

ありがとうございます!
そう言っていただけると嬉しいです~(^^)。
悦子さんについては、原作でも多く語られていない分独自色が強くなっておりますので、受け入れていただけるかドキドキしていたのです。
自分が親になってわかる親心。きっといつか琴子ちゃんも、そうした視線で考える日がくるのかもしれませんよね。

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NoTitle 

いつも楽しく拝見させていただいております。
何度も読み返しては楽しんでおります。
育児の大変な時にわがままなお願いですが、
バカップルの新しいをお話を読みたいと熱望しております。
どうぞよろしくお願いいたします。

>marimari様 

>marimari様

9月も半ばに差し掛かったというのに、今日もとても暑くて、ぐったりしてしまいますよね。それでも朝晩は大分過ごしやすくなりましたが……日中はどうしようもなくて、未だにエアコン稼働中です。
marimari様の貴重なお時間を割いてコメントいただいたんですから、お返事させていただくのは当然です(^^)本当にありがとうございました。
できるだけ原作からイメージしているので(とあるシリーズは、大分横道にそれてしまいましたが・汗)そう言っていただけるととても嬉しいです♪
ぜひまた遊びにいらしてくださいませ!お待ちしております。

>kazigon様 

>kazigon様

こちらこそ、いつもありがとうございます!
先ほどkazigon様にリクいただきましたバカップルシリーズ、アップさせていただきました!久々の鍵付です(笑)
お時間のある時にでも、ぜひ見てやってくださいませ(^^)
よろしくお願いいたします。
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