*初恋*

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 練習中!?(桃色注意・小話付・moko様より) 濡れ衣2
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「二次創作」
短編

さくら

 
 練習中!?(桃色注意・小話付・moko様より) 濡れ衣2
さくら

※時期未定です。桜の季節であることだけは確か。
そして、ちょいちょい捏造入ってます(^^;






「あ……」

 あたしは線路沿いに植えられた桜の木から、ひらひらと無数の花びらが舞い落ちる様に目を細めた。
 この景色を見るのは何度目だろう。
 その度にハッとして、あたしの上を通り過ぎて行った時間を思い知る。
 ふわっと上向きに吹いた風に新たに舞い上がった桜の花びらが、あたしの手の中に落ちてきた。

「………」

 桜色の小さな花びら。
 思いがけない風に吹かれて舞い上がり、地に落ちていく。
 そこに僅かな胸の痛みを覚えて、あたしは手のひらの花びらをそっと抱きしめた。


 入江くんと離れてどのくらい経つかな。
 もう、結婚したよね。子供だっているかもしれない。
 入江くんは決断力のない人じゃないし、嘘もつかない。沙穂子さんを好きになったというのなら、本当にそうなんだろう。
 入江の家を出たあたしとお父さんには、もう何の関わりもない人たち。
 けれど。
 未だに入江くんを想うあたしには、永遠に関わりを夢見る人。

「悲しいけど、でも、後悔はしてないんだよねー……」

 毎年そう思う。
 一生懸命好きだった。持てる言葉、示せる態度。その全てで思いを伝えた。
 それが実らなかったのは悲しいし、当時は泣いて過ごしたものだけれど、だからといって、ああすればよかったとか、後悔するわけじゃない。
 ベストを尽くした恋。
 全力を尽くした恋。
 だから、いい。
 冬に結納を済ませ、春先に挙式を上げるといっていた入江くんと沙穂子さんの結婚式は、きっと桜の花びらの舞う中、誰もが祝福する素晴らしいものだっただろう。

―――入江くん、幸せになってね……。

 あたしは手の中の桜の花びらを、解放するかのように空に放った。





                      *************




「……ッッ!!」

 俺はあまりに縁起でもない夢に飛び起きた。
 忙しなく目を動かし、今が現実であることを確認する。
 昨日俺が閉めたカーテン。お袋の趣味全開のメルヘンチックな部屋。
 そして。

「いりえくぅ~ん……さくらもち、あたしのぉ…」

 間抜け面を晒しながら俺の隣で眠る琴子。
 俺はホッとして、全身の力を抜いた。
 
(なんつー夢を見たんだ、俺は……)

 俺の愚かさが招いたあの年の、あの季節の悪夢。
 夢の中の琴子の想いは妙にリアルで、あれが現実だと言われても納得できてしまうのが何とも言えない。
 俺は俺なりに悩んだつもりだったけど、あの時琴子に味合せた苦しみを思うと甘いものだったと思う。
 それを、桜の咲き誇るこの季節に夢見たのは、夢の中の琴子の言う通り……春に挙式と大泉側が、いや、沙穂子さんが俺に語ったことのせいだろうか。
 琴子がそのことを知るはずがないのだから、そう考えるのが自然だ。
 だけど……。

「琴子」
 
 俺は隣で眠る琴子を抱きしめた。
 俺の体にしっくりと馴染み収まる琴子の小さな体。
 抱き寄せると無意識でもすり寄ってきて、甘えるように抱きついてくる。
 こんなことをしたいと思うのは、されてもいいと思うのは琴子だけだ。
 俺は柔らかな琴子の栗色の髪を梳き、露わになった小さな耳朶に囁いた。

「……後で散歩でもするか」

 そこで、キスをしよう。 
 俺が選んだのはお前だと。
 お前が選んだのは俺のいない未来ではないと。
 琴子は何も知らない。全ては俺の見た悪夢だとわかっていても、この華奢な存在に教えたい。
 ああ、だけど。

「琴子……」

 布団で温まって、桜色に色づいた琴子の唇にキスを一つ。
 啄むようなそれに、ちゅ、ちゅ、と音がする。琴子はくすぐったそうに身を捩り、背中に回る琴子の手にきゅっと力が入るのを感じた。
 それに気を良くして、キスを続ける。
 唇から、柔らかい頬。こめかみ、丸い額。
 全部全部、俺のだ。

「うう……んんん??」

 さすがに違和感を感じたのか、琴子がうっすらと目を開ける。
 茶色の目に俺が映り、俺は目を細めた。琴子、お前の目には何が見えてる?

「入江くん、今あたしに、その……キス、した?」
「なんで?」
「え?なんかね、こう…………ああもう、いいよ。気のせいってことよね!」

 自分で聞いてきたくせに恥ずかしくなったのか、琴子はぷっと頬を膨らませるとそっぽを向いた。
 その姿を見て、ようやく俺は安心する。
 俺の腕の中にいるのは間違いなく琴子で、さっきのはやはり夢だったのだと実感できるから。
 自分の目で確かめたことのはずだけど、それでもやっぱり、夢か現かというのは拭い切れなかったからだ。
 俺はそっぽを向いて少し離れようとした琴子を抱き寄せ、くっくっと喉を鳴らした。

「気のせいじゃねーよ」

 だから、もっとこっちへ。
 あんな夢をもう二度と見なくて済むように。
 琴子が俺をちらっと見る。そして、細い指をそっと俺の顔に滑らせた。

「入江くん、怖い夢でも見たの?」
「何?」
「そういう時はね、ぎゅってしてもらうといいんだよ」

 言うが早いか、琴子が手を伸ばして俺の頭を抱き寄せる。
 柔らかい匂いのする琴子の胸元に顔を埋めることになった俺は、思いがけないことにらしくもなく言葉を失った。
 どうしてこいつ、変なところで鋭いんだ?
 そして、こういう時ばっかり大胆なんだな。
 俺は、白い膨らみについた昨日の証拠を見て呆れた。そして、なんとなくこのままでいるのは悔しいと思う。
 だから、昨日つけたキスマークをなぞるように舌で舐めた。

「きゃっ」
「そんな子供騙しじゃなくて、どうせなら大人向けにしろよ」
「……っ」
「お前の言う通り、変な夢見たんだ」

 二度とあんな夢見てたまるか。
 どうせなら、琴子と過ごす夜の夢の方がいい。

(ま、今は朝だけど)

 そんなオヤジくさいことを思いながら、俺は柔らかい琴子の体に溺れて行った。





 桜の下を散歩するのは、夜になりそうだな―――。




END





「いき/も/の///がか/り」のSAKURAを聞いていてふっと思いついてしまって。
入江くんの夢オチでした~。ドキドキさせてしまったらごめんなさい(汗)!


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~ Comment ~

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こんにちは! 

桜色の字のところが夢だと分かってすっごく安堵いたしました!あー、よかった!
それにしても琴子の心をリアルに再現したような夢でしたよね。あのとき琴子を手放してたら…こんな夢を見ては後悔の日々を過ごすことになってたはず。今の琴子と共に歩む人生がすっごく幸せだから、こんな夢は恐怖にしか感じないだろうね。琴子の「入江クン大好き!」ばかりに甘えてないで、入江クンもちゃんとその愛おしい気持ちをもっと伝えなくっちゃダメよ~(笑)
素敵なお話ありがとうございました!

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>あやは様 

>あやは様

こんにちは!お元気そうでなによりです~♪

夢落ちと気付く瞬間が楽しいの、わかります!特に琴子ちゃんではなく入江くんが、と思うとニヤニヤ…(笑)
目覚めた後は、もちろん表でも……♪夜桜という手がありますからねぇ。ふふふ……。

あやは様が少しずつでも活動再開なさってるなんて、元々好きな季節である春ですが、また更に好きになりそうです(^^)
新たなあやは様のイリコトを見せていただけるのを楽しみにしております!
でも、無理はなさらないでくださいね♪私も久々の大仕事、死ぬ気で取り組んでまいります!

>ひろりん様 

>ひろりん様

春なのに辛気臭いような感じですが、そう言っていただけて嬉しいです(^^)ありがとうございます!
入江くんがあの時のことを思い出して切なくなって、目の前の琴子ちゃんを可愛がって甘々になればいいよ!と思って書きました♪
夜桜の時間になるまで、きっとラブラブだったんだと思います。ふふっ!

追伸:連載お疲れ様です!今が正念場の入江くんですから、書き手であるひろりん様にとっても正念場のはず。
どうぞ無理せず、ひろりん様のペースでお話を見せてくださると嬉しいです♪

>あやみくママ様 

>あやみくママ様

あそこで直樹が自分の気持ちに下手に抵抗してたら、十分ありえた未来ですよね。沙穂子さんは……自分を騙しながらも、目の前の直樹を手放せなくて苦しんだかもしれません。無色透明は綺麗でもありますが、味気ないと言えば味気ないですもんね。あやみくママ様の仰る通り、琴子ちゃんでなければこの世界が色に満ち溢れていることを、直樹には教えてあげられなかったと思います♪

で、それがこの夢で再確認できたので、お花見は夜になっちゃうんですねぇ。むふふ♪
って、直樹臭ですか!(笑)きゃ~、萌え台詞が浮かんでしまいました!!もち、オトナな台詞ですが(笑)!!

>あけみ様 

>あけみ様

ピンク色で誤魔化しつつ、実は明るい内容ではなかったという……すいません!!
入江くんも結婚生活を重ねていく中で、琴子ちゃんの気持ちが少しは読めるようになったのかも?もしくは、入江くんはあの時まで失うのが怖い、という経験をしてこなかったと思うので、余計に刻み込まれているのかもしれません。
ほんと、琴子ちゃんの好意に胡坐かいてんじゃないわよ~!って感じですよね♪
ええ、ぜひとも「愛おしい気持ち」を全身で伝えていただこうと思います(^m^)ふふ、ふふふ……。

>ひまわり様 

>ひまわり様

あああっ、すいません~!!
明るいピンクで誤魔化しつつ、実は……ですもんね(汗)。

野獣入江、気の向くまま本能の向くまま(笑)。散歩が夜……ですがほら、何も散るのは桜だけとは限らないじゃないですか♪なにせ野獣ですもん!(^^)

>ちぃ様 

>ちぃ様

綺麗な桜で思いだす、入江くんの唯一の後悔ってところでしょうか。
これが夢オチでなかったら辛すぎですって(><)いや、そういうのも好物なんですが(笑)。
琴子ちゃんは常に全力投球、真っ直ぐな子ですから、たとえあの夢が現実になっていたとしても入江くんを好きになったことを後悔したりはしないかなって思うんです(^^)
かっこいいですよね!私もそう思います~♪

入江くん、ちゃんとお花見に行きますって。ええ……夜にね…(笑)

>ちぇるしぃ様 

>ちぇるしぃ様

春って本当に慌ただしくて、ただでさえ要領の悪い私は毎日悲鳴を上げてます(^^;
この時期にウィルスとか凹みますね(><)4月は行事も多いし、連絡事項も多いし……ちぇるしい様ご自身も不調が出てしまったとのこと。想像するだけでお疲れ具合がかなりのものと思われて、心配です。
完全に調子が戻るまで、無理なさらないでくださいね!

なんだかお腹が張ったりもしてたんですが、張り止めのお薬のお陰で元気にしております♪ありがとうございます(^^)

>杜乃様 

>杜乃様

とても素敵な歌なので、ぜひぜひ♪
私はこれといってファンのアーティストがいるわけではなく、街角などで聞いて気に入ったものだけを記憶していくタイプなのですが、これを聞いた時は久々に素敵!と思って記憶しちゃいました♪

入江くんのあの台詞をカッコイイと言っていただけて嬉しいです~!ありがとうございます!
琴子ちゃんは「どうしてそうなるの!?」って思っているかもしれませんが(笑)琴子ちゃんにぎゅーってされたら、さすがのツンデレもデレるしかないかも…!?

お陰さまで出産まで残り僅か!元気に戻ってこられるよう、準備させていただければと思います(^^)
杜乃様もご自愛くださいませi-175
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