*初恋*

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 濡れ衣2 何も知らないくせに
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「二次創作」
短編

誓いは薔薇の庭で(2012/04/23イラスト展示)

 
 濡れ衣2 何も知らないくせに
「花冠の姫君」の続編です。

2012/04/23 ema様から頂戴した素敵イラストを展示させていただきました!
贅沢にも色つきですっ(>▽<)//
はふーん……か、可愛すぎる琴子ちゃん……!!
ema様ありがとうございました!!





 その庭は、何故だか酷く懐かしかった。
 入江家の持っている軽井沢の別荘を、つい最近大家族用に改装したということで、そのお披露目兼ねた滞在だ。
 知っているはずがない。
 なのに、大きく広くなったという屋敷の前に広がる見事な薔薇園を見た時、琴子は息を呑んだ。


 ―――ここと同じような場所を知っている。


 だが、それはもっと広かった。薔薇も林檎の木のように高かったはずだし、小路はどこまでも続く迷路のようだった。
 目の前に広がる薔薇園は見事ではあるものの、そこまで広くはないし、薔薇だって腰高だ。
 蔓薔薇がアーチに絡まっているけれど、それだって琴子が知っていると思うものはもっと大きかった。
 だから、ここではないと思う。
 思うのに、懐かしくて。 
 琴子は琴美を抱いたまま、庭へと足を踏み入れた。





 ウッドチップの敷かれた小路を行くと、目の前に小さな池が現れた。
 小路はその中州に向かって真っすぐに伸びており、中州には古びた白い木製のブランコが置かれている。
 近づいて押してみると、ぎぃ…と鈍い音を立ててブランコが揺れた。
 最近は忙しくて、この軽井沢の別荘には重樹と紀子も訪れることが稀だったというから、建物はともかく庭にまで手入れが行き届いていないのも仕方ないだろう。
 ギッ、ギッと耳障りな音を立てながら強度を確認すると、琴子は恐る恐る腰を下ろした。
 ぎ~っと音を立てて、ブランコが揺れる。
 足がつくので大袈裟に揺れるわけではなく、揺り籠のように優しく揺れるだけだが。

「不思議……この空も知ってる気がする」

 ブランコを支える支柱が、まるでフレームのように青空を切り取っている。
 でも、琴子の記憶ではこの空はなんだか苦い気がした。
 何があったのか覚えているわけではないけれど、胸がきゅうっと締めつけられるような、そしてまた、誰かに申し訳ない、怒られるんじゃないかと思っていたような、そんな気持ちだ。
 だが、この青い空を見てどうしてそんなことを思ったのだろう。
 琴子は左腕で琴美を抱えると、右手を空に翳した。
 指と指の隙間から太陽の光が差し込み、琴子は目を細める。
 直樹が琴子を見つけたのは、その時だった。

「なんだ?珍しい鳥でもいたのか?」
「入江くん」

 ベージュのスラックスにシンプルなブルーのポロシャツを合わせた直樹は、頭上に広がる青空と同じくらい爽やかだった。
 琴子の腕で寝ている琴美を見て、良く寝てる、と柔らかく笑む。

「違うの、なんだか懐かしいなぁって。変だよね、ここ、初めて来たはずなのに」
「……」
「あたしの知ってるお庭ね、やっぱりこんな風に薔薇がいっぱいだったんだけど、もっと広くて大きくてね」

 それは、子供だったからだ、と直樹は思った。
 幼い背丈は世界を大きく捉え、広く無限の可能性を提示するかのように目の前に繰り広げてくれる。
 琴子の言うのがいつのことかをすぐに理解した彼は、ふっと口元を緩めた。

「薔薇の冠……そこでもらったの。前に話したでしょ?」
「ああ、覚えてるよ」

 だがきっと、琴子はその時に言った「間抜け面のお姫様」のことなど覚えていないのだろう。
 あれだけわかりやすく言ってやったのに、結局今も思い出さないままである。間違いない。
 直樹はあの頃と同じく遠慮なく薔薇を手折ると、手術でも活躍している器用な指先で見事な薔薇の冠をあっという間に作った。

「で、こんなのをもらったんだろ?」
「そうそう!」

 直樹が話を覚えていてくれたのが嬉しいらしい。琴子がにこっと笑う。
 
「今は入江くんがあたしの王子様ね!」
「今は……ねぇ?」

 あの頃からずっとだよ、バーカ。
 直樹は心の中で呟いた。
 だが、琴子はその「今は」の部分が直樹の機嫌を損ねたと思ったらしい。あっと慌てた顔になり、違うの、と手を振った。

「出会った時からだよ」
「じゃ、お前はかなりの浮気モンってことになるな」

 ヨシヤだの何だのと、琴子が運命を信じかけた男はそれなりだと知っている。
 だが、琴子は直樹が何を言っているのか本気でわからないらしく、ぷっと頬を膨らませた。

「ええ?あたし、入江くんと出会ってから余所見なんてしたことないよ。ずっとずっと、入江くんが大好きだもん!」
「はいはい」

 必死に言い募る琴子に、直樹はぷっと吹き出して花冠を被せた。
 幼い頃と同じ栗色の髪に、色取り取りの薔薇が良く映える。 
 色によってそれに預けられた言葉は違うというが、薔薇だけで花言葉を見れば、「愛」に関したものが一番多いだろう。
 悪い意味などこの際切り捨てて、直樹はその愛の部分だけをこめて琴子の頭に花冠を載せていた。
 どうせ、照れくさくて言葉になんてできないのだから。

「くれるの?」
「お前以外にいないだろ」

 直樹の「愛」を受け取る女など。
 琴子が嬉しそうに破顔して、鈍い音を立てるブランコから立ち上がり、直樹の胸に飛び込んだ。

「入江くん、大好き!」
「知ってるよ―――けっこう前からね」

 幼いあの日、この場所で出会った時から。稚い琴子の頬がぽっと色づいて、直樹の顔をまじまじと見つめていたことは覚えている。
 きっと琴子は、あの日から自分の顔を「王子様」としてインプットしたはずだ。
 そのことを忘れてしまったとしても、その後いくら他の男を見たって心が揺れるわけがない。
 だから、琴子が「ずっと入江くんが好き」というのは、間違っていないんだと思う。

「お前、馬鹿だから忘れてるみたいだけどな」

 ぴんっと丸い額を弾いてそう言うと、琴子が不思議そうに首を傾げた。
 わからないなら、それでいい。
 自分が覚えておけば済むことだ。直樹はそう思い、琴美を抱える琴子をそうっと抱きしめた。

――私はあなたを愛します。

 その意味を持つ薔薇を頭に冠した琴子に、直樹は誓うようにキスをする。
 何も知らないお姫様は、ただうっとりと、王子様の誓いを受け止めるのだった。

ema様より-花冠の琴子ちゃん♪


END




入江くんがくさいっ(笑)でも似合う!と思う私は馬鹿ですよね(^^;
入江くんにこんなことしてもらえるのは、琴子ちゃんだけの特権です♪


明後日からちょいと近場の温泉にお出かけ予定でして(子ザルを温泉に浸けてきます)、お返事が遅れるかもしれません。携帯からチェックだけはさせていただきたいと思っております(^^)

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~ Comment ~

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NoTitle 

こんばんは。

更新ありがとうございます。

ポンタも 匂うような 臭い入江君も好きですよぅぅ・・・。
臭さの中にも ツンデレだからしゅきだぁぁ・・・・。

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>ひろりん様 

>ひろりん様

はい、そうなんです!
ひろりん様のあのお話の雰囲気を損なわないよう意識していたつもりなのですが、改めてそう言っていただけてホッとしました(^^)ありがとうございます!
入江くんが甘い台詞を吐くわけもなく、そして琴子ちゃんがそんな入江くんの思惑に気付くわけもなく(笑)。
これが、イリコトらしいラブラブなのよね~なんて思っております。

温泉は気持ちよかったけど、その後ハイテンションな子ザルの相手に死んでおりました(笑)。でも楽しかったです~(^^)

>ポンタ様 

>ポンタ様

そうそう、入江くんだからどんなクサさでも許せるのです(笑)。
申し訳ないけれど、これがもしガッキーとかだったら笑ってしまっていたかもしれませぬ。
このツンデレ、堪らないですよね♪
同じように感じているお声が聞けて、とても嬉しいです♪ありがとうございました!

>杜乃様 

>杜乃様

色々と配慮を重ねてお過ごしの中、遊びに来てくださってありがとうございます!
お元気と聞いて安心しました~(^^)

入江くんにとって、言葉は移ろいやすいものなのかなぁ、なんて思います。琴子ちゃんの好きって言葉も、最初のうちは本気にしてなかったような印象がありますし。
その入江くんが滅多に見せない甘さを、自然に受け取ってしまう琴子ちゃん。なのに嫌味がない。もうそれが可愛くて可愛くて!入江くんもそんな琴子ちゃんだから、ついつい薔薇の花冠なんて作っちゃうのよね~なんて思います♪

平川さんの演じる入江くんの声を聞くと、口が緩んで困ります(笑)。一人で見るのは正解かも!
雨の日の告白も好きですが、実は日常の中のさり気ない一言が好きで。琴子ちゃん妊娠後のお話で、マタニティフラに誘われた入江くんが一言「やらねーよ」とか言った声とかに悶えております。変態です(笑)。
杜乃様も、お体ご自愛くださいませ。ありがとうございました。

>ちぃ様 

>ちぃ様

ほっこりしていただけて嬉しいです~♪
なんせ一度見たことは忘れない男ですから!なのに琴子ちゃんは覚えてなくって、入江くんだなんて思ってもいなくて。いつか気づいたらどうするのかな~なんて思うのですが、その日が来ない方が萌え度が高いような気がしております(^^)

温泉、とても楽しく過ごしてきました!ハイテンションになった子ザルを落ち着かせるのが一苦労でしたが(笑)温泉に入ると気持ちよくて、やっぱり日本人だなぁって思います~。

>ema様 

>ema様

ば、薔薇の花を手折る……!?
それはあれですよね。入江くん好みの状態で手折るんですよね……ううっ、なんて妄想を刺激する一言でしょう!
手折ってる入江くんを見てみたくなるじゃないですか~(笑)!
はっ、ついつい興奮してしまいました。ごめんなさい!!

メールありがとうございました!
後程、昨晩頂いたものにもお返事させていただきます(^^)

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>ema様 

>ema様

こちらこそ、素敵イラストありがとうございました!!
ema様のイラストのお蔭で、あのお話が5割増しによくなるのです。逆なのです~!(>▽<)

手折るネタ……す、すいません。妄想し始めたら止まらないのですが……!!(笑)
二週間の恋人期間、その後のコトリン開発での我慢期間を考えると、割と長い間丹精込めるのもアリですよね……ふふ、ふふふ…(←怪しい)。
って、は!失礼いたしました(汗)!!

またema様のところにも遊びに行かせていただきます♪よろしくお願いいたします(^^)
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