*初恋*

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「二次創作」
短編

あゝ、勘違い。

 
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あゝ、勘違い。

※久々の裕樹くん視点です。
こちらが二周年アップの1作目になります。





 その日僕が帰路を急いでいると、自宅へと続く坂の途中に見慣れた背中を見つけた。
 お兄ちゃんだ!
 僕はさらに足を速めると、お兄ちゃんに追いつこうと考えた。
 今はもうすぐお昼になろうかという時間だ。平日のこの時間に歩いてるってことは、仕事帰りだろう。
 色々あったけど見事、医師という職業についたお兄ちゃんの背中は頼もしい。
 僕も早く、お兄ちゃんみたいに一人前の男になりたいなと思う。

「お兄ちゃん!」
 
 僕が声をかけると、お兄ちゃんは足を止めて振り返ってくれた。

「今帰りか?」
「うん。駅前の本屋に注文してた本を取りに行ってたんだ」
「そうか。って、お前今日は……」

 お兄ちゃんが何かを思い出したのか、いいのか?という顔をして僕を見る。
 僕もすぐに、お兄ちゃんが何を言いたいのかはわかった。
 今日は、好美が家に来る日なんだ。別に何をするってわけじゃなくて、単に遊びに来るだけなんだけどね。

「うん、多分もう来てる。けど、ママと琴子がいるから」
「そうか」

 僕以上に好美の来訪を楽しみにしてるのが、ママと琴子だった。あの二人がいるから、僕は朝一で本の入荷を知らせる電話が鳴った時、取りに行っても大丈夫だと思ったんだ。
 最近琴子はママによく似てきたし、きっとママと二人で好美を構い倒してるに違いない。
 僕とお兄ちゃんはそんなことを話しながら、呑気に家へと入って行った。







 家に入ると、すぐにリビングから楽しそうな声が聞こえてきた。
 僕とお兄ちゃんの「ただいま」の声なんて、きっと聞こえてないんだろう。
 ったく、何をそんなに盛り上がってるんだか。
 お兄ちゃんも呆れてるようで、小さなため息を零してる。でも、僕は知ってる。きっとお兄ちゃんは、琴子が一番に駆け寄ってこなかったことが面白くないんだってこと。
 なんだかんだ言って、お兄ちゃんだって琴子が好きだよな。
 僕はそんなことを思いながら、リビングへと足を向けた。
 中から会話が漏れてくる。

「ね、ね、琴子ちゃん。それでお兄ちゃんはどうなの?」
「え?入江くんですか?」
「母親のあたしも、さすがにもうあんな年の息子のは触らないもの。多分今は琴子ちゃんが一番よく知ってるはずよ」

 ……?
 何が話題になってるんだ?
 僕の横にいたお兄ちゃんも、眉を顰めて聞き耳を立てている。

「んー…けっこうストレートにぴんっとしてるというか。起きても右なんですよね。左にはならないみたいで」
「ああ、それはパパもそうだから。きっと遺伝ね」
「寝起きはへにょってしてて可愛いんですよね」

 え……。
 ええっと……。
 僕もいい加減色々わかってきて、中で話題になっているのが何のナニかなんてことが想像できちゃうわけだけど…?
 
「え、直樹先生も朝はそうなんですか?意外~」
「そう?朝はなんだか可愛いんだよ」

 好美、お前何言ってるんだ!?直樹先生もって、お前、僕のなんて見たことないじゃんか!
 琴子も何を余裕ぶっこいてんだよ!?

「そりゃそうよ、いくらお兄ちゃんだって、朝から四六時中ってことはないわよ。ねぇ?琴子ちゃん」
「そうですね。時々苦労してるみたいだけど」

 や、やっぱり話題は……アレ、だよね?
 僕はちらっとお兄ちゃんを見た。そして、即後悔した。
 お兄ちゃんがすごい顔をしている……琴子、僕知らないぞ。これ、後で絶対お仕置きコースだぞ!?

「琴子ちゃんがしてあげたらいいじゃない」
「んー、でも、あたしがすると余計悪くなるからって」
「んまっ、妻の協力を断るなんて何様かしら」

 それは多分、琴子が手出ししたら収まるものも収まらなくなるからだと思うけどね。
 ママはお兄ちゃんへの文句を言うと、今度は好美に話しかける。

「好美ちゃん、もし裕樹がそうなったら、あなたは遠慮せず手出ししていいんですからね」
「えっ……は、はい」
「やだ、好美ちゃん真っ赤!可愛い!」

 ママも琴子も何言ってるんだよ~!!

「でもあの、あたしと裕樹くんはまだそんなことなくって……」
「そうなの?でもすぐよ、きっと」

 いや、僕は健全なお付き合いをするよ!
 そりゃあ興味がないとは言わないし、好美のことだって可愛いと思うけど。あいつとの未来は、僕なりに真剣に考えてるんだ。
 僕が一人前になって、好美を幸せにできるって約束ができるようになったら、そうしたら。
 ……って、僕何を一人で語ってんだ!?

「入江くんのって、意外と太いんですよ。お義父さんもそうですか?」
「そうねぇ、割とそうかしね……今はあれだけど」
「あれで長さもあるんだから、困っちゃいますよね」

 横のお兄ちゃんが小声で「太くて長かったら悪いのかよ」と呟く。
 いえ……悪いことはないと思いマスヨ?
 ああもう、限界だ!
 僕の心もだけど、隣のお兄ちゃんから漂ってくる冷気が……僕の心臓を縮ませている!!
 僕は勢いよくリビングドアを開けた。

「ママ、好美、琴子!何の話してるんだよ!少しは恥を知れよ!」

 いきなり乗り込んだ僕に驚いたのか、女三人は目を丸くしている。
 琴子が怪訝そうな顔をして、僕の後ろのお兄ちゃんを見た。
 そしてその険しさに慄いたのか、少しだけたじろいでいる。お兄ちゃんは追及の手を緩める気はないみたいだ。

「何って……変なことは話してないよ?」
「太くて長いとまずいのかよ」
「え?だって……お手入れ大変じゃない。爆発しやすくなっちゃうし」
「爆発ねぇ。それの何が悪いんだよ」

 ん?
 なんか……噛み合ってなくないか?
 僕は最初の勢いはどこへやら、お兄ちゃんと琴子のやり取りに耳を澄ませる。

「え、だって……入江くんの髪質で長いと、けっこう面倒だと思うよ。割としっかりした太さがあるから、一度寝癖がつくと大変じゃない」

 琴子はきょとんとしながらそう言った。
 お兄ちゃんが思わず「寝癖…?」と呻く。
 僕はといえば、それが話題だったのか!と膝を叩きたい気分だった。


 右になるというのは、きっと分け目のこと。
 朝はへにょっとしているというのは、寝癖のこと。いつもびしっとカッコイイお兄ちゃんのそんな姿を見られるのは、確かに今となって琴子の特権だろう。 
 ママだってあんまり見ないはずだ。
 そりゃ親子なんだから、パパとお兄ちゃん、僕の髪質が似てるのはおかしくない。今はあれっていうのは、大分薄くなってしまったパパの頭のことだったんだ!
 僕は自分の――多分お兄ちゃんもだけど――勘違いに気付き、居た堪れない気分になった。

「入江くん……何の話だと思ったの?」

 琴子が不思議そうにお兄ちゃんを覗きこむ。
 その横で、ママがどうやら僕たち兄弟の勘違いに気付いたようで、ニンマリと笑っていた。
 お兄ちゃんはそれがまた面白くなかったようで、好美に向かって

「好美ちゃん、ゆっくりしていって。俺は琴子と少し話があるから

 なんて言って、琴子の肩をがしっと掴む。
 話がある、ね。まあ、物は言いようっていうか、何とでも言えるっていうか。
 ……今日は僕、部屋にCDかけようかな。隣の部屋の物音が気にならないような、ロックがいいかもしれない。
 それかクラシック。ベートーベンの交響曲第7番とか、ラフマニノフのピアノコンツェルト2番なんかもいい。
 とにかく激しくて壮大で、周囲の音とか気にならないやつをかけておくんだ。
 そして、窓はぴっちり閉めよう。だけど、ドアは開けておこう。
 僕はまだ健全なお付き合いを続けるつもりだ。密室になって、ママに変な想像させないようにしないとね。
 それから、好美は出来るだけお兄ちゃんたちの部屋とは反対側の壁に近い席に座らせて――。

「ねぇ、入江くん、何?何の話があるの?」
「大事な話だよ。お前によーく言って聞かせないといけないような」
「え!?も、もしかして看護師長からお小言の言伝とか…!?」

 多分、そっちの方が気楽だぜ、琴子。
 僕は引きずられるようにして連れ去られる琴子を目で追いながら、やっぱり今日はほとんどをリビングで過ごそうかな、と思い直すのだった。




END




いつも会話を邪推されてばかりの入江くんですが、たまには自分が勘違いすればいいよ、と思ったことから(笑)。
琴子ちゃんが、そんな話題を平然と口にするわけないじゃないですか。ねぇ?
余談ですが、作中に出てくる曲はドラマの「の/だめ」でも出てきておりますので、ご存知の方も多いかと思います。どちらも綺麗な曲ですよね♪

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NoTitle 

やっぱり!かなりおもしろい!また楽しみにしています!

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

ようやくお返事ができるようになりました。
大変遅くなり、申し訳ありません(><)!
へたれなのでいつまで続けられるか…と思っておりましたが、ここまで続けられたのも皆様のおかげです。
今まで支えてくださって、本当にありがとうございました!

お察しの通り、元からの要領の悪さを遺憾なく発揮し、毎日がてんてこ舞いです(^^;
気づくと夕方、気づくと夜という感じで……母としてまだまだだなぁ、と日々反省中。

それとは違いますが、入江くんにも反省してもらわないと、ですよね(笑)。
野獣の脳内とお花畑脳内(悪い意味でなく)は違うってこと、きっとすっぽり抜け落ちていたのだと思われます。愛で許してもらえるといいね、入江くん!(笑)

>玉子様 

>玉子様

ようやくお返事を書けるようになりました!大変お待たせいたしました。申し訳ありません…(><)!

妄想を垂れ流した結果をそんな風に言っていただけて、本当に嬉しかったです~!
いやもう、入江くんを野獣だの絶倫だの(笑)と妄想しているので、いつか怒られてしまいそうよね、なんて思っていたので(^^;
先生の訃報を聞いた時は同じく茫然としてしまいました。人の命なんていつ、どうなるかわからないと頭ではわかっているのに、自分の好きな人にはそういうイメージを持っていなかったんですね。風邪とか小さな病気はするけど、命にかかわるようなことはない、なんて勝手なことを思っていましたから、本当にショックでした。
その反動か、今こんなことに……なのですが(笑)。
多くの人に愛されている作品を、このような形で皆様と楽しむことができて幸せです♪

ここ数ヶ月、何の動きも見せることができずにおりましたが、末永くよろしくお願い致しますm(_ _)m

>りん様 

>りん様

初コメをいただきましたのに、お返事が遅くなりまして申し訳ありません(><)
読み逃げも大歓迎なのにコメントいただけて、嬉しかったです♪

最初は単発の予定だったバカップルもいつの間にかシリーズ化していて、それをヘビロテしてくださっていると聞いて、それもまた嬉しかったり……すいません、煽てられるとあっという間に木に登ってしまうのです(笑)。
今は更新が止まってしまっておりますが、今度日本でまたドラマ化されるというニュースもあることですし、ゆっくりとでもエンジンをかけていけたらいいな、と思っております。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。

>みゆっち様 

>みゆっち様

お祝いのメッセージ、ありがとうございました!
お返事が遅くなり、ごめんなさい~~(><)!

もうすぐ春なので、ピュアにピュアに……ええ、間違っても春だからってピンク(桃色)に染まりきらないように注意しつつ(笑)エンジンかけていきます!

裕樹くん視点、私も好きです♪冷静なようで振り回されていて、そこがまた堪らなくって。
好美ちゃんのことも、幼い時からちゃんと考えてるところが好感度高いですよね!

>のんびりはは様 

>のんびりはは様

お祝いのメッセージありがとうございました!
お返事が遅くなりまして、申し訳ありません(><)

琴子ちゃんにかかると(裕樹は好美ちゃんですが)天才もただの人!それがまた美味しいな、なんて思います♪
琴子ちゃんはいつも通りにしてただけて、入江くんがただの男のように色に塗れてただけなんですけれど(笑)。八つ当たりのように大事に愛されたことと思います。

あっちも放置で申し訳ないのですが、まずはここから頑張って行きますね!ありがとうございました。

>ロビンママ様 

>ロビンママ様

ありがとうございます~!!
お返事が遅くなりまして申し訳ありません!!
たくさんの作品を読み返してくださって、ありがとうございます。
春が近づくほど時間はかかりましたが、ようやく日々にかかる時間も少しずつ読めてくるようになったので、またエンジンをかけていきたいと思います。
これからもよろしくお願いいたします!

>彩様 

>彩様

こちらこそ、ご無沙汰して申し訳ありません!
二束のわらじを好んで履いてしまったので、ここが踏ん張り時!と奮闘していたら、こんなに月日が経ってしまいました……。彩様の温かいお言葉、胸に沁みます。ありがとうございます~!

琴子ちゃんは普通にしてるだけなのに、入江くんに翻弄されちゃうという流れが大好物なのです♪入江くんからすれば、琴子ちゃんに振り回されてると思ってるかもしれませんが…。
私も絶○直樹推奨です(笑)!

>kazigon様 

>kazigon様

ありがとうございます!!
ぼちぼちエンジンかけて頑張ります~!
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