*初恋*

スポンサー広告

スポンサーサイト

 
 バカップルのマタニティーブルー -後編- Monopolistic Desires  -2-
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ   3kaku_s_L.png   スポンサー広告
*Edit   

「二次創作」
中編

Monopolistic Desires  -1-

 
 バカップルのマタニティーブルー -後編- Monopolistic Desires  -2-
神戸から戻ってきた後の大喧嘩、というリクをいただいて、ない頭でひねり出したのがこちらです。

神戸から帰ってきてがっついてる(笑)入江くん(My tranquilizer参照)をベースにしております。

お楽しみいただけますように…。


Monopolistic Desires -1-




 ようやく直樹が神戸から帰ってきた。
 これからは一緒に働くことが出来る。それは琴子の念願であり、直樹の念願でもあった。
 今まで離れていてわからなかったことが、傍にいるからわかることも出てくる。けれど逆に、知りたくないことを知ってしまうこともある…のかもしれない。
 その事実を知った時、直樹は胸の奥がざわりと揺らめくのを感じた。





「はい、琴子」
「うん?」

 出勤するなり、ロッカールームで真里奈にコンシーラーを差し出された琴子は、きょとんと真里奈を見た。
 すでにナース服に着替えた真里奈は、呆れた顔で琴子を見ている。

「うん、じゃないわよ。首、くっきり付いてるじゃない」
「え!?」

 琴子は、慌ててロッカー扉についている小さな鏡を覗き込んだ。
 果たして、真里奈の指摘通り、首の中ほどに赤い虫刺されのような痕が点在している。朝は寝ぼけながら支度をしたせいで、気づかなかったようだ。
 琴子は赤くなりながら、ありがたく真里奈のコンシーラーを借りた。
 今日は、同じ勤務時間になった桔梗が廊下で待っている。遅れては申し訳ない。
 ぶつぶつ文句を垂れる琴子を急かしながら、真里奈は廊下へ滑り出た。
 そこでは案の定桔梗が待っており、僅かに頬を染めて出てきた琴子を見てころころと笑う。

「あら、隠したの」
「…モトちゃん、気づいてたの?」
「そりゃあ、あんだけついてれば。すごいわよねぇ、愛よ、愛。あんた、入江さんが神戸から帰ってきてからずっとそんなのつけてるじゃないの」
「愛…」

 琴子は恥ずかしそうにはにかんだ。
 桔梗はくねくねと身を捩り、何やら悶えている。

「琴子は俺のものってことでしょ。あの入江さんがそんな風な反応を見せるのが琴子だけってのがツボよね」
「そ、そうかな~」
「独占欲じゃない。入江さんの独占欲なんて素敵だわっ」

 さっきまで恥ずかしくて落ち着かなかった琴子も、桔梗の言葉にようやく気持ちが落ち着いてきた。
 確かに、神戸から帰ってきてからこちら、時間の許す限り琴子に己を刻み込んでいる直樹を思うと、悪い気はしない。
 入江くんだってあたしのことが…そう思うだけで、なんでも許せてしまう気がした。
 ところが。

「信頼してないだけだったりしてー」

 にやっと真里奈が笑う。今度は、琴子は目を見開いた。
 それは思ってもいなかった答えだった。
 思わず不安で顔を曇らせる琴子を、桔梗が真里奈を窘めながらも励ます。

「余計なこと言わないの!」
「だって、他の可能性ったらそんなトコでしょ」

 あっけらかんと言う真里奈に、他意はない。それだけに琴子はその言葉が気になって仕方なかった。
 帰ったら聞いてみよう。そう思う。

「さ、仕事よ、仕事。琴子は今日は手術室?」
「うん、簡単なものだけど」

 強引な桔梗の話題転換に驚きながらも、琴子は少し感謝した。
 ものすごく気になることが出来てしまったけれど、頭を切り替えなくてはならない。桔梗の強引な話題転換についていくことで、琴子は無理矢理、頭からそれを追いだした。





            **********






 その日の疲れを気だるいものに変えられた琴子は、事後のゆったりとした時間に浸っていた。
 直樹の腕は温かく、琴子の背中をしっかりと抱いている。
 広い胸に頬を当て、何気なく琴子は自分の体を見下ろした。白い肌には新旧さまざまな赤い華が散っており、今日またいくつか増えたように見える。
 なんだか急に恥ずかしくなって、琴子は直樹の胸に顔を埋めた。

「…なんだよ、まだしたい?」

 ううん、と首を横に振る。直樹の声は優しかった。
 それに後押しされ、琴子は思い切って真里奈の言っていたことを確認してみることにする。

「ねえ、どうしてこんなにたくさん、キスマークつけるの?」

 僅かに直樹の目が揺らいだのを、琴子は見逃さなかった。
 直樹の言う通り、変なところで鋭いのだろう。
 答えを待つ琴子を見つめ、直樹はどう言ったものかと考えた。
 俺のものだと刻んでおきたい、主張させておきたいと思うから痕を残す。それは独占欲だ。けれど、それだけではないこともわかっている。
 嫉妬―――鴨狩の一件で直樹が知った、人間らしい感情の一つ。それが原因として大きい。
 でも、それを口にするのは憚られた。
 
「理由なんてないよ」
「嘘」
「…くだらないこと気にすんな」

 ぺし、と琴子の丸い額を叩く。
 琴子はむうっと口を尖らせ、直樹から体を離して彼を覗きこんだ。 
 向けられる真っすぐな視線が後ろめたくて、直樹は僅かに視線をそらした。琴子は体にブランケットを巻きつけ、入江くん、と少し硬い声で呼ぶ。
 琴子の頭の中では、桔梗の言葉と真里奈の言葉がぐるぐる回っていて、今は、真里奈の言葉の方が勝りつつあった。
 直樹の言葉をしっかりともらって、安心したい。強くそう思う。

「ちゃんと答えて。あたし、いっつもからかわれるんだからね、恥ずかしいんだから」
「ふーん」
「あたし、こんなのなくたって…」
「どーだか。お前、なんも考えてなくて無防備だからな」
「なっ…」
「目印つけとかないと、美味い菓子につられてホイホイ付いて行きそうだし?」

 あ、と直樹が思ったときには遅かった。いつもの調子で、つい言葉を重ねすぎた。
 琴子の顔が見る見る強張り、信じられないと顔に浮かんでいる。
 白い肩がふるふると震え、琴子は悔しそうに唇を噛んだ。

「い、入江くんは……あたしのこと、全然信用してないんだ…!」

 琴子は悔しかった。
 過去も、今も、未来だって、直樹以外を見つめることなどないと断言できる。それくらい直樹を想っている。
 直樹が助かるなら命だって差し出すのも平気だ。一生に一度の恋が愛になった時に、琴子は直樹に魂まで囚われている。
 だというのに。

(わかってくれてるって……信じてくれてるって思ってたのに…)

 大好きと、許される限り言ってきた。直樹は、言葉なんて口に出した瞬間に誠実なものも不実に変わると嗤うけれど、琴子のそれだけはいつだって受け止めてくれていたから、伝わっていると思っていた。
 違ったのだろうか。琴子の独り善がりだった?
 こんなキスマークを大量につけねば、琴子が他の男に目移りすると思われているかと思うと、琴子は怒りで目の前が真っ赤になった気がした。

(そんな程度のものだと思われていたなんて…!)

 琴子の目に傷ついた色が浮かび、直樹はぐっと息が詰まった。
 こんな顔を見たいわけではなかった。
 つい先ほどまで甘い時間を過ごしていたのに、どうしてこんなことに――そう思って、自分の発言のせいだと思いだす。
 またも自分は、自分の勝手な感情で琴子を傷つけたのだ。
 何を言っても言い訳にしかならない気がして、直樹は手を琴子に伸ばしかけた腕を下ろす。
 抱きしめてくれることなく下げられた腕を見つめ、琴子の顔が歪んだ。

「……あたし、シャワー浴びてくる…」

 床に落ちていたパジャマを拾い、琴子が冷めた声でそう呟いた。
 直樹に止める言葉は残っていなかった。



関連記事

総もくじ 3kaku_s_L.png 【二次創作】
もくじ   3kaku_s_L.png   中編
*Edit ▽CO[1]
Tag List  [ * ]    

~ Comment ~

承認待ちコメント 

このコメントは管理者の承認待ちです
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
  • 【バカップルのマタニティーブルー -後編-】へ
  • 【Monopolistic Desires  -2-】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。