*初恋*

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 入江さん家が大変だ!-1- 入江さん家が大変だ!-3-
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「長編」
入江さん家が大変だ!

入江さん家が大変だ!-2-

 
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入江さん家が大変だ!-2-


(体調へのお気遣い、いつもありがとうございます!調子が良かったので、出来たところまでアップしていきたいと思います♪
細やかながら、いつも気遣ってくださる皆様へのお礼になれば幸いです!…って、まだ完結してないんですけれども^^;)





 高校生のあたし達に車が運転できるはずもなく、入江くんとあたしはおばさんが呼んでくれたタクシーでショッピングモールにやって来た。
 最近オープンしたここは、新興住宅地が近いからか比較的家族向けを意識しているらしく、大型スーパーと大手子供用品店、それからファストファッションのお店なんかが入っている。
 普段、じん子と理美と来るときはスーパーだの大手子供用品店だのには用がないから素通りなんだけど、今日は別。
 いつもなら覗く店を逆に素通りして、あたしは入江くんと赤ちゃん用品のお店の前に立った。
 入り口にあるマネキンも子供だったり赤ちゃんだったりで、なんだか独特な雰囲気を感じてしまう。
 店内にいるのも、お腹の大きな妊婦さんか子連れの人ばっかり目につくし……って、そうか。あたしと入江くんも、今は子連れなのよね。
 入ったところで違和感なんてあるはずないんだった。
 そして、その違和感を消してくれる素晴らしい人物である梓ちゃんは、入江くんに抱っこされてご機嫌だ。
 
「あぶぶぶぶ~」

 唇をぷるぷるさせて遊んでる。

「可愛いね、入江くん。あぶぶぶ~、梓ちゃん」

 入江くんに張り付いている梓ちゃんに、梓ちゃんがしていることと同じことをするときゃっきゃっと笑った。
 やーん、本当に可愛い♪

「おい、お前が赤ん坊と精神年齢が同じってことはよくわかったから、タオル寄越せよ」
「そんな意地悪言う人にはあげない」

 唇をぷるぷるさせて遊んだせいで、梓ちゃんの口からはだーっと涎が出ている。
 最後の一枚だという今つけているよだれかけは、そのせいでべっちゃべちゃ。後少しで入江くんの服にも滲みてしまいそう。
 わかっているけど、入江くんの言い方が気に入らなくて、あたしはつんっと横を向いた。

「おい、琴子」
「琴子さん、タオルをくださいませんかって言ったらあげる」
「……てめぇ」
「いらないならいいよ。梓ちゃんの涎で滲みつくればいいじゃーん」

 歩きながらあっかんべーっとすると、入江くんがひくっと顔を引き攣らせた。
 そして、梓ちゃんの体が落ちないように支えながら、あたしに顔を近づけてくる。
 ひぇっ……そ、それ反則!
 息がかかりそうだよ、入江くん!

「お前そんなこと言っていいの?誰が中間テスト見てやったんだっけなぁ?」

 うぐっ! 
 今もそれを引き合いに出すなんて、ずるい!

「ちゃ、ちゃんと写真は返したもんっ」
「F組の奴らを見てやるところは条件に入ってなかったよな?」
「うっ……」

 ま、負けた―――ッ。
 あたしは悔しさに口を尖らせながら、梓ちゃんの荷物が入ったトートバッグから、可愛いガーゼのタオルを取り出した。
 入江くんがちょっと胸を反らせるから、梓ちゃんと入江くんの間にそのタオルを敷こうと手を伸ばした。

「入江くん、ちょっと屈んでよ。やりにくいよ」
「ったく、小せぇな」
「入江くんが大きいの!」

 一言余計なんだよね、入江くんは。
 でも、ちゃんと少し屈んでくれた入江くんと梓ちゃんの間に、あたしはきちんとタオルを敷いた。
 これで大丈夫!
 って、あれ?今何か光った……?
 そんな気がしたあたしだけど、そういうことには敏感な入江くんが平然としているし、きっと気のせいね。人も多いから、誰か写メでも撮ってるだけかもしれないし。
 入江くんはかったるそうに肩を鳴らすと、くいっと指で赤ちゃん用品店を指した。

「じゃ、さっさと買って帰るか」
「そうだね」

 歩き出した入江くんの横を歩けるように、あたしはパタパタとついていく。
 それで、気付いた。
 いつもあたしが入江くんの横を歩こうと思ったら、大股になるか小走りか。いいとこ競歩ってとこなんだけど。
 だけど今日は、少し急ぎ足くらいで横に並べる。
 きっと、梓ちゃんを抱っこしてるから、入江くんも気を付けてるんだ。
 ああ、優しいな……入江くん。みんなに大きな声で教えてあげたいくらいだよ。
 小さかった裕樹くんにも、こんな風にしてあげてたのかな?
 ふと浮かんだ疑問を、あたしは入江くんにぶつけてみた。

「ね、裕樹くんが小さかった時も抱っこしてあげたりしたの?」
「まぁ……年も離れてるし、時々」
「そっか。いいなぁ。あたし一人っ子だから、兄弟姉妹って憧れなんだ」
「ふーん」
「こんな小さな妹がいたら、あたし寂しくなかっただろうな」

 つん、と梓ちゃんのほっぺを突く。柔らかくて、プリンみたい。
 あたしがいつか結婚したら、二人は産みたいな。絶対独りぼっちにならないようにしてあげたいな。
 しばらく、つんつんと梓ちゃんの頬を突きながら歩いていると、ふと、入江くんの視線を感じた。

「?なに?」
「いや、別に」

 入江くんは、すぐに目を逸らしてしまう。変なの。
 あたしは首を傾げ、それからぐるっと見回した店内に目的の哺乳瓶を見つけて走り出した。

「入江くん、これこれ!」
「ったく……」

 お目当てのものを手にして戻ってきたあたしを、入江くんが呆れたように見下ろす。
 でもね、あたしの気のせいかな。
 入江くん、確かに呆れてるんだけど、ちょっと優しい目をしてる気がする。
 赤ちゃんパワー?
 入江くんはあたしの頭をくしゃっと撫でると「次はスタイだろ」と言って歩き出した。
 あたしはと言えば、入江くんに撫でられた前髪を直しながらも、茫然……だって、入江くんがあたしに触ってくれたんだよ!?
 これに興奮しないで何に興奮しろと言うの!
 もちろん入江くんにとっては何の意味もない行動なのはわかってる。今だって、入江くんはずんずん歩いて行っちゃうし。
 だけど、だけど……優しかった。
 お父さんとは違う優しさがあったよ。 
 入江くん……やっぱり、大好き。
 あたしは自分でも些細なことだなって思うようなことで胸キュンしてしまい、飛び跳ねるようにして入江くんと梓ちゃんを追いかけたのだった。





 そんな風に入江くんと梓ちゃんしか見ていなかったあたしだから、全然気づかなかったの。
 大きなショッピングモールで、どこで誰が見てるかなんて……。
 入江くんが顔を近づけてきた時に、周囲にはキスしてるように見えてたことも知らなかったし、他のやり取りを見て微笑ましく見ている人たちがいることも知らなかった。
 当然、カクーン!と顎を外した金ちゃんとそのお友達(舎弟っていうの?)が、茫然と見ていたことなんて、知る由もなかったの。
 





   
                     *****************






 無事帰宅したあたし達を待っていたのは、慌てたおばさんだった。

「ただいま」
「帰りました~」

 口々に帰宅を告げるあたしと入江くんの前に、紙袋に色々詰めたおばさんが出てくる。
 出てきた時とは違い、夕時の朱い色に包まれたリビングから出てきたおばさんの顔色は、採光が十分でないにしてもお世辞にも良いとは言えないものだった。

「ああ、お兄ちゃん、琴子ちゃん!よかった、あと少し待って帰ってこなかったら書置きしていこうと思っていたのよ!」
「はぁ?」

 突拍子もないおばさんの言葉に、入江くんが盛大に眉を顰める。
 ……その顔、梓ちゃんが真似したら嫌だからやめたほうがいいと思うなぁ。
 そんな呑気なことを思うあたしだったけど、続くおばさんの言葉には驚いた。

「梓ちゃんのお母さんから連絡があって、病院ですぐに手術しないといけない腫瘍が脳に見つかったって……それで、ちょっとママお手伝いしてくるから!」

 え、え?どういうこと!?
 
「お袋が行ったってやることなんてないだろう!?」

 入江くんがもっともな疑問を口にする。

「言ったでしょ?旦那さんは海外で単身赴任なのよ。彼女のご両親は北海道だっていうし旦那さんのご両親はもう他界なさってるっていうし。入院のお手伝いができるのはあたししかいないの」
「だとしても、この子はどうすんだよ」
「お兄ちゃんがいれば安心よ。裕樹はいないんだし、お兄ちゃんと琴子ちゃんで面倒みててちょうだい」
「はぁ!?」
「裕樹のお世話、覚えてるでしょ。何でも覚えてるのがあなたの特技じゃないの」

 あっという間に決まって行くことに、あたしは口を挟むこともできなかった。
 おばさんは入江くんを言いくるめると、キーボックスから車の鍵を掴んで嵐のように出て行ってしまう。
 残されたのは、疲れて眠る梓ちゃんと、何が起きたかいまいち事態が掴めていないあたしと、明らかに不機嫌そうな入江くんだけ……。
 え、つまり、これは……。

「あたしと入江くんで、梓ちゃんのお世話するってこと?」
「……悪夢だ」

 ぼそっと答えて、入江くんはリビングへと入って行ってしまう。
 
「琴子」
「は、はい!」

 リビングドアを潜るところで入江くんが振り返って、にやりとあたしを見て笑った。
 あれは、何か悪いことを思いついた時の顔!?

「離乳食、頑張って作れよ。もちろん俺のメシも」

 これってこれって……もしかしなくても、夏休み最終日の再来……!!??







あの夜が再来したら、梓ちゃんはひっくり返ったキッチンを見て泣きだす気もしますが(笑)。
さあ、入江くんはどうするんでしょう~。

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~ Comment ~

 

おはようございます。更新ありがとうございます。
懐かしい子育て時代を思い出すお話なんですよね^^
スタイは本当にお世話になって…1日に10枚以上替えたことがあって最後はタオルを巻いてあげたり(よだれってかぶれるんですよね)懐かしい!
梓ちゃんのママ、大丈夫だといいな。やっぱり二人より赤ちゃんのママが心配で気になりますね。

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こんにちは! 

更新ありがとうございます!
う~ん、梓ちゃんのママの件、ガチなのか紀子さんの演技なのか? 彼女、策士なので…後者?
子連れ夫婦もどきをいろんな人に見られてたみたいですね(笑)
あのフラッシュは、間違いなくママでしょう?!このショット、頂き~!
赤ちゃんの夜のお世話はホント大変だよねぇ。離乳食?アニキスでパパママ学級に行ってるイリコト思い出したら、琴子の離乳食ってとんでもない!って思ったけど(なぁ笑) 琴子、がんばれるかしら…。続き楽しみにしてま~す!

 

更新ありがとうございました!
おぉーっ、周りから見れば只の子連れの新婚さんですね。ベビーを構う琴子に萌えた(?!)入江くんが優しくて、そんな彼に興奮する琴子が可愛いです(^^)

でも夏休みの再来の料理作り‥梓ちゃんには琴子の離乳食はきっちぃですね(^^;)はうぅ~

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

そう言っていただけると嬉しいです(^^)
この、なんの抵抗もないこの頃の可愛さは特別だよなぁって思いながら書いておりました♪
そうそう、最終的にはタオルですよね(笑)ファッション性?そんなのより実用性!とばかりにうちの子も巻いてました。
梓ちゃんのママは名前だけの登場ですが、このお話の雰囲気のままですので大事には至りません。やっぱり、赤ちゃんの幸せはママあってこそ、ですよね。

>ちぃ様 

>ちぃ様

あんなにくっつておいて、本人たちは何もわかってないっていうのがいいですよね♪
金ちゃんとしては
『お、入江と琴子や → 赤ん坊!? → 嘘や、なんで入江と琴子が赤ん坊と… → き、キスしとるんか!?』
という感じでしょうか(笑)。舎弟二人も、パニックに陥る金ちゃんを落ち着かせるのは大変だったと思います(^^;
梓ちゃんのママは大丈夫!今後も名前だけの登場ですが、無事だということがわかるようにさせていただきますね!

>あやみくママ様 

>あやみくママ様

琴子ちゃんならやりかねません(笑)でもそこは入江くんがいるので、きっと大丈夫!見兼ねて、手出しせずにはいられませんよね。
子連れショッピングは目撃者多数の模様です♪え?あれ?と、多くの人が見て噂になりますよね。ママの狙いはそこ!?
学校の人間には納得の結果なんて思われてたりしたら、入江くん怒るんだろうなぁ…(^^;

>chan-BB様 

>chan-BB様

私こそご無沙汰してしまってごめんなさい~(汗)!!
赤ちゃんの描写でそう言っていただけて嬉しいです♪この頃に喋るわけないのは覚えていたんですが、はて、どこまで声を出したっけ?なんてところが思い出せず……可愛い時期でいいよね、なんて思いながらもドキドキでした(笑)。

高校生が赤ちゃんのお世話とか、実際あったらひっくり返っちゃいますよね。しかも、入江くんと琴子ちゃん!
そのドラマも見ていたいかも(笑)世代というより、私自身あまりドラマを見ないで来ているので、単に知らないだけという可能性が高いです(^^;

ってchan-BB様もそっちの妄想を!?こ、これはやはり書けというカミサマからの啓示……!?
不正コメント、多分それです(笑)……と思ったら、二つ目のコメントでご報告があって吹き出してしまいました(笑)!!
本文だと乳○OKなのに、なんでコメントだとNGなんでしょうね。不思議…。

>あけみ様 

>あけみ様

梓ちゃんのママ、大丈夫!ガチですが、ちゃんと元気に帰ってきますから♪
あのフラッシュ、後々絡んできそうですよね(笑)。ママもいそうだし。

アニキスの離乳食は衝撃でした。澄ました顔で試食できる入江くんを尊敬(笑)!
いや、もっと衝撃は妊婦体験してる入江くんかも?あの入江くんがここまで成長(?)するとは!なんて♪

残念なことにこちらの入江くんはまだ青いので、そこまで至ってはくれません。
が、青さ全開で振り回される彼を楽しんでいただければ思います♪

>ちぇるしぃ様 

>ちぇるしぃ様

そうなんす、随分若い(笑)子連れ夫婦って感じですよね♪
あの二人は、高校生の頃から並んでいるところがよく似合うので(^^)。
琴子ちゃんは入江くんの全てに萌えていますが、私は琴子ちゃんの全てに萌えていたりします♪可愛いですよね、琴子ちゃん!

夏休みの再来……食事はもちろん、キッチンは無事で済むのか。
色々不安が待っていそうです(^^;
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