*初恋*

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「二次創作」
短編

一回分の…?

 
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一回分の…?

※琴美が生まれた後の未来設定です。







 その日、入江家に素っ頓狂な声が響き渡った。
 急なそれに、キッチンの紀子はお玉片手に顔を出し、珍しく夫婦揃った休日を楽しんでいた直樹は、器用に片眉を上げた。
 直後、ドタドタドタ…と上から転がるように下りてくる音がする。

「い、いり、入江くん…!」
「お前は……いい加減落ち着けよ」

 膝の上でごろごろと転がって遊んでいた琴美が、直樹にそっくりな顔をして琴子を見上げる。

「ママ、いい加減落ち着きなよ」
「今に転ぶぞ」
「ね~っ」

 ね~、のところで顔を見合わせる辺り、イイ性格まで似てしまったようだ。
 ひくっと顔を引き攣らせたものの、琴子はずいっと直樹にあるものを突き出した。
 白いスティックには小窓が二つ。両方の小窓には、縦に線が入っている。
 親子のやり取りを微笑ましく思いながら引っ込もうと思っていた紀子は、それを見た瞬間に奇声を上げていた。

「んまー!!!琴子ちゃん、それは!!」

 琴美はそれが何だかわからず、直樹は驚いている。
 琴子は嬉しそうに笑って、ぎゅっと妊娠検査薬を握りしめた。

「はい!二人目ができました!」
「っきゃ~~~!!!」

 すてき、すてきよ琴子ちゃん!!!
 今にもどこかへ飛んで行ってしまいそうなほど喜ぶ紀子に、琴子はにこにこしている。

「…琴子」

 直樹が呼ぶと、琴子は呼ばれるがままに直樹の隣に座った。

「よく気付いたな」
「だって……遅れてたし。それに、高温期も続いてるから」
「そうか」

 琴美に妹か弟を、という話が出てから、琴子は基礎体温を測るようにしていた。
 その基礎体温は、二週間ほど高温期をキープしている。検査薬とそのことがあれば、まず妊娠を疑っていいだろう。
 後は正常なものであるかどうかを、しかるべき場所で見てもらわなくてはならない。
 
「これから行くか」

 何気に今すぐ席を立ちそうな直樹に、琴子がぶんぶん首を振った。

「いいよ、入江くんはせっかくのお休みじゃない。行くならあたしだけで」
「休みだから行くんだろ」
「けど…」

 今はまだ9時半をまわったところだ。斗南大学病院の外来は11時まで受け付けているから、今出れば十分間に合う。
 だが、直樹はただでさえハードな勤務をこなしての休日だ。
 初産ならともかく、琴子でさえ何となく勝手を覚えていることだから、貴重な休みを潰してしまうようで申し訳なさが先立ってしまう。
 と、ここまで黙って両親のやりとりを聞いていた琴美が、ねぇ、と声を上げた。

「ママとパパ、おでかけするの?みーちゃんも行ける?」
「病院だから、琴美はばぁばとお留守番だな」
「えっ、ママどこか悪いの!?」

 普段は直樹と一緒になって琴子をからかうこともある琴美だが、琴子のことはやはり大好きだ。
 琴子が病気なのかと想像しただけで、大きな目をうるうるさせている。
 直樹と琴子は顔を見合わせ、それから、ふふっと笑った。
 大きな手で琴美の頭を撫でながら、直樹が優しい声で言う。

「ママのお腹に赤ちゃんがいるかもしれないから、診てもらってくるんだよ」
「赤ちゃん?」

 まだ膨らんでもいない琴子のお腹をじっと見つめ、琴美が首を傾げる。
 ああ、きっと実感がわかないんだろう。そういえば、賢い賢いという琴美でも、赤ちゃん返りなんてしたりするんだろうか。
 そんなことを思って目を細めた琴子の胸に、琴美がにゅっと手を伸ばした。
 直樹を乗り越えて、慎ましやかな琴子の胸が鷲掴みにされる。
 さすがにこれには誰もが驚いて、琴美の行動を見て固まってしまった。
 琴美は何かを確かめるかのように琴子の胸と、鷲掴みにした自分の小さな手を見比べている。
 そして、悲痛な声を上げた。

「ママ、一回分しかないじゃない!」
「……は?一回分?」

 一体何のことを言っているのだろう。それとなく胸を庇いながら、琴子が直樹を窺う。
 天才と言われる直樹なら、琴美の言葉の意味がわかるんじゃないか?と期待して。
 だが、直樹にもいまいちわからないらしく、切れ長の目は「さあ?」と言っていた。
 琴美は心配そうにしている。

「ママのおっぱい、一回分しか赤ちゃんのご飯ないよ。リカちゃんのママは十回分くらいありそうだからいいけど……これじゃあ、赤ちゃんがお腹空いちゃうよ!」
「……!!!!!」

 あんぐりと琴子は口を開け、直樹がぶはっと吹き出した。
 そう。
 琴美は、琴子の胸を見て、そこに一定量のミルクが入っているものと思っているのだ。さらにそれは補充されるとは思っていない。

「琴美、少し残してたっけ…」

 しかも、前回から減る一方らしい。
 紀子がキッチンに引っ込んで笑っているのを聞きつつ、琴子は「みーちゃんっ」と琴美を睨んだ。
 まさか、こんなことを心配されるとは思っていない琴子である。
 だが、琴美は真剣だ。
 生まれてくる前からこんなに心配するなんて、琴美は良いお姉ちゃんになってくれるに違いない。

「パパ、何とかできる?」
「そうだなぁ。今から大きくなれるのかどうかだな」
「パパは天才のお医者さんだから、絶対できるよ!」

 …それでは手術である。
 悪意は一切ないのはわかっているが……琴子はぷるぷると震えた。
 あくまで善意で子供らしい心配をしているだけの琴美を叱りつけるわけにもいかないが、こんなことを外で吹聴されたら敵わない。
 だが、そんな琴子の困惑などどこ吹く風。
 直樹はくっくっと喉を鳴らして立ち上がると、キーボックスから車の鍵を取り出す。

「そのことも聞いてくるから、琴美はお留守番な」
「はぁい」
「琴子、行くぞ」

 ちゃり、と鍵が鳴る音を聞きながら、琴子は真っ赤な顔で立ち上がった。
 紀子は黙ってこれまでのやりとりを聞いていたので、琴美を抱き上げて「いってらっしゃい」と見送ってくれている。
 連れ立ってリビングを出ようとして、琴子は前を歩く直樹が急に足を止めたので、その広い背中にぶつかってしまった。
 直樹は何を思ったのか、琴子を通り越して琴美を見ている。

「琴美」
「なに?」
「パパが頑張れば何とかなるから、心配するなよ」
「うん!」
「い、入江くん!!」

 何をどう頑張ったら、“一回分しかない”サイズのものを増やせるというのか。
 琴子がぎゃあ!とばかりに悲鳴を上げる。
 もちろん、琴美がおかしな風に受け取るはずがないとわかっているのだが、そこはそれ、琴子には琴子の事情がある。
 ……というより、心当たりと言うべきか。
 案の定、オトナな紀子はそちらの意味で取ったようで、にんまりと目を三日月にした。

「まぁまぁ、お兄ちゃんったら張り切っちゃって。みーちゃん、今日はばぁばと寝ましょうか」
「いいけど、なんで?」
「パパ、赤ちゃんのいるママを大事にしながら大事なお話したいんですって」

 一体何を、どれだけ“大事”にするというのか。
 もちろんわかるはずもない琴美は、直樹そっくりなのに直樹は絶対に見せない無邪気な笑顔を浮かべ、大きく頷いた。
 





 余談だが。

「安定期入るまでは無茶しないようにね」

 琴子の行動パターンを聞き及んでいた担当医師が、しっかりと釘をさす。
 それを当然の注意だなと聞いていた直樹だったが、直後に

「入江先生も、安定期入るまでは(主に夜に)無茶させないようにね」

 と、ありがたくない注意を受けて、憮然としていたのは二人の秘密なのであった。




END



実話です。
ええ、切ない部分でですね……詳しくは申しませんけれどもね。
後半はイリコト風の味付けです♪ここは実話じゃありませんよ~(笑)念のため!
というわけで、イリコトに二人目の天使ちゃんが来てくれたら?の未来IFでした(^^)




この場をお借りして……交流のあるサイト、ブログ管理者様へ。

今、相変わらずの段取りの悪さをプライベートでも発揮しており、自分とこの管理で手一杯で、良くしてくださっているサイト様のところへ遊びに行けておりません(><)
ご挨拶にいかなきゃ!と思ってはいるのに、力尽きる日々……本当にごめんなさい!
落ち着いたらまたのこのこお邪魔しますので、その時はよろしくお願いいたしますm(_ _)m
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>ちぃ様 

>ちぃ様

実は琴子ちゃんに惚れこんでいる入江くんが、一人で満足するかな?とか思いまして♪琴子ちゃんも、入江くんの子ならたくさん欲しい!とか思ってそうですよね。私も第一子が琴美ちゃんなので、二番目は男の子とか、双子とか……色々妄想してます(^^)

子供の発想、怖いですよ~!みーちゃんは天才の血を引きつつも、子供らしく無邪気に爆弾落としていくとかがいいな、と思っております(笑)結局、今回の鷲掴みといい、貧乏くじ(?)ひくのは琴子ちゃんなんですけれどね(^^;

>REE様 

>REE様

や、なんか改めてですとなんか照れます///ありがとうございます!

どこからどこって、そりゃもーひんぬーのあたりですよ……ええ。ものっそ悲しげに言われましたもん。何がさらに悲しいって、琴子ちゃんはスリムですが私の場合は余計なお肉が多いので「ここは違うでしょ?」と脇肉を掴まれたことですね。酷いよ我が子!と内心で叫んでおりました。

入江くんが頑張れば、琴子ちゃんは何とかなるそうですよ(笑)バカップルシリーズじゃないのに、入江先生は琴子さん好き、とバレてる入江くん……さぞかし、あの秀麗な顔が引き攣っていたものと思われます(^m^)プッ
みーちゃんに、また病院で爆弾発言してもらいたいですよね。
そして後に出現する熊(笑)。いや、短編ですから、無言で恐ろしげなオーラを出して行き交う人々をビビらせる天才医師、とかいかがでしょうか♪

>ひろりん様 

>ひろりん様

さすが、良い勘をしていらっしゃる(笑)!
最後の段落はイリコトならではですよ~、あはは!って、全力で否定するのもどうかって感じもしないでもありませんが(^^;

思春期のみーちゃんや、ブラックみーちゃん!?
そ、それはまた、なんて心惹かれる……小学生くらいになったら、学校でも習うし自分でも勉強していく中で知ったりしてそうですよね♪
みなさまのところに遊びにいきたくても、なんだか調子悪くって。風邪ですかね。薬飲めないから、バッタンキュー(死語)しております。で、数日PCに触れられそうもないので、せめてとお返事にだけ来たのですが(汗)
ひろりん様、忘れないでくださいね(><)

>ちぇるしぃ様 

>ちぇるしぃ様

ななっ、なんて羨ましい!!
この叫びだけは、琴子ちゃんとのシンクロ率200%ですよ!(笑)
幻でもそうなってみたい……私、初回に増えた体重分の肉は全て脇と背中に流れたんですよねぇ。(ダメダメ)
寄せ集めたら憧れの巨乳になれないかなぁ、なんて琴子ちゃんのようなことを真剣に思っております。

入江くん、きっとソフトにですね…なが~く効く感じで。じわじわ、じりじり(笑)。
でもそうそう、胸はあんまり弄っちゃいかんのですよね!あ、でも先日もらってきた産院のパンフレットに、安定期入ったら乳頭マッサージしましょうと書いてあったので、きっとそれは入江くんの役目ですね♪
天才だから(?)「これにはコツがあるんだ」とか言って、琴子ちゃんを丸め込んでそうです(笑)

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

例え真っ平でもって(笑)さらりと書いてありましたが、思わずそこで吹き出してしまいました~!
そうそう、真っ平(いや、慎ましやかと言うべきですね・笑)に近いからこそ、みーちゃんに心配されてしまって、入江くんがとんでもないこと言いだして。
でもその野獣も、医師(私も多分女医さんだろうと思います)に太い釘を刺されて、身動きできず……地獄だ、とか思うんでしょうね(笑)。
澄ました顔で安定期まで大人しくしてて、ある日突然「今日から5ヶ月だろ?解禁だな」とか言い出す彼が浮かんで消えません~(^^;

>りりぃ様 

>りりぃ様

こちらの予測の斜め上をいきますよね、子供って(笑)
母乳の出が良すぎるなんて、素敵じゃないですか~!でも、上のお子様はびっくりしちゃったのですね。牛だなんて、それも可愛いと微笑ましく思いました♪
みーちゃんも、そのくらい無邪気に聞いたんだろうなぁ…。

可愛らしいエピソードでほっこりした気分です。ありがとうございました♪

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