*初恋*

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 今日も噂のバカップル 二人乗り
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「バカップル」
バカップルライフ

バカップルの出産模様

 
 今日も噂のバカップル 二人乗り
バカップルの出産模様

(※それほど具体的にしてはいないつもりですが、出産に際して行われることがちょろっと書かれています。
途中まででも読んでみて、これは駄目かも…と思われた場合はすぐに引き返してください。よろしくお願いいたします。)





「お疲れ様でした」

 無事手術を終えた直樹が、ふぅ、と息を吐きながら手術室から出ると、そこには泣きそうな顔をした桔梗がいた。
 一体何があったのか……そう口にしかけて、直樹ははっと気づく。

「琴子か?」
「はい。さっき来て、今は――」
「わかった、すぐに行く」

 後は看護師にに任せて問題はない。元より、手伝いで入った手術だった。
 直樹は急いで身支度を整えると、琴子のいる部屋へと急ぐ。

――陣痛室。

 それが、今琴子のいる戦いの場であった。





                                      ************





「子宮口は開いてきてるのに、破水しないわね」

 思うように進まないお産に汗ばむ琴子の足元で、担当医の女医が僅かに眉を顰める。
 3cmほど子宮口が開いたところで、陣痛は足踏みしてしまっていた。
 
「いいわ、破水しちゃいましょう」

 言うや否や、女医の手にコッヘルが渡される。痛みで何が何だかわからなくなっていた琴子は、卵膜を破られる時も痛みを感じることもなく、ただ、じゅわっと水が零れていくのを感じていた。
 
「これで勢いがつくといいんだけど…」
「琴子ちゃん、頑張って!」

 付き添いの紀子が、まるで自分がお産をするかのように顔を真っ赤にしながら応援してくれる。
 琴子は破水のために大股を広げた状態のまま、力なく頷いた。
 そんな琴子の耳に、パタパタ、パタパタ、と音が聞こえるてくる。きっと誰かが歩いているんだろう、としか琴子は思わなかった。
 痛みの波がくれば、それどころではないこともある。
 琴子は時にベッドのフレームを握り、時に紀子の腕を掴みながら、必死で息み逃しをしていた。
 その時だった。

「あのぅ、入江さん。今平気ですか?」
「は、はい?」

 痛みの感覚が引くのを待って、琴子が応える。
 すると、カーテンの隙間から顔見知りの産婦人科の看護師が顔を出した。

「ごめんなさい、入江先生を中に入れていいですか?」
「はい?」

 ぐぅう、とせり上がってくる痛みに脂汗を浮かべながら、琴子が看護師を凝視する。
 看護師はそれはもう言いにくそうに、そのぉ、と続けた。

「さっき、今処置中だからって入室を断られたままなんですけど……入江先生がうろうろしてて、邪魔なんです」

 入江直樹と言えば、斗南大学病院きってのイケメン医師。
 結婚しても不動の人気を誇るというのに、その彼が……邪魔。
 琴子は一瞬陣痛を忘れ、顔を引き攣らせた。

「ま、まさか、さっきからパタパタ言ってるのって」
「入江先生のスリッパの音です」

 身長もある直樹が、熊のようにうろうろと廊下を行ったり来たりしていたら、それは確かに邪魔だろう。
 紀子がぶふっと吹き出す。

「というわけで、中に入ってもらっていいですか?」
「お、お願いします…」

 他に一体どう言えばいいのか。
 琴子は必死でベッドフレームに掴まりながら、まさか邪魔だと言われているとは思わないであろう直樹を想った。
 夫に恋する妻として、ではない。

(こんな時に何してるの、入江くんーっっ)

 …という、琴子にしては至極まっとうな叫びのために。







 破水してから勢い付いた琴子は、ほどなくして分娩室へと移った。
 もちろん、しれっとした顔で直樹がそこについて来ているのは、誰もが予測していることであるので、今さら誰も何も言わない。
 両親学級に出て出産に関するビデオを見ることが立会いの条件としている斗南大学病院だが、直樹がそれをさっさと借りて見ていることもまた、周知のことであるというのも、誰も何も言わない理由にあった。

「ちくっとしますよー」

 出産のために切られた会陰の縫合の為、女医がそう声をかけた。
 痛みからの解放と、無事出産を終えたことへの安堵から放心状態だった琴子は、特に何も言うことなく枕元に立つ直樹を見た。

「いりえくん……」
「…よくやったな、琴子。ありがとう」
「うん、うん…っ」

 子供のように両手を伸ばし、琴子が直樹に縋りつく。
 
(やってろ、バカップルめ…)

 少々やさぐれた気持ちで女医は処置を終えると、内心のやさぐれっぷりを綺麗に隠し、にっこりと微笑んだ。

「さ、お部屋に戻っていいですよ」

 その言葉に、看護師がつつ、と車いすを押して寄ってきた。
 陣痛が長引いたことで消耗の激しい琴子だったから、それで病室まで運んでくれるようだ。琴子はふらつく足取りながらもしっかりと地に足をつけ、車いすに乗ろうとした。
 …のだが。

「入江先生、車いすがありますが」
「もったいないので、それは次の人へ。琴子は運びますから」
「……」

 看護師が、呆気に取られたように直樹を見ている。場所柄、それなりの数を揃えている車いすの、一体何がもったいないというのか。
 産後の疲労の中でも、琴子はツッコミの嵐に襲われていた。
 思えば。
 検診の時から内診のカーテンの中に入ってきたりしていた男である。出産に立ち会うのは容易に予測できていた。
 当然、産後のこの行動も予測すべきだったと思う。
 嬉しくないわけではないけれど……あの直樹がと思うと、嬉しい気持ちの方が大きくもあるのだけれど。
 やっぱり、ここは職場でもあって。
 今後も復帰したいことを考えると、これが伝説となって語り継がれるのではないかという懸念は拭えない。
 というより、それは確信に近いものがある。

「いいよ、あたし車いすで…」
「行くぞ、琴子」
「……はい」

 問答無用。
 直樹は琴子をしっかりと抱き直すと、スタスタと歩き出した。
 それを見送る分娩室のスタッフの目は……皆様の予測の通りである。





 当然の如く、この話はあっという間に産婦人科から外科へと伝わり、面白がった西垣によって脚色されたものが、全ての科に回ることになった。
 そしてさらに当然の如く、廻り廻ったその話を聞いた直樹が、黄金の右足で西垣の脛を強かに蹴ったことは語るまでもない…。




END




オチ役ありがとう、ガッキー!(主にそういう意味で)愛してるよ(笑)!
女医さんは、お忘れかもしれませんが「バカップルのマタニティライフ -初めての病院編-」で登場した土屋先生です。お忘れかな~という可能性を考えて、今回は名前を出しておりませんが。

余談ですが…一部は実話です(^m^)フフッ
陣痛室の前をうろうろする旦那さん……親友も驚いたそうで。その部分だけ借りていい?って聞いたらOKくれたので、イリコトのネタにしちゃいました♪自分のとこはありえないけど、ひと様のラブラブ話は大好物です♪
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祝!無事出産 

無事ご出産を迎えたイリコトを有難うございました。すっかりクリスマス仕様になった御宅で幸せな2人を観ることが出来て、とても嬉しいです。
琴子ちゃんの頑張る出産シーンに遥か昔(!)の我が経験を重ねつつ、入江君らしさに爆笑の連続でした。琴子ちゃんは入江君の暴走に戸惑ってますが、いえいえ、処置中だからとちゃんと外で待つあたりは彼にすれば上出来でしょ(笑)しかも最後の縫合とかも、自分が遣ります、とか言い出さなかっただけエライと褒めてやりたいくらい(笑)そして車椅子は「勿体無い」じゃなくて、ただ「邪魔」なんでしょうよ(笑)日本語は正しく使おうね~♪天才なんだから(笑)
直樹の黄金の右足に蹴られた西垣医師に、それでも噂の真相聞きたくて今日もたくさんの直樹ファンが群がることでしょう~♪
師走間近の寒い日々、miyaco様もどうぞ御自愛下さいませね。有難うございました。

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>かくちゃん様 

>かくちゃん様

私も書いていて懐かしくなりました。いわゆる安産ってのがどんなものかもわからず、とりあえずこの痛みが早く終わってくれ~!って思ってて。琴子ちゃんもこの経験を大事に覚えつつ、二人目の誕生を迎えるのかなぁなんて思います(^^)

そして、入江くん。多分しれっとした顔で「ビデオ借りれます?」とか言ったんですよ(笑)。
あの入江先生が!とさぞかし噂になったことと思われます♪結婚しようが子供がいようが、きっと大人気でしょうから。
職場での出産……琴子ちゃん、どこの産婦人科なら個室でご飯が美味しいとかよりも、入江くんの傍で!っていうのを優先させそうですよね。だから、なんでこんなことに…と思いつつも、受け入れてる気がします♪
この二人が仲良しでいれば、斗南大病院は安泰かも!?

>REE様 

>REE様

どの季節でもバカップルは健在です♪おめでたいお話だし、ほら、クリスマスってキリストの誕生日だしってことで強引に…(笑)。
熊のようにウロウロしても、イケメンはイケメンです♪私も友人の話を聞いた時は、微笑ましく思ってしまいました。職業柄、血が怖くないっていうのもあるのかなとは思いつつ(うちの旦那は血が怖いと言って立会いを拒否しやがったので)愛を感じますよね(^^)

もったいない車いすってどんな!?ですよね(笑)もしかしたら、この後のお産で“血が怖くてびびってる旦那さん”を見て、安堵するかもしれません。これこれ、これが普通よ!って。そして妊婦さんは、思いがけずリラックスできて……あれ?いいことだらけ!?

お陰さまで体調は安定してきました(^^)子猿に振り回されさえしなければ、もっと創作に時間をかけられるのに…ぼちぼちストックもなくなってきて、焦っております(汗)!

>まぁに様 

>まぁに様

間違いなく伝説ですよね(笑)
高校では「IQ200の天才がいた」と噂になり、大学では「学生で電撃結婚した」と噂になり、職場では「(文字通り)全部に立ち会ったらしい」と噂になり…フッ。
琴子ちゃんの心の声は『痛い、痛い~~…けど入江くんが……まだパタパタ言ってるぅ~!』とかでしょうか。

初産って未知の世界だからしんどいですよね。私も途中で「無痛に切り替えたいです!」と泣き言言ったら「もっと時間かかりますよ」と返されて、泣く泣く耐えた記憶があります(笑)。それでも懲りずに…それもわかります!不思議と忘れちゃうからできるんですよね。

ガッキーへのメッセージ、私から彼に伝えておきたいと思います!

>ちぇるしぃ様 

>ちぇるしぃ様

愛ですよ、愛♪
まさかそんなことになるなんて思ってなかったでしょうし(笑)
ガッキーの噂、それいい!!と思いました(^m^)ププッ
多めに縫ったって……もっとキツくなっちゃうよ!!とか。きゃ~、入江くんったら!!
って、はっ!噂でしたね、ガッキーの流した(笑)いかん、ガッキーに踊らされるところでした~。

三度もあって、一度もですか!うちは次回がようやく二度目ですが、それでも夫の鳥レベルに親近感を覚えます(笑)今度も逃げるんだろうなぁ、と。
でも、真夜中の出産の折のお話、勉強になりました(にやり)♪そうか、そうすれば巻き込めるのか……ふふふ…。

>もりくま様 

>もりくま様

あはは、琴子ちゃんは「やめてぇ~~~!」ってところだったようですが(笑)

でも、旦那さん!ダメダメ!それは出産で疲れたママのためのもの!!それはキレますねぇ、私でもキレると思います(^^;
コンビニのおにぎりじゃ償いにはなりませんよね!

>moko様 

>moko様

ああっ、moko様が倒れてる…!誰か、特効薬(エロ)を…!

入江くんは、そりゃあもう大事に扱ったと思います♪まさに“真綿に包むように”。ベッドに下ろすときだってそうっとで、離れる際はさり気に頭なんて撫でちゃったりすればいいよ!なんて思っておりました(笑)。
私も、二人にしかわからないっていうの大好きです~!イリコトをよく知る人々にはバレバレなんだけれど、その他の人にはいまいち伝わっていなくて、あの二人は本当に夫婦?とか言われているとか。なのにふとした時にバレてしまうとか!
moko様の妄想、私も美味しくいただきました。アザーッス!!
クリスマス妄想素敵すぎです(笑)!ここじゃアップできないだろう妄想なのが惜しまれます~!ぜひ、ぜひとも描いてくださいませ!図々しくお願いしちゃいますよ、私(笑)!

表紙の完成、おめでとうございます(^^)
これから本文……ああ、早くもヨダレが。アップされるとすれば、ぴく○ぶでしょうか?週末にでも見に行ってみようと思いますので、お時間のある時に是非見せてくださいませ♪
お気遣いもありがとうございました!

>ちぃ様 

>ちぃ様

そうそう、原作だと微妙な感じですよね。原作だったら…処置中で入室を断られたなら、陣痛室前のベンチで微動だにせず待つ。ひたすら待つ!!みたいな感じでしょうか。それはそれで

看護師「あのぉ……入江先生が動かなくって、なんか怖いってクレームが入ってて」
琴子「…はい?」
看護師「というわけで、中に入ってもらっていいですか?」

とかになりそうですよね(笑)
この夫ならやりかねん、ときっと皆が知っていたんだと思います。ほんと、さすが♪
こんな恥ずかしい思いをしながらも、琴子ちゃんは懲りずに(?)斗南で第二子を産んで欲しいなぁって思っております(^^)

>ひろりん様 

>ひろりん様

キリストの誕生と共に、琴子ちゃんも無事出産です~♪って、ちっともキリスト関係ないんですけれども(汗)。

今回、ご自身の経験と重ねてのコメが多くて、皆様それぞれにエピソードがあるんだよねって感じました。
ひろりん様のご主人様だと、この入江くんのように「車いすはいらない」と言ってもおかしくないな、と思ってしまうのは何故でしょう。ふふふ(笑)
会陰の縫合まで入江くんにやられたら、琴子ちゃん恥ずかしくて憤死しちゃうかも!?そう考えると……よく思いとどまった、入江くん!ですね(^^;

ガッキーは、人が集まれば集まるほど調子に乗る気がするので、話せば話すほど話が大きくなっていくものと思われます。最終的に変な話になったものが入江くんの耳に入り、蹴りが入るんじゃないかな?なんて(笑)
お気遣い、ありがとうございました!
寒いからか、元からの眠り癖が出たのか、最近はお昼寝しても足りなくて、夜はかなり早めに就寝しちゃって(汗)。冬は駄目ですねぇ、布団が恋しくて恋しくて!

>あやみくママ様 

>あやみくママ様

「居て役に立たないのを見ると腹が立つから立ち合いはいらない」という意見もありますもんね。明らかに脇役っていうか、舞台上で言うなら役としては「木」的な扱いですから…(笑)記憶がないのも無理ないかなって思います。
っていうか、こんな活躍を見せられるくらいなら、外で待っててって思うかもですよね(^^;

出産のときのあの恰好、痛みでそれどころじゃないけど…なかなか、すごいっていうか酷いっていうか…な恰好ですよね(笑)。入江くんは気にしなさそうですが、琴子ちゃんは…ね(^^;

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

破水しても陣痛がとなると、辛いですね(><)とにかく出しちゃわなきゃいけないのに…お疲れ様でした!
今頃言われても、だとは思うと思いますが、なんか無性にそう言いたくなってしまいました~。

入江くんは今回も別に「愛してる」だとか「好きだよ」なんて言ってるわけじゃないんですが、その行動がいちいち琴子ちゃんへの愛で溢れてるんだよねって思いながら書いておりました♪幸せになっていただけて嬉しいです♪
土屋先生も、やさぐれつつも微笑ましく思ってくれている……といいなぁ(笑)。
オチのガッキーは外せませんでした!ガッキーには、お尻に貼れそうな湿布を贈りたいと思います!

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>あやみくママ様 

>あやみくママ様

ミルクを作る手順は完璧に行いそうですが、赤ちゃんってこちらの思い通りになんて行きませんもんね。入江くんですら振り回されたら……お、面白い(笑)!
そりゃあ、癒されるには琴子ちゃんが必須ですよね!柔らかい赤ちゃんを抱っこしていただろうに、別の柔らかいものを求めて……はうっ、油断したらまたピンク脳に(笑)。危ない危ない…。

実はですね、我が家の(そういう意味では全く役に立たない)旦那さん、子供と二人でお留守番したことがないんです……(--;
あれです。見てるよって言って、ただ単に視界に入ってるだけ、というタイプ。とてもじゃないけど預けていけない!ってわけで、多分私は生後1ヶ月の子でもぶら下げて小学校の行事に出てる気がします(笑)。スリングもらっちゃいましたもん~。頑張りマス!!
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