*初恋*

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 夏的恋愛二十題-9- 夏的恋愛二十題-10-
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「お題」
夏的恋愛二十題

夏的恋愛二十題-9・2

 
 夏的恋愛二十題-9- 夏的恋愛二十題-10-
9.汗の匂いにまで興奮します――直樹ver.


こちらも裕樹くん視点です。








 午前中からよく晴れた日は、夕方になると一雨来ることがある。
 たまたまその時に家にいた僕は、出先のママからの慌てた電話を受けて、洗濯物を取り込んでいた。
 下着類は別に洗い上げてあるから僕でも大丈夫、というのが理由にあったようだけど、目の前を流れ落ちる大粒の雨を見てしまえば、例えその中に女性物の下着があっても気にしてはいられなかったに違いない。
 ともあれ、何とか洗濯物を取り込んだ僕は、リビングで一息ついていた。
 とりあえず家の中には入れたのだから、とは思うものの、リビングの床にこんもり山となった洗濯物がそのままでいいとも思えない。
 僕は多分はマメな男というか……そう、真面目なんだよ。
 整理整頓されていないと落ち着かない、そんな一面も持ち合わせていたので、ごちゃっとした洗濯物の山が許せるはずもなかった。
 
「仕方ないか」

 僕はため息をつくと、一つずつ洗濯物を畳み始めた。






                                   ************





「ただいま」

 ドアが開く音と同時に、叩きつけるような雨の音がする。それはドアが閉まる音と同時に遠ざかり、スリッパを履く音、移動する音が続く。
 ほどなくしてリビングのドアが開き、僕は「おかえり」と顔を上げた。
 そこには敬愛してやまない兄が立っていた。

「なんだ、裕樹だけ?」
「うん。ママはお茶の先生に呼ばれたとかで午後から出かけてる。もうすぐ帰ってくるとは思うけど」
「ふーん」

 お兄ちゃんは朝と何ら変わりない室内をぐるっと見回すと、僕の手元に目を留めた。

「手伝うか?」
「ううん、平気だよ」

 お兄ちゃんは仕事してきて疲れてるんだ。こんな程度ことを手伝ってもらうなんて、悪いと思う。
 そう思ってすぐに答えた僕だけど、でもふと、目の前にそっくりのポロシャツが出てきて困ってしまった。
 薄紫のそれは、全く同じサイズ、同じ色。
 憧れの“娘とお揃い”を叶えるために、ママが買ってきたんだよな。僕、荷物持ちさせられたから覚えてる。
 琴子にも自分にも似合うものをって言って、あっちへウロウロ、こっちへウロウロ。挙句の果てにはフロアも変えてウロウロして、僕はすっごくうんざりしたんだ。
 どうやらそのポロシャツを、二人が揃って着た日があったらしい。
 らしい、というのは、覚えてないからだ。ママは大抵その上にエプロンをしちゃうから、その下に何を着てるかなんて見てないんだよ。
 僕は二枚のポロシャツを広げて、さてどうしようかと思った。
 そこへ、荷物を置いて部屋着に着替えたお兄ちゃんが下りてくる。

「やっぱり手伝おうか?」
「あー……うん、これだけいいかな。ママと琴子、お揃いみたいなんだ」

 僕は二枚のそれを指さした。
 お揃いならどっちがどっちを着てもいいよな、なんて思うものの、やっぱり嫌かなとも思われて。わかるものなら、ちゃんと本人のところへ置いて行きたい。
 そう言うと、お兄ちゃんは「お前も真面目だな」と言って笑った。
 そして僕の前に胡坐をかいて座ると、一枚のポロシャツを手に取る。
 少し顔に当てて、それからもう一枚を手に取った。

「こっちが琴子」
「え!?」

 な、なんでわかるの!?
 僕の脳裏に、数日前、琴子が僕とお兄ちゃんのTシャツを匂いで判別した衝撃が蘇る。
 まさか、と思うけど……。

「こっち、あいつの甘ったるいシャンプーの匂いがする」
「シャンプー?」

 僕は思わず確認しようとして、はっと我に返った。
 琴子のものだとお兄ちゃんが言うものを、僕が匂いを嗅いだりしたらどうなるか!?
 想像するだけでも恐ろしく、僕はごくっと喉を鳴らすと、伸ばしかけた手をそろそろと引っ込めた。

「お兄ちゃんが言うならそうなのかもね」

 うん、我ながら無難な答えだ!
 僕がそう言うと、お兄ちゃんは何も言わずにポロシャツを畳み始める。そして、次々に自分たちの洗濯物を選別すると、これまた見事な手捌きで畳んでしまった。

「じゃ、これ持ってくよ」
「あ…う、うん」

 僕は立ち去るお兄ちゃんを見送った。
 見送るしかできなかった。
 僕の手元に残ってるのは、パパとママと僕の洗濯物だけ。見事に琴子と自分の洗濯物を選り分けて持って行かれると、そんなに僕に琴子のものを触らせたくなかったのかなぁとも思う。
 いやいや、まさかそんな、お兄ちゃんに限って―――と思おうとするのに、僕の脳裏に浮かぶ言葉は1つ。

――似た者夫婦。

 琴子は馬鹿で、お兄ちゃんは天才で。
 けど、二人ともお互いの匂いが判別できて。
 僕は残りの洗濯物の山に、ぼすっと鈍い音を立てて上半身を預けた。

「付き合ってらんねー……」

 気づくと雨は止んでいて、僕は何故かどっと疲れた気分で残りの洗濯物を片付けたのだった。



END





入江くんver.をぜひ!という嬉しいお声をいただいて出来上がりました♪
多分ねー、入江くんだってわかっちゃいますよね(笑)
単に裕樹くんに「似た者夫婦」って言わせてみたかったのもありますが、こういう些細なことで夫婦な感じがするのも萌えでございます(^^)
入江くんがツンデレなだけに、余計にね♪

お題配布元:TOY様

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~ Comment ~

何でもこなすんですね入江くん。 

いいですね、洗濯物をたたんで疾風のように去っていった入江君。きっと触らせたくないんだ。うんうん。と私も思います。
さすがに琴子のシャツは脇の匂いかがなくて安心しました。
シャンプーの香りで良かった。

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>杏子様 

>杏子様

たかが洗濯物、されど洗濯物。なんとなーく自分以外の男が触るのは面白くない、と思ってるといいなぁなんて思いまして♪
入江くんが琴子の脇の匂い嗅いでも楽しそうですが(笑)ちょっとイケメンらしからぬ行動ですもんね。さすがにそんなのはさせられませんでした~(^^;ドSで変態になったら、どこに救いを見出したらいいのかわからなくなりますよね(笑)

>かくちゃん様 

>かくちゃん様

シャンプーなんて市販品、匂いが被ることなんてザラですもんね。女性陣と男性陣で使用するシャンプーは違いそうですが、少なくともママと琴子ちゃんは一緒かな?なんて思うし。それでも「甘い」とわかる入江くん。さすが天才です♪

私も匂いはそれほど敏感じゃないですねぇ。香水は苦手なのですぐわかるんですが…(^^;
匂い判定士って、なんかいいですね!とくに入江家若夫婦のお互い限定というのがまた萌え☆とニンマリしちゃいました(^^)

>ちぃ様 

>ちぃ様

バカップルシリーズじゃないのに、これほどバッチリあてられてしまう裕樹くんは、不憫以外の何物でもありませんよね(笑)
そうなんですよ、実は可愛くて仕方ない琴子ちゃんの匂いだから“甘い”んですよ♪でもって、当然のように入江くんはすぐわかっちゃうんです~!入江くんがその香りを嗅ぎたいがために、毎晩抱きしめて寝てる…というのに激しく萌えました……くぅ~~!!美味しい萌えをありがとうございます~!!

>babaちゃま様 

>babaちゃま様

夏って何かと忙しいですよね。冬もそうですが…盆暮れ正月という言葉があるくらいだから、やっぱり忙しないんだよねぇって思います。そんな中でもいらしてくださって嬉しい!ありがとうございます(^^)
一日中台所ってことは、babaちゃま様のご飯がすごく美味しいんだろうなぁ♪お袋の味を食べまくって、夏以降のエネルギーを貯めてるんですね、きっと!
そして、我が家もA型とB型夫婦なんです(笑)同じく入江くんと琴子ちゃんのように甘くはありませんし、まして入江くんのように奥さんの物を匂いで判別などできませんが(^^;
なんだかbabaちゃま様とお揃いのところを知って、嬉しくなってしまいました♪

>ひろりん様 

>ひろりん様

美味しいネタをありがとうございました♪どんなお話になるかな~とイリコト妄想をしていたところ、思ったより早くお話の神様が下りてきてくれたので、お出しすることができました♪最後の「付き合ってらんねー」は本当に自然に打っていた言葉なので、裕樹くんの本音だと思われます(笑)。
下着なんて触ったら、裕樹くん1ヶ月…いや、3ヶ月はツンドラ行きですね!もしくは、夜毎秘め事を聞かされる責め苦か!?
お揃いの服から入江家の男性陣の様々な姿、気持ちまで汲んでいただけて嬉しかったです(^^)さすがひろりん様!ありがとうございました♪

>narack様 

>narack様

入江くんなら、体臭でも選別できそうですけどね(笑)
私も入江くんには、加齢臭とは無縁でいてほしいです~!枕がくさい、とか言われてほしくない(笑)!それはうちの旦那だけで十分……(--;
似た者夫婦ですから、きっと琴子ちゃんが帰宅したら思いっきりハグ&キスだと思います♪
さり気なく独占欲を見せて、しかもそれが無自覚だとなお美味い。そんなイリコトが大好きです!(なんの告白だ)
こんな形で見える夫婦愛ってのもいいですよね。そう思っていただけて嬉しかったです♪

>おかき様 

>おかき様

自然と身についた家族円満処世術、という言葉に笑ってしまいました(笑)
意識しなくても自然にそんなのが身についてしまうなんて、裕樹くんもホント苦労人で……ぷぷっ!
なんせイリコトが仲良しでないと、入江家全体が沈んでしまいますもんね。はた迷惑な夫婦でありながら、でも大事な兄夫婦。裕樹くんにはこれからもがんばってほしいと思います(笑)
家政婦は見た!ならぬ、おかき様は見た!ですね(^m^)フフッ

>chan-BB様 

>chan-BB様

その後体調はいかがですか?今日も今日とてうんざりするくらい暑くって、chan-BB様は大丈夫かなぁ、と思ってました。そんな中でもお話を見てくださって、ありがとうございます!夏休み中になんとか20題上げてしまいたくて必死です(笑)。

ある資質(?)では似た者夫婦、というのに同意してくださって、きゃ~♪でした!(すいません、興奮しすぎて日本語がおかしく)琴子ちゃんはとってもナチュラルに匂いを嗅いで、くふふっと笑ってそうな気がするんです。そして、入江くん……さも当然のようですが、確かに隠れた変態性が見えるかも(笑)!シャンプーというのはとっても一般的な気もしたんですが、私の無意識のイメージが出てしまったんでしょうか(^^;
入江くんが洗濯物を何に使うのか…ドキドキしちゃったじゃないですか(笑)私にも見えた気がします。chan-BB様と同じものかどうかは自信がないのですが……どっちにしろ、アニマル的な入江くんでございました(笑)

納涼祭り、ソウ様が終了と仰るまで頑張りたいと思いますので、またいらしてくださいませ♪私もまた遊びに伺います!

>むさぴょん様 

>むさぴょん様

な、なんという恐ろしいことを…(笑)!
そんなことをしたら、裕樹くんは三日三晩魘されて、あまりの悪夢にげっそりやつれてしまいますよ(^^;
私の脳内では、さらっと笑顔であのコメを書きこむむさぴょん様が浮かんだのですが、裕樹くんは冷や汗ものだったと思います。
というわけで、そんな裕樹くんからむさぴょん様に一言。

裕樹「こ、怖いこと言うなよ!僕はまだやりたいことがたくさんあるんだぞっ」
直樹「良かったな。命あってこそだもんなぁ」
裕樹「…!!!!」

あれ、何故か入江くんまで出てきちゃいました(笑)。

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

ぷぷっ、なんででしょうね(笑)!脇じゃなくてシャンプーだから?それとも、入江くんがドSでもイケメンだから!?
これが船津くんやガッキーだと、途端に変態臭がぷんぷんになっちゃうんだろうな、なんて思いました(笑)。
どうせなら他の洗濯物も手伝ってあげればいいのに、それをせず…な入江くん。でもそんな彼を好きと言ってくださって嬉しかったです♪無自覚に琴子ちゃんラブな入江くん、本当に萌え萌えなものですから♪

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>吉キチ様 

>吉キチ様

琴子香フェチ、いいですね♪この香が五感をっていうか、主に下半身をくすぐった夜…ですね(^m^)フフッ

彼も言わないだけで琴子ちゃんラブだと思うので、匂いからその顔を思い浮かべてるのも納得です。切っても切れぬ縁、すごく素敵ですよね(^^)
万が一切れそうになっても、琴子ちゃんはもちろん、入江くんだって必死で掴んでそうですもん。
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