*初恋*

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 夏的恋愛二十題-14- 夏的恋愛二十題-15 後-
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「お題」
夏的恋愛二十題

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 夏的恋愛二十題-14- 夏的恋愛二十題-15 後-
15.じりじり。ちりちり。いらいら。-前-









「っきゃ~、可愛いわ琴子ちゃん!何でも似合うわ、琴子ちゃんっっ」

 俺は馬鹿みたいに騒いでるお袋を遠目に見ていた。
 ここは新宿の某デパート。
 嫌がる俺と裕樹、そして諦めの境地の親父は荷物として休日に叩き起こされ、夏のバーゲンとやらに引っ張り出されていた。
 俺たちが荷物持ちということは、メインはお袋と琴子の物。
 そして、自分の着るものはきちんとしてればそれでいいって感じのお袋は自分のものなど二の次で、本当の目的は「疑似母娘」体験だろうとわかっていた。
 案の定、お袋が目的地だと俺たちを引っ張っていったのは、今まで訪れたことのない若者向けのデパートだった。
 め、目がチカチカする…!
 なんだここ、お袋の用意した琴子の部屋みたいだ。レース、フリル、花、ビーズ!こんなデパートに男3人が茫然と突っ立ってるのは、明らかに異様だ。
 親父も居心地が悪そうだし…というか、俺たちは全員居心地が悪い。
 裕樹も可哀想だろ。帰りに荷物を持てばいいんだから、買い物が終わるまで俺たちはどこかで時間を潰していればいい。
 
「おい、お袋…」

 俺がそう口を開いた時、お袋がくるっと振り返った。そして、親父と裕樹を見る。

「パパ、まだちょっとかかりそうだから、裕樹を連れてどこかで待っててちょうだい」
「あ、ああ。うん」

 親父が頷く。よかった、実の息子のことも忘れてたわけじゃないんだな。
 俺はこの落ち着かない場所から離れられるならどこでもよくて、少しホッとした。
 が、しかし。

「お兄ちゃんはここよ。琴子ちゃんの服をあなたが選ばなくてどうするの!」
「俺は関係ねーだろ!」
「あるわよ。琴子ちゃんはあなたに可愛いって思ってほしいんですからね!」

 だから、そもそもそこから俺の知ったことじゃねぇんだよ!
 俺が思わず琴子を睨むと、琴子が「ひぇっ」と情けない声をあげてお袋陰に隠れた。お袋の目がキラッと光る。

「…そう。わかったわ。じゃあ琴子ちゃん、昔お兄ちゃんが着てたような可愛いレースいっぱいの、おリボンだらけのお洋服探しましょうか昔このお兄ちゃんが着てたような!!
「お、おばさん…!」
「お袋!」

 俺に突き刺さる視線の数々―――このフロアでそんなこと言ったら、俺が変態みたいじゃねぇか!
 じりじりと迫る苛立ちを押さえることもできず、俺の顔が険しくなる。
 そして俺が思わず足を止めると、お袋がニマッと笑った。くそ、これでこのまま俺一人でここを離れたら、女装するための衣装目的みたいに思われるかもしれない。
 親父と裕樹はすたこらさっさと逃げ出して、俺は孤立無援だった。
 思わず舌打ちをしてしまう。

「あの…入江くん、無理はしなくても別に…」
「うるさい。いいからさっさと選べよ」

 こうなったら付き合うしかないんだろう。
 俺はこれでもかというくらい無気力さを前面に押し出して、琴子にそう言った。投げやりな姿勢が気になるのか、琴子がちらちらと俺を見る。
 それでも、お袋があれこれ服を勧め出すと意識もそちらに向くのか、次第に俺を見る回数も減って行った。



 何店舗目になったのか…。
 かれこれ一時間近くうろうろしている俺たちだが、ついに琴子が欲しいものを見つけたらしい。
 服なんてありゃいいのにな。何をそんなに迷うのか、俺はちっとも理解できない。
 何はともあれ、琴子がようやく試着室へと消えていく。と同時に、お袋がつつつ…と寄ってきた。

「お兄ちゃん、ちゃんと褒めてあげなさいよ」
「はぁ?」
「あの服、絶対琴子ちゃんに似合うわ。なのにお兄ちゃんったら、当てつけに否定しそうなんですもの。琴子ちゃんに八つ当たりするんじゃないわよ」

 いいわね?とお袋が俺に指を突き付けた。うぜぇ。
 俺は鼻先に突き付けられたお袋の指を跳ねつけると、腕を組んだ。
 ほどなくして、琴子が試着室から顔を出して俺たちを呼んだ。

「ど、どうかな?」

 琴子が選んだのは、真っ白のワンピースだった。細い紐を首の後ろで結んでいる。
 …まぁ、似合うんじゃねーの。こいつ、あんまり濃い色似合わねぇし。
 お袋が俺の脇腹を肘で突く。褒めろってことか。

「……それなり」
「ほ、ほんと?」
「ああ」

 お袋が隣で睨んでるけど、知ったことじゃない。最大限の賛辞は送ったからな!
 それに肝心の琴子が嬉しそうなんだからいいだろう?
 
「本当によく似合ってるわ。ねぇ、もうそれ着て帰りましょうよ!」
「え?これを?」
「そうよ!さっきまでの服は汗もかいてるでしょうし、包んでもらえばいいわよ。あ、ちょっと、すいませーん」

 こうなるとお袋の行動は早い。
 あっという間に店員を掴まえると希望を伝え、琴子は試着室に入った時とは違う服で出てくることになった。
 琴子は俺の不機嫌さがさっきから気になるらしく、試着室から出てきた後も俺の横でちょこちょこ顔色を窺っている。
 
「あとお会計するだけだから」
「そんなの、とっくにお袋が済ませてるよ」
「え!?」

 えっ、てなんだよ。こいつ気付いてなかったのか?
 お袋の今日のテーマは「疑似母娘体験」だ。当然、愛する愛娘に服を買ってやるのは母親の務めだと思ってる。
 だから、琴子が着替えている間にさっさと会計を済ませてしまったのだ。ついでとばかりに、ディスプレイされていた小さな靴まで買ってたけど、ま、それは言わなくてもいいか。
 俺には関係ねーし。

「そんな…どうしよう。入江くん、どうしたら…」
「やらせとけば?それが楽しいみたいだし」
「でも……申し訳ないよ」
「いいんだろ、本人が好きでやってんだから。それより、俺早くここから出たいんだけど」

 そわそわと落ち着かない琴子を睨むと、琴子ははっとしたように顔を上げた。
 そして、ふにゃっと眉を下げる。

「そ、そうだよね。ごめんね、行こう!」

 俺の腕を掴んだ琴子が、ぐいぐい引っ張ってお袋ところへ向かう。
 とりあえず、このわけのわからない独特の世界から抜け出せるなら、何でもいい。俺は琴子に腕を引かれるというよくわからない状況に口を噤み、一刻も早くと売り場を後にしたのだった。






「モテ琴子でドロドロしないヤキモチが見てみたい!」
…というリクを頂きまして、お題にぴったりのがあったので始めてみました♪

お題配布元:TOY様
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~ Comment ~

ママはウキウキね! 

やっぱり青い入江くんは、殺気立ってますね。入江くんのイライラ、ママのウキウキ、琴子のオロオロが目に浮かびます笑。
真っ白いワンピース、よく似合いそうですね。「モテモテ琴子」って事は、脚光を浴びちゃうんですね?
そりゃ、入江くんのイライラは募る一方ですよね笑。「似合わない」と悪態づかなかった事、すぐに後悔する事になりそうですね笑。さて、ヤキモチ妬いて、どんな牽制するんでしょ??入江くん、琴子への気持ちは無自覚でも、琴子に近づくオトコは無意識に蹴散らしてましたものね笑。ママと琴子には見えちゃいけないだけに、余計にイライラしちゃってそう笑。
続きも楽しみにしています。

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>REE様 

>REE様

買い物に付き合うのが苦手な男性は多いと思いますが、入江くんなんていかにもですよね(笑)
だけど、それを押し通すのがママパワー!
牽制…あれを牽制と言っていいのか。青いヤキモチって感じでしょうか(^m^)フフッ
いいですよね、無自覚~。本当は好きなんでしょ!と肘でウリウリしたい、そんな雰囲気が大好きです。前後編んのさっくり物なので、軽く読み流してくださいませ♪
日付が変わる頃にアップ予定です(^^)

>chan-BB様 

>chan-BB様

本当は1話ですっきりさせたかったのですが、前後編になっちゃいました(^^;
しかも、詰め込みすぎてアップアップです(笑)
女装遍歴をさらっとばらされるのはいつかやりたかったので、かなり満足しております♪chan-BB様にも好みと言っていただけてよかったです♪

ジリジリしてイライラして、ちりちり。どれも、今までの入江くんなら味わったことのない感情ばかりだと思うので、目いっぱい琴子ちゃんに振り回されて頂戴よ!と思っております(^^)
コントロールしきれるのかな?なんて(笑)
続き、日付が変わった頃にアップできたらと思ってます!お時間がある時にでも見てやってくださいませ♪

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

わかります、それ!
入江くんの嫉妬=琴子ちゃんが辛い目に、なんですよね(涙)私もそれが心苦しくてもう!!
琴子ちゃんはいつも通り自然体で、もうずっと入江くんラブなのがわかってるだけに、どうしてそこで矛先が琴子ちゃんになっちゃうの!って思っちゃって。
なので、このドロドロしないヤキモチというネタを頂いた時は、楽しく書けそうな予感で嬉しくなったんです(^^)

可愛い琴子ちゃんに群がるコバエ達を、無自覚な彼がバンバン撃ち落としますので、その青さをぜひ見てやってくださいませ♪

>むさぴょん様 

>むさぴょん様

ぶっ……あははは(笑)!むさぴょん様のコメントを拝見して、思わず吹き出してしまいました。
確かに入江くんのドSっぷりを見てると、普通の男子高校生のような行動には驚いちゃいますよね。気持ちはすっごくわかるのですが、もしやただのドS野獣だと思わせてしまっていた!?と思ったらもう(笑)

後半は無自覚に青くコバエを撃ち落としますので、お楽しみくださいね♪

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>吉キチ様 

>吉キチ様

確かに、強制的に一匹狼ですよね(^^;
ボスママと、オロオロ琴子ちゃんと、一匹狼な入江くん。なんというトライアングル…!
私なら裸足で逃げ出します(笑)

この頃はツンツンだけど、結婚後は……ねぇ?夜な夜なの辺りから、くふふっとニヤけながらコメを読ませていただきました♪ホントにその通りで、なんていうかもう、このオオカミ性格変わりすぎだよ!と(笑)でも間違いなくそうなんですよね。
イリコトやっぱりいいわぁ~…と実感です♪
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