*初恋*

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「お題」
夏的恋愛二十題

夏的恋愛二十題-14-

 
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14.どこへ行っても混んでいるので









 学生の二人は、授業さえなければ平日でも時間の融通が利く。この日、元々琴子は授業がなく、直樹は朝の授業だけ出れば後が休講になってしまい、空き時間ができていた。 
 そこに飛びついたのが琴子である。
 一緒にお出かけしたい、どこでもいいから直樹と歩きたい!とねだる琴子に根負けして――紀子の強力な後押しもあった――直樹は琴子と連れ立って、代々木公園まで来ていた。
 いつもの井之頭公園は飽きた、と琴子が言うから、じゃあ代々木公園にしよう、というわけである。
 木陰に並んで座り、広い中央広場を見渡しながら、琴子は首を傾げていた。

「入江くんって、公園好きなの?マニア?」
「ンなわけないだろ。今夏休みだぞ。平日だって、どこへ行っても混んでるに決まってる。俺は人ごみに好んで突撃するような酔狂はしたくないんだよ」
「ははあ……」

 確かに、代々木公園も人が多かった。
 これが土日になればフリーマーケットなども開催されて、夏休みということも手伝って、もっとすごい人出になるのだろう。
 そう思えば、中央広場で走り回る子供たちが多いのなんて、可愛いものなのかもしれない。
 直樹がごろっと芝生に横になった。

「あー…いい天気だな」

 直樹の呟きに、琴子も空を仰ぐ。
 遠くに見える入道雲がいかにも夏を演出する、見事な快晴だった。
 こうして風通しの良い木陰でなければ、立っているだけでも汗を掻きそうだ。
 
「そうだね、気持ちいいかも。エアコンの効いたお部屋とは違う気持ちよさだよね」
「……こういうところなら、二人で来てもいいんだけどな」

 琴子が行きたがるのは、人気のテーマパークだったりショッピングセンターだったり。
 どこも混んでいて、どこも直樹の好みではなくて。だから行きたがらないのだと琴子もわかっている。
 わかっていても、そういういかにもなデートスポットにも行きたいのが乙女心…ならぬ琴子の希望なのだから、仕方ない。
 琴子は苦笑して、目を閉じている直樹を見つめた。
 男性にしては長い睫毛が、切れ長な目元を縁取っている。確かにこれは、幼い頃は“美少女”にもなり得ただろうなと思い、琴子は一人笑みを浮かべた。声に出しては笑わない。直樹にとって、苦い思い出であることはわかっている。
 昼寝でもするつもりなのだろうか。
 目を閉じたまま喋ろうともしない直樹を見つめていた琴子は、ふと、憧れていたことを思いだした。
 いそいそと直樹の方にすり寄って、重たい頭を抱える。
 いきなり頭を持ち上げられた直樹が、さすがに目を開けた。

「何だよ」
「えへへ、膝枕したいの」

 したいの、と言いつつ、琴子は直樹の頭を強引に動かして、自分の膝に乗せていた。
 何でこんなこと、と思わないでもない直樹だが、琴子は酷く嬉しそうだし、枕にした琴子の太腿は気持ちよかった。

「……」

 直樹とて男。しかも、これでも琴子は恋女房だ。
 結局直樹は文句を言わず、そのまま再び目を閉じた。
 大好きな直樹に膝枕をして、ちょっと恋人らしいことを味わって。

(なんかカップル~って感じ♪)

 琴子はうふふ、と笑った。
 ほどなくして本当に眠ってしまったのか、直樹から静かな寝息が聞こえ始めた。医学部に復学してから、直樹は今までの遅れを取り戻すかのように勉学に励んでいる。
 それは思うように勉強できる喜びを謳歌しているようにも見えて、新婚なのに放っておかれることは寂しくもあったけれど、嬉しさのが勝っていた。
 昨日も遅くまで勉強していて、ベッドに入ってきたのは琴子が寝入ってからだった。時計は見ていなかったけれど、恐らく深夜1時、もしくは2時を回っていたかもしれない。
 だからきっと、疲れているんだろうと思った。
 琴子はワックスもつけられていない直樹の髪に、そうっと指を通す。
 こんな風に彼に触れられる日がくるなんて、出会った時は思いもしなかった。
 好きだ好きだと言いながらも、どこか夢物語を追いかけているようだったのだから。それでも、少しずつ積み重ねてきた年月が、こうして二人の関係だけではなく琴子の感情も成長させたのだと思う。

「大好きだよ、入江くん」

 知ってるよ、といつもなら返ってくる答えは、今はない。
 それでも、寝ている直樹の口元が僅かに笑みを浮かべたことで、琴子はちゃんと答えをもらったと思った。
 都会の熱気から逃れたような風が、ふわっと二人を通り過ぎていく。
 琴子は嬉しそうに直樹を見つめ、つんつん、と直樹の頬を突いた。
 頬、鼻と突き、そして最後に唇を突いた時、直樹がその指を咥えた。
 驚いて見下ろすと、寝ているはずの直樹が指を口内で愛撫してくる。指に感じる舌先にぞくぞくしたものを与えられて、琴子は小さく背中を震わせた。
 こんな爽やかな空の下で、こんなことを思うなんて自分はどうかしてしまったんじゃないかと思う。
 指を引き抜けばいいと思うのに、硬直してしまってそれも出来ない。

「……っ」

 転がすように指先を舌が這う。爪の生え際、爪先――ぐるりと舌が絡まって、直樹の上顎のざらついたところに触れる。
 かと思うと甘噛みされて、指先からのみ伝わる微妙な快楽に、琴子の目が潤んだ。

(や…こ、こんなところで……)

 寝たふりかと思ったが、直樹はやはり寝ているらしい。
 だとすれば、随分悪質な寝惚け方だった。
 やがてちゅうっと音を立てて直樹が指を吸い上げた時、琴子はずくっと下腹部が疼くのを感じて、その刺激でようやく指を引き抜いた。
 引き抜いた指を胸元に抱き寄せ、琴子は信じられない、と直樹を見つめる。
 さすがに指がなくなって気付いたのか、直樹がふっと目を開けた。

「…お前、今俺の口になんか入れてた?」
「い、いり、いりえく…」

 琴子が真っ赤になって、ぱくぱくと口を動かす。

「ゆ、び…あたしの指、入江くんが」
「ああ、指だったのか」
「なんだと思ってたの…?」
 
 この時は純粋な興味で問いかけたのだけれど、後になって思えば、この時こんなことを聞かなければ、というような質問であることを今の琴子は知らない。
 指先への愛撫だけで感じてしまった自分が信じられない気持ちもあり、琴子はじっと直樹を見つめた。
 しばしの沈黙の後、直樹が琴子を見る。
 切れ長の目が何故か色気を含んでいる気がして、琴子ははっと我に返った。

「や、やっぱりいい、知りたくない!」
 
 琴子の膝から起き上がった直樹がニヤリと笑う。

「お前が聞いたんだからちゃんと答えてやるよ」
「え、あ、う……」
「――――だよ」
「え…」
「だから、お前の――――むぐっ」
「そ、そゆこと言っちゃだめ!」

 耳まで赤くした琴子が、羞恥に目を潤ませて直樹を睨んだ。
 一体、琴子の指先を何だと思っていたのか、この男。
 直樹は琴子の手を外させると、ぶはっと笑い出した。
 そして、可愛らしく直樹を睨んでいる(つもりの)琴子を置いてさっさと立ち上がると、琴子の脇の下に手を入れて立ち上がらせた。

「帰ろうぜ」
「え、もう?」

 ちょっと寝ただけで、まだお昼も食べていない。
 デートは始まったばかりで、とんだ羞恥プレイを強制されたと思っていたが、もう帰るつもりなど全くなかった琴子は非難の声をあげた。

「来たばっかりだよ」
「何、お前ここがいいの?」
「……?」
「ここでシタいなら俺はいいけど。お前も積極的になったもんだな」
「!!!」

 直樹の長い指が伸ばされて、琴子の唇をゆっくりとなぞった。
 それだけで、先ほど疼いた下腹部が再び熱を持つ。琴子は一瞬呆けたものの、恨めし気に直樹を見上げた。

「え…えっち!」
「褒め言葉と受け取っておくよ。新婚早々、奥さんに興味なくしてたらヤバイだろ」
「ううう~~~~~…」

 ひらひらと手を振って歩き出す直樹の後をついて行きながら、琴子は広い背中を睨んだ。
 じっとりと背中を伝うのは、気候のせいかそれとも…?
 先を歩く直樹のシャツの裾を掴みながら、琴子は赤くなって俯いたのだった。 



END




真昼間の公園で何してんだ、この男…。


お題配布元:TOY様
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>しょこら様 

>しょこら様

なんででしょうね、私も最初は「さわやか」「ほのぼの」を目指したんですが(笑)
言葉では言ってくれない入江くんの、体で示す愛をたっぷりと受け取る琴子ちゃんのお話になってしまいました♪
この続きは…あれです。あなたの胸の中でv-238…って、駄目ですかね(^^;

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>おかき様 

>おかき様

こちらこそ、ありがとうございます♪

木陰と言えば清里…た、確かに!いま、おかき様がすごくピュアに輝いて見えました(笑)!
なんでそっちに持って行けなかったんだ自分…(--;
お話からさらに妄想していただけたら、とても嬉しい事です。ぜひ萌え萌えしてくださいませ♪

>narack様 

>narack様

こちらこそ、色々…本当にイロイロとありがとうございました♪

琴子ちゃんは恋人気分でルンルンだけど、入江くんはピンクな気分で……あれこれ、それこれ。口では言えないようなことを楽しんでたんですね(笑)夢の中で、ですけれども。
獲物は従順についてきますから、帰り道の足取りはさぞ軽かったと思われます(笑)
奥さん大好きなんだよね!と生ぬるく見守ってやってください~。

公園っていうと、やっぱり明るく健全な場所というイメージがあるのにね。この野獣にかかれば、あっという間にサフ○リパークですよ。恐るべし、入江くん!!
楽しんでいただけてよかったです~♪

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

どんな琴子ちゃんでも、一度愛すると決めたら最後まで手を離さない。それが入江くんの愛ですよね♪「嘘偽りなく愛したい」って♪
ただ、乙女心なんて知ったことか!なお人でもあると思うので、やりたい放題です。赤ちゃん用玩具にそんな名前のものがありますが、まさにそんな感じ(笑)出す、引っ張る、押す、開く(何をかは紀子ママ様のご想像にお任せします♪)を思う存分楽しまれることでしょう。

紀子ママ様のコメントを拝見していて、確かにキラキラした恋人期間もって思いました。結局あの2週間、入江くんは会社に缶詰でちっとも二人で過ごせていないんですもんね。
ここはやはり、妄想すべき…!?

>むさぴょん様 

>むさぴょん様

無自覚に本能!
なんて的を得た表現でしょう!
私、久々にリアルで膝をぽんっと打ってしまいました(笑)。「それだ!」って。飾らないと言えば聞こえはいいですが、琴子ちゃんからは「是非飾ってください」という懇願が入りそうですよね(^m^)プッ

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>吉キチ様 

>吉キチ様

公園に響く子供の声、爽やかな雰囲気―――の中で好き勝手するドS(酷)!
何を口に入れた夢を見ていたのか、続きは吉キチ様の心の中で♪(某乙女ゲーム風に)
寝たふりじゃないですよ、本気で寝ていたドSなのです~。

火照った二人はこの後…そりゃもちろん、あれですよ。ゴチになりましたぁ!!!コースです(笑)
さすがに真昼間の都心の公園ではイタしていないと思いますが、どこかでご休憩なさったのではないかと…。
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