*初恋*

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 夏的恋愛二十題-11- 夏的恋愛二十題-12・5-
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「お題」
夏的恋愛二十題

夏的恋愛二十題-12-

 
 夏的恋愛二十題-11- 夏的恋愛二十題-12・5-
12.裸でウロウロ











 8月に入り夏も真っ盛りになると、割とスマートに暮らす入江家の人々もぐったりしていた。
 セントバーナードであるチビを筆頭に、琴子、裕樹とバテている。
 相変わらず澄ました顔をしているのは直樹だろうか。
 だが、その彼も休日はハーフパンツを履いて、上半身は裸という井出達で過ごしていた。

「い、入江くん!またそんな恰好で…!」

 先に起きて朝食の支度を手伝っていた琴子が、今にも皿を取り落さんばかりに驚く。
 新聞片手にダイニングに来た直樹は、真っ赤になった琴子を呆れたように見た。

「…今さら」
「い、今さらじゃないわよ!あ、あ、明るいうちからそんな…っ」
「お前の方こそ、明るいうちから何言ってんだ」

 直樹はそう言うと、堂々とそのまま食卓についた。

「だ、だだ、だってだって!入江くんがそんな恰好で来るから!」
「誰にも迷惑かけてないだろ」

 そう言われると、琴子は何も言い返せない。確かにここは自宅で、誰に迷惑をかけているわけでもなければ全裸というわけでもないのだから。
 ただやはり、いつまでも直樹に恋している琴子からすると、ちょっとばかり刺激的すぎるというだけだ。
 琴子は小馬鹿にされたのがわかり、むぅっと頬を膨らませた。
 自分ばかりが恥ずかしいなんて、ずるいと思う。
 琴子は持っていたお皿をキッチンカウンターに置くと、だだだ!と二階へと走っていき、すぐに戻ってきた。
 手には白い布を握りしめて。

「入江くん、これ着て!」

 ずいっと差し出したのはTシャツだった。直樹はそれをちらっと横目で見て、けれど、それだけで動こうとはしない。
 琴子の淹れた珈琲を飲み、ゆったりと新聞を読んでいる。
 どうやら、着る気はないようだ。
 琴子は「もうっ」と呟くと、手にしたTシャツを直樹に着せることにした。

「おい、琴子!」
「いいから着てて!目のやり場に困っちゃうの!」

 ぐいぐいと引っ張られ、直樹の頭がTシャツから出る。直樹はしぶしぶ袖に腕を通した。
 何の柄も、ポイントもないシンプルなTシャツである――表は。
 
「俺、こんなの持ってたか?」
「西垣先生がくれたの。どこだかのお土産だって言ってた」
「…へぇ」

 西垣、と聞いて直樹は僅かに眉を顰めた。だが、見る限り何の変哲もないTシャツだ。
 直樹は怪訝そうにしつつも、黙ってそれを着ていることにした。



 やがて朝食を終えると、直樹は注文していた書籍を受け取るために出かけることにした。
 白いTシャツにジーンズだけでも、長身でスタイルの良い直樹は映える。琴子は自分が着せたTシャツがどんなものかも忘れ、うっとりとその姿を見つめていた。
 そこに、何も知らない裕樹がトントンと階段を下りてくる。

「お兄ちゃん、出かけるの?僕も―――ぶっ!!??」

 ごふぅ!!
 裕樹が盛大に咽る。そして、がはっと苦しそうに息を吐き出し、そのまま階段の中ほどでしゃがみ込んでしまった。

「ちょ、裕樹くん?」
「大丈夫か?」

 さすがに驚いたのか、靴を履こうとしていた直樹が階段を上ってくる。
 それを涙目で捉えながら、しかし、裕樹は笑いを堪えるのに必死で首を縦に振ることしかできない。
 
「裕樹、本当に……」

 直樹がそう言って、裕樹の肩に手を置いた時だった。
 ついに笑いを堪えきれなくなった裕樹が、あはははは!と笑い出したのだ。

「お、お兄ちゃん、なにそのTシャツ!!」
「は?」
「背中っ……自分で選んだの!?」

 裕樹の笑い声を聞きつけて、キッチンから紀子も顔を出す。そして、階段の中ほどで笑い転げる次男と、それを怪訝そうに見下ろす長男の後姿をみて、彼女もまたぶーっと吹き出した。

「っまぁ!お兄ちゃんったら……そうね、確かに琴子ちゃんを苛めてるところはそうかもしれないけど、何もそんな自虐的なこと」
「何の話だ!」

 直樹は苛立って紀子の言葉を遮ると、ばさっとTシャツを脱いだ。
 その横では、顔色を変えた琴子がそそくさと避難しようと静かに足を滑らせている。
 …が。
 もちろん、当然のようにその逃亡は阻止された。
 じっとTシャツを見つめていた直樹が、そこに書かれた文字を確認した後、琴子の服をむんずと掴んだのだ。

「い、入江くんお出かけするのよね?あたし違う服を持って来ようかと…」
「――出かけるのはやめた。お前にじっくり聞きたいことがある」

 優しく笑う直樹の笑顔が怖い。
 ひっと小さく息を呑んで、琴子は乾いた笑みを浮かべた。

「あ、あたしじゃないの。西垣先生がね、入江くんにぴったりだからって……その、せっかく頂いたし、家の中で着るならいいかなとか思って」
「へぇ?」
「だから、その」

 琴子の声がみるみる小さくなっていく。
 直樹は笑みを深め、琴子の細い手首をぐっと掴んだ。

「俺としてはお前を大事にしてるつもりだったんだけどなぁ?心外だな、こんな風に思われてたなんて」
「……」
「俺の気持ち、全然伝わってなかたんだな?」

 え、あ、う、と呻く琴子は赤くなっていくばかりで、満足な言葉を発することができない。
 直樹はそんな琴子を米袋のように小脇に抱えると、立ちすくむ裕樹と笑い転げる紀子に向かって言い放った。

「邪魔すんなよ」
「はいはい、しませんとも!」
 
 むふふ、と笑う紀子の目は三日月型。直樹は冷やかしを多分に含んだ(というより、100%そうだろう)紀子の声に僅かに眉を顰めたものの、そのまま無言で寝室へと上がっていく。

「いやぁ~~~!おかされるーっっ!!」

 そんなトンデモナイ叫びを残す琴子を、裕樹が呆れたように見上げていたのだった。




                                  ◇◇◇



「うう……ひ、どい」

 しくしくと泣き崩れる琴子は、ぐったりとシーツに体を沈めていた。
 起き上がろうとしても腕に力は入らないし、腰は自分のものではないかのように重たい。だが、そうした原因である直樹はしれっとした顔で琴子を見下ろしていた。

「酷いのはお前」
「ちがうもん…」

 すっかり枯れた声で琴子が抗議するが、無駄なこと。ぎしっとベッドを軋ませて、直樹が琴子に覆いかぶさる。
 琴子は慌てて腕を突っぱねた。だが、力を入れることを忘れてしまったかのように、琴子の手は直樹の胸に押し当てられただけで。
 押しているつもりなのに全く結果が伴わず、琴子は情けなく眉尻を下げた。
 直樹がニヤリと笑う。

「や……も、無理」
「どうしようかな。俺、ドSらしいし?」
「……」
「お前が泣いてるとゾクゾクするんだよなぁ?」

 ああ、楽しい。直樹はそう言って意地悪く琴子を見下ろした。
 ぷるんっと震える琴子の胸に吸い付く直樹を何とかどかそうと試みながら、琴子がうえーん、と泣きを入れる。

「あんなTシャツ捨てるから、もう許してよ~~っ」
「どうして?俺結構気に入ったぜ。あれを着てれば堂々と琴子を弄れるってわかったし」

 違う。
 TシャツはTシャツであって、そんな免罪符ではない。
 力の入らない足を大きく割り開かれ、問答無用で圧倒的な質量を押し込まれた琴子が大きく喘いだ。
 再びあえかな声が満ちる部屋の隅で丸まる、くしゃくしゃになった白いTシャツ。
 その背中には、ただ一言――― ドS、の文字が輝いていたのだった…。



END





西垣先生が絡んで、結局入江くんが美味しい思いをするパターンです。
ガッキーは嫌がらせというか、単なる嫌味のつもりなんでしょうけれども……災難は琴子ちゃんですね(^^;
しかし、なんでこのお題でこの結果になるのか……我が脳内ながら、謎。


しかし、すでに8月も末だというのに、まだお題が12……31日までに終わるでしょうか!?

お題配布元:TOY様
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~ Comment ~

西垣先生、面白すぎです 

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>かくちゃん様 

>かくちゃん様

私もよくやります、誤送!気になさらないでくださいね(^^)
とても素敵なお題がたくさんある配布サイト様なので、きっと多くの二次作家様が楽しまれていると思います。
かくちゃん様にそう言っていただけて嬉しいです♪

琴子ちゃんは基本的に疑うことを知らない子…なんですよね。着せた後に「あっ」と思ったとは思うのですが、だからと言って今さら脱げとも言えず…さらに、入江くんが出かける時は忘れ去っているのですね(笑)裕樹くんが笑うまで思い出してもいないと思います。さすが琴子ちゃん!それに、琴子ちゃんが用心深くなったら入江くんはつけ入る隙がなくなるので、これでいいんだと思います~(笑)

>ちぃ様 

>ちぃ様

笑っていただけてよかった~!
実は旦那に「草食系」と書かれたTシャツをやろうと思って探していたら出てきて、これは間違いなく入江くんだな、と思って浮かんだお話でした。こんなもん送るの、ガッキーくらいしかいないですよね(笑)
ドS…すごいですよね。野獣でドS。琴子ちゃん以外に扱えるわけがない!
次も楽しんでいただけるといいな(^^)これから最後のチェックします♪

>しょこら様 

>しょこら様

あ、やっぱり見たいですか(笑)
ドSがドSらしくしようとすると……ここはやはり、お仕置き系の定番ですかね!?

>narack様 

>narack様

最終形態が野獣って(笑)!!
確かにそうなんですが、改めて文章になると笑えてなりません(^m^)プッ
あのまま外出してたらどうだったんでしょうねぇ…ご近所さんに見られて「入江さんちのお兄ちゃん、ドSって書いたTシャツ着てたわよ」とかママが言われて、そこから入江くんの耳に入って。結局琴子ちゃんはお仕置きでしょうか(^^;
こういう主張系のTシャツって流行ってるのでしょうか?子供の幼稚園の先生も「割引の乱!!」(超達筆)とか書かれたTシャツを着てらしたんですよ。やっぱり思わず「ぶっ!」って吹いちゃったのですが(笑)

入江くんが家で裸の場合、危険なのは琴子ちゃんだけ。そりゃもう、骨までしっかり滲みたと思います~。
今月中に何とかクリアしたいんですが、早くも後半のお題で前後編があり、前途多難です(><)

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

おお、そうなのですね!あんなカッコイイ人がドS…入江くんにも通じるものがあるような(笑)
琴子ちゃんは間違いなくドMですね。否定しそうですが、あの入江くんについていけるのだから、同じ思考、性癖ではダメなはず!

私も旦那のは…無理っていうか、拒否っ!
琴子ちゃんや紀子ママ様みたいな可愛い理由ではなく、目が拒否します(笑)いや~~、そのビール腹見たくないぃ~~!!!…みたいな。

>chan-BB様 

>chan-BB様

ネットでそのTシャツを見た時、これは入江くんのためにあるような…と思ったのです(笑)そんなもん買おうとするのはガッキーくらいでしょうし、その罠にはまったか上に家族に笑われたのでは、入江くんのドSもさぞ力入ったことでしょう(笑)
chan-BB様の作品、私もすごく楽しませていただいております♪おお、こう来たか~!とか思って、自分では絶対に書けないテイストだったりして、ホクホクです(^^)もっと読みたいので、隠居などおっしゃらず…!
でも、夏休みは本当に早く終わってほしいですよね(^^;指折り数えてます。
そして、様々なツールを使用する上での配慮、さすがです!私も同じことを考えたことがあったので、そうすればいいのか、と目から鱗の私…自力で気づけよ、という話なのですが(--;
また一つ勉強になりました。ありがとうございます♪

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>ぴくもん様 

>ぴくもん様

こんにちは♪
このTシャツはもう、入江くんのためにあるようなものですよね(笑)ドS…ツンデレがあればいいのに、と思ったりもしましたが、今後を考えるとドS以外ないかな、なんて(^m^)
琴子ちゃんらしい、と言っていただけて嬉しかったです!

そして、ふと思いついたというそれ……いただきました!ゴチです、ありがとうございます!!
次の更新で…って、えろなんですが。それで使わせていただきます~♪
ふふふ、入江くんが張り切るんだろうなぁ。
ドSを前面に出してくると思うので、琴子ちゃんには頑張ってもらおうと思います(笑)
美味しいネタ、ありがとうございました!

>hitomi様 

>hitomi様

あはは、そのプリントもいいですね(笑)ガッキーの「ドスケベ」には笑いました(≧w≦)プッ

そして、そうなんです。今まで一度もあの単語は叫んでなかったんですよ~。驚きですよね。
思春期まっただ中の裕樹くんに配慮?とも思ったのですが、そんな余裕が琴子ちゃんにあるわけもないし。でも今回言ってしまったので、今後出てくることは増えるかもですね(笑)
PCちゃん、お掃除から帰ってきたのですね。これからもhitomi様と繋ぐ大事なツールとして、私からも「おかえりなさい」と言わせていただきます♪

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>吉キチ様 

>吉キチ様

わかってたけど、ちょっとした悪戯心が芽生えてしまったのかも…(笑)
ドンピシャなだけでなく、口開というこれまた絶妙な単語に吉キチ様のセンスを見た気がしました。さすがです~♪

そして、天敵の彼ですね!
吉キチ様ならそう仰るかなぁとは思っておりました(笑)書こうかなとも思ったのですが、今回美味しい思いをさせてもらった入江くんとしては微妙らしく、コレという仕返しが思い浮かばないんですよ(汗)
何かイイのないかな?と考え中だったりします。ぎゃふんって悲鳴は、彼によく似合うんですよね…ふふふ…。
イイ仕返しが浮かんだら書きたいとは思ってます♪
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