*初恋*

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 夏的恋愛二十題-10・2- 夏的恋愛二十題-12-
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「お題」
夏的恋愛二十題

夏的恋愛二十題-11-

 
 夏的恋愛二十題-10・2- 夏的恋愛二十題-12-
11.「暑い暑い」「じゃあ離れれば?」

※渡辺くん視点です。ひさびさ~♪









 年に何度か、全学年が体育館に集まって集会がある。
 お決まりの校長の挨拶から始まって色々な話があるんだけど、高校三年ともなれば大体の流れはわかっているし、俺たちA組にとっては、この時間ですら惜しい。
 教師の話の合間も単語帳を捲ってる奴も珍しくないくらいだ。
 それと対照的なのがF組で、あっちはあっちでやっぱりこの時間が惜しいらしく、携帯を弄っていたりこそこそとおしゃべりをしていたりと忙しそうだ。
 俺はその中で、一人にこにことしている女の子を見つけた。
 やっぱり可愛いな、琴子ちゃん。
 別に彼女自身がしゃべってるわけじゃないんだけど、あの笑顔が人を惹きつけるのか、彼女の周囲はいつも賑やかだ。
 すると、その賑やかな中にいる彼女が、ふっとこっちを見た。
 と言っても、俺を見たわけじゃない。
 琴子ちゃんの視線の先には、俺の隣に立つ入江がいた。(今日は出席番号順で並んだわけじゃなかったからさ)
 澄ました顔で退屈そうにしている入江に、琴子ちゃんはベタ惚れだからな。
 琴子ちゃんの視線に気づいたのか、入江もまたちらっと琴子ちゃんを見る。すると、琴子ちゃんがぱくぱくと口を動かした。
 なんだ?

『入江くん、暑くない?だいじょぶ?』

 そう言ってるみたいだ。俺は読唇術とかできるわけじゃないから、多分だけど。
 入江は『ばーか』と口を動かした(ように見えた)。
 琴子ちゃんがむっと口を尖らせている。
 っとに、この二人……なんだかんだ言って仲良いよなぁ。
 何も学年の端と端のクラスで会話しなくたっていいだろうに。




                               ◇◇◇
 




 退屈な集会が終わり、ぞろぞろと各教室に戻る。
 学年ごとに、前から一年、二年、三年と並び、その中でAからFまで横並びになって話を聞いていたんだけど、体育館から出る時は端のクラスから出ていく。
 つまり、A組とF組から出ていくわけだ。F組の琴子ちゃんが、この集会の前後で入江に話しかけられる唯一のチャンスだった。
 思った通り、琴子ちゃんは入江を見つけるや声をかけていた。

「入江くん!」
「学校で話しかけるなって言ってるだろ」

 相変わらずつれない入江。だが、琴子ちゃんはそんなことじゃめげない。俺にも気づいて「渡辺さん、こんにちは」と笑ってくれた。
 ほんっと良い子だよな。入江目当ての女子にとって、俺って大抵オマケ扱いで無視されることが多いんだけど、琴子ちゃんは最初からちゃんと俺にも挨拶してくれる。それだけでもポイント高いと思う。
 その琴子ちゃんはさっくりと入江の言葉を無視して、ぱたぱたと手で顔を扇いだ。

「今日って暑いよね。体育館の中暑くてどうしようかと思っちゃった」
「ふーん」
「暑いよ~…入江くん、暑いの何とかしてよ」
「…じゃあ離れれば」

 離れればって言ってもなぁ、入江。そりゃ無理だろ。
 体育館と教室棟と繋ぐ渡り廊下は狭くて、今は生徒でぎっしりだ。琴子ちゃんが入江を好きとかを抜きにしても、近い距離に押し込められている状況だ。
 琴子ちゃんもそれは無茶だと思ったのか、ぷぅっと頬を膨らませた。

「入江くんって、ホント意地悪。あたしはこんなに入江くんのことを心配してるのに」
「誰も頼んでねーだろ」
「頼まれなくても心配なの!だって入江くんったら、暑さで食欲失くしても一食くらい抜いても平気とか言っちゃいそうなんだもん。ちゃんとお水とか飲んでるかな、とか考えたらキリなくって」
「ああ、それなら俺も似たようなこと思ったな」

 入江がそう言ってにやりと笑う。
 琴子ちゃんは不思議そうに首を傾げた。入江が自分のことを心配してくれた、とは思わないらしい。
 まぁ、今までの入江の態度からすれば当然なんだろうけど。

「暑いからってアイスばっか食って、お前が太るんじゃねーかな、とかさ」
「なっ…ふ、太ってないわよ!」
「どーだか。お前、ちょっと肉ついたんじゃねーの」
「つ、ついてないもん!前と一緒よ!」
「そういうことにしといてもいいけど」

 いやいやいや。
 入江、お前なに言ってんの!?
 なんでお前が琴子ちゃんの肉付きとか知ってんだよ!?(答え:薄着で琴子が家の中を歩き回ってるから)
 
「入江くんも、ちょっとくらいあたしの心配してくれてもいいのに」
「だから、お前の肉のつき方を心配したって言ってるだろ」
「っもう!そういうことじゃなくって!」

 琴子ちゃんが怒って入江を叩く。でもなぁ……なんていうか、擬音を当てるなら「ポカポカ」って感じで、ちっとも痛そうじゃない。
 むしろじゃれ合ってるようにしか見えない。
 俺は前の前で繰り広げられる二人のやりとりを呆れたように見ていた。こういうの、なんて言うんだったかな。

「痛ぇな!何すんだよ」
「え、あ、痛かった?ごめんね、えっと…ここ?痛い?」

 自分が叩いていた入江の腕を、琴子ちゃんがそっと撫でる。
 部活で日焼けしている入江の腕の色と、琴子ちゃんの白い指先が……なんか、妙にいやらしい。
 
「あんまり痛いなら保健室に」
「ばーか、嘘だよ」
「!!だ、騙したのね!?」
「こんなの騙したうちに入るもんか。さすがF組だな」

 笑う入江に、琴子ちゃんがむくれている。
 こういう素直な反応が可愛いんだよな、琴子ちゃん。
 でも、でもさ。
 ……。
 …………。
 この二人………こういうの、バカップルって言うんだよな?

「…いいからさっさと歩いてくれよ」

 さっきから移動の人波を止めて、狭い渡り廊下でこの頭を掻きむしりたくなるようなやり取りをしている二人に、俺は思わずそう呟いたのだった。




END




バカップルシリーズとは別ですが、無自覚バカップルで(笑)
入江くんが唯一まともに相手をして、なにくれとなく構う女の子は琴子ちゃんだけだといいと思ってます♪


お題配布元:TOY様
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こんばんは 

…答え:薄着で琴子が家の中を歩き回ってるから…今日の一番の私の笑いのツボ(爆)琴子を目で追ってる証拠です!体育館でも、何気に琴子を…。体育館の端と端で口パクの会話などいたしておりますね!教室に帰る道すがら、傍から見たらカップルのイチャイチャにしか見えません(笑)クソ暑いのにホントに迷惑な2人なんだからっ♡
まさに仰る通り、無自覚バカップルですね!やはり渡辺くん目線は面白い!! 夏話の更新、ありがとうございました!

>narack様 

>narack様

青い入江は書いてて楽しくても~!
ぷぷっ、そんなこと言っても実は~~なくせに!…というツッコミが大好きなのです(笑)
そのせいで、イリコトは狭い通路で進路を塞ぐという迷惑をやらかしてしまいました。邪魔だなぁと思いつつも、相手が入江くんという時点で言い出せない同学年。余所でやってくれ、と思いながらも最高学年の天才が相手で言い出せない下級生。イリコトの仲が実は興味津々な教師たちは「やっぱり仲がいいんだなぁ」とのんびり見ているといいな、と思っています。
大体、背の高い入江くんはともかく、琴子ちゃんはチビなのに(笑)入江くんだってしっかり見てるんじゃない!という感じですよね。

渡辺くんのバカップルリポート、また書けたらいいなと思ってます(^^)いいですよね、渡辺くん!
絶妙なそのポジションが羨ましくって!

>chan-BB様 

>chan-BB様

そうなんです、もう二人ともたまんなく可愛いんです♪
入江くんラブな琴子ちゃんはともかく、入江くんだって琴子ちゃんを見てるくせにそのことは自覚してなくて、肝心の琴子ちゃんもそのことには気づいてなくて、第三者だけが気付くというのが美味しくて♪
chan-BB様に萌えていただけただけでも、私はかなりの勢いで木を登っております。豚なのに!

chan-BB様作品で、渡辺くん視点ですと!?
きゃ~、それはすぐに読みに行きます!!もうアップされてるかな?これからお邪魔しますね!
渡辺くん視点と裕樹くん視点が重なる、というのは私も思います。どちらも入江くんを同性として近い距離で見ていますもんね。本人よりも先に、本人の気持ちを察するところなんかそっくりじゃないかと。だけれども、渡辺くんの方が琴子ちゃんに甘いんですよね(笑)うんうん、と頷いてしまいました!
「いいなぁ、入江は。あんな可愛い琴子ちゃんに好き好き言ってもらえてさ」と言いながら爽やかに笑っている渡辺くんが頭に浮かびました(^^)

>たーくんママ様 

>たーくんママ様

あはは、ツボ入ってくれましたか!嬉しい~~♪
そうなんですよ、ちゃっかり見てるんじゃん!!というツッコミが入りますよね、ここは(^m^)
渡辺くんの呟きは、全校生徒の呟きです(笑)。
でもバカップルは気づいていない。クソ暑いのに迷惑な、というのを見て、的確過ぎると笑ってしまいました♪
渡辺くん目線から見た無意識バカップル、また浮かんだら書いてみたいと思います(^^)
こちらこそありがとうございました!

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

私もこちらを書きながら癒されているので、紀子ママさまの気持ちがすっごぉ~~くわかります(笑)!
無自覚なだけに被害は大きく、今回は全校生徒となりました。このバカップルが動かない限り、後続の生徒は動けないわけですよ。なんて迷惑!
渡辺くんのツッコミを聞いて、入江くんはきっと我に返るんだと思います(笑)

直樹「ったく、お前のバカに付き合って俺まで馬鹿になるところだった」
琴子「なによ、失礼ね!入江くんだってバカじゃない!」
直樹「お前にバカと言われる筋合いはないね。俺が見てやらなきゃ中間死んだくせに」
琴子「ぐっ…」

渡辺「…だから二人ともさっさと歩けっての」

紀子ママ様とお話してたら、そんなミニ劇場が浮かんでしまいました(笑)
どこまで行っても無自覚バカップル~♪
って、人間で相手をするのが琴子ちゃんだけって(笑)でも入江くんだとそれもありえる、って思えてしまうのがすごいところですよね(^^;

>kaotokuchan様 

>kaotokuchan様

渡辺くんは大好きなキャラな一人です♪イタキスのキャラは基本的にみんな好きなんですが、彼の絶妙なポジションとその人間性がたまらなくって!
そんな彼から見たイリコトは、こんなバカップルでした(笑)
そうなんです、これが成長して自分の気持ちを自覚すると、あーんなことになってしまうのですね(^^;
第三者目線を通して、またイリコトの日々の妄想を綴って行けたらと思いますので、その時はよろしくお願いいたします(^^)

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>ぴくもん様 

>ぴくもん様

おはようございます~!
そうなんです、chan-BB様のところも渡辺くん目線で、一人で嬉しくなっておりました♪
渡辺くんっていいですよね。琴子ちゃんにも優しいからかな?なんて思うのですが。

弁護士を目指すだけあって…いやいや、単に無自覚なイリコトに当てられまくりだからか、渡辺くんもまた二人をよく見てたんだろうなって思うんです。琴子ちゃんが背の高い入江くんを見つけるのは容易いとしても、逆はけっこう見つけにくいと思うんですが、入江くんはしっかり見てて。お家でももちろん見てて。
夏休み中も「また寝坊してる」とか「起き抜けはさらに間抜けだな」とか言いながら、細かいところを見てるんだと思っております♪
気づいてくれたら嬉しいなってところに気付いていただき、ありがとうございました~(^^)/

>あやみくママ様 

>あやみくママ様

そうなんです、だだ漏れですよね(笑)
なのにどうして、他の女性と結婚してもやっていけると思ったのか……入江くんも、恋愛に関しては自分を見失っていたようです。あやみくママ様に言われて、しみじみそう思っちゃいました。
ほんと、恋愛偏差値低すぎですよね!
新しいお話は、入江くんがガッキーに弄ばれつつ美味しい思いをするお話になっておりますので、お時間がありましたら、ぜひお楽しみくださいませ(^^)

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>吉キチ様 

>吉キチ様

吉キチ様が実は実は、なんて素敵な妄想を書いてくださるから、読んだ瞬間に、青い入江くんが頭の中で琴子ちゃんの肉付き(早い話が裸・笑)を想像し、はっと我に返ってるシーンが浮かんでしまいました(笑)
そんな妄想がすんなり浮かぶ入江くん……そして、相変わらず入江くんラブな琴子ちゃん。
渡辺くんを含む他の生徒には、二人が無自覚に飛ばしたハートがビシバシ当たってたことでしょう(笑)。
それが痛いのもあって「他でやれよ!」な気分な渡辺くんだったのかもしれません(^m^)

見せないムッツリ君……同意ですっ!

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>吉キチ様 

>吉キチ様

なるほど~!!何せ入江くんは天才ですもんね。自らが思い浮かべた琴子ちゃんのあらぬ姿だって、忘れるはずがないのは当然です。
事あるごとに思い出し……ああ、なんてムッツリな(笑)!
ハワイの夜にちょっと思い出して「俺の予測とあんま変わらねぇな」とか思ってそうですよね。

恐るべしムッツリ君……天才、野獣、ドSにさらに「ムッツリ君」が加わって、入江くんがどんどん……強くなっていく気がします…(笑)
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