*初恋*

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 バカップルのピロートーク 拍手お返事(11/9~11/10分)
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「バカップル」
バカップルライフ

バカップルのマタニティーブルー -前編-

 
 バカップルのピロートーク 拍手お返事(11/9~11/10分)
拍手でリクをいただきましたものです♪(美味しいネタありがとうございます!)
マタニティーブルー…幸い私はならなかったのですが、産後ブルーにはなったので(^^;
それを思い出しながら書いてみました。

匿名様、こんな感じでいかがでしょうか!?







バカップルのマタニティーブルー -前編-





 琴子は不安だった。
 何が不安なのか、具体的に説明しろと言われると困ってしまうのだが、とにかく、胸の中にいつでもモヤモヤとした漠然とした不安があって、心が重い。
 心が重たくなる経験は何度かしたけれど、今回のそれは以前のそれとは少し違う、とは琴子も思っていた。
 言いようのない不安が一気に琴子を襲ってきて、とても一人ではいられないのだ。




「…ちょっとママ、アレ何とかしてよっ」

 キッチンで夕飯の支度をする紀子に、裕樹が小声で泣きついている。
 あれ、と指差された方向には、直樹の膝の上で子猫よろしくごろにゃんと甘えている琴子がいた。
 紀子はふふっと笑い、裕樹の訴えなど相手にもしない。

「あんなお兄ちゃんでも、琴子ちゃんにとっては心の支えなのよね」
「こ、心の支えだと、あんな風になるのかよ」
「自分の価値観だけ押し付けるんじゃないの!」

 ほっほっほ、と笑う紀子に、裕樹は返す言葉もなかった。 
 けっこう無茶苦茶を言われているとは思うのだが、確かに母の言う通りの一面もある…気がしないでもない。
 裕樹はちらりとリビングに視線をやった。

「ね、ね、入江くん。あのね、あのね」
「…あのねより先の言葉がまとまったら聞くよ」

 横抱きにされた琴子が、直樹の膝の上で一生懸命話をしている。
 直樹もつれないことを言っているようで、結局琴子のしたいようにさせていた。
 少し膨らんできたお腹を時折撫でたり、琴子の頭にキスを落としたりしている。その様子からは、満更でもないのがわかった。
 直樹がそれでいいのなら、外野が煩く言うのも野暮なのかもしれない。
 裕樹はため息をつき、目の毒をこれ以上見ないで済むように、部屋に戻ろうとした。
 ところが、思いがけずそこに直樹もついてくる。
 裕樹は思わず足を止めた。

「あれ?琴子は?」
「調べ物あるから置いてきた。ったく…」

 呆れたように言いつつも、直樹の切れ長の目は優しくまろんでいる。
 裕樹はちらりとそれを確認して、敢えて皮肉げに口を歪めた。

「琴子の奴、お兄ちゃんにべったりだもんな。お兄ちゃんもよく付き合ってあげるよね」
「…まあな」
「最近特に酷いしさ」
「不安なんだろ、色々」

 書斎のドアノブに手をかけ、直樹が答える。
 だから仕方ないのだ、俺はわかってるとでも言いたげな態度に、今度こそ裕樹は吹き出した。
 直樹の消えた書斎のドアを見ながら、お腹を抱えて忍び笑いを漏らす。
 もしかしたら、満更でもないどころか嬉しいのかも?―――兄の意外な一面だった。




       *********



 直樹の消えたリビングで、琴子はぼんやりとしていた。
 見たいテレビがあるわけでもないし、何をしたいわけでもない。部屋に戻って横になっていてもいいのだが、一人でいると余計なことを考えてしまうから嫌だった。
 どうせなら、紀子とここで明るい話をしていたい。
 紀子は食事の支度を終え、琴子にお茶をいれてくれた。

「あ、ありがとうございます。お義母さん」
「いいのよ、琴子ちゃん。一人じゃ手持ち無沙汰でしょう?」

 優しく声をかけてくれる紀子は、本当の母親のようだ。琴子は小さく頷いた。
 大きな目からは、ぽろぽろと涙が零れている。本人は止めようとして乱暴に目元を拭うものの、肌が赤くなるばかりで一向に泣き止む気配はなかった。

「あたし、変なんです。入江くんが見えないと寂しくて、泣きたくなっちゃうなんて……こんな奥さん、重たいですよね」
「琴子ちゃん……」

 ぐすっと鼻を啜り、琴子はまた涙を拭う。
 直樹が隣にいないというだけで、どうしてこんなに不安なんだろう。
 自分でも自分を持て余していた。
 それでも何とか自分を律しようとする琴子の、涙に濡れた姿がいじらしい。
 
(あの無愛想が服着て歩いてるようなお兄ちゃんのことを、こんなに想ってくれるなんて!)

 紀子は感動していた。
 琴子のことは実の娘のように思っているけれど、実の息子よりも大事に思えるのはこういう一途なところを知っているからだろう。
 紀子は琴子の手を握り、励ました。

「大丈夫よ、お兄ちゃん、嫌なら言うもの。言わないならいいのよ、きっと」
「でも……あたし、今だって、入江くんはお仕事があるってわかってるのに、書斎に行きたくて仕方ないんです。邪魔だからってわかってるのに……」
「いいのよいいのよ、行けばいいの!ほら、行きましょう!」
「で、でも…」

 紀子は琴子の手を引いて立ち上がった。
 調べ物なんて、琴子がいたってできるはず。愛する奥さんを泣かせてまでする仕事に何の意味があるの!というのが紀子の持論なので、琴子の遠慮など可愛いものだった。
 戸惑う琴子の手を引き、紀子は書斎のドアをばん!と開ける。
 小難しい本を何冊も開き、直樹はパソコンに向かっていた。

「お兄ちゃん!」
「…なんだよ」

 ドアが開いた瞬間は視線を寄越したものの、直樹はそれ以降、パソコンと本から目を放さない。
 紀子はムカッとして、琴子を直樹に突き出した。

「琴子ちゃんと一緒にやりなさい!」
「はあ?」
「あ、あの、お義母さんあたしやっぱり…」

 邪魔だから、と部屋を出ようとする琴子を、なんとか引き止める。

「いたって邪魔なだけだ」
「っまー!邪魔なわけないでしょう!いいこと!?琴子ちゃんと一緒にするんですっ!!」

 どん、と琴子を押し出すと、紀子は反論は許さぬとばかりにドアを閉めて出て行ってしまった。
 残された琴子は、直樹とドアを見比べてオロオロとしている。
 直樹は盛大なため息をつくと「で?」と琴子を見た。

「お前、ここにいたいの?」
「ここにっていうか……入江くんの顔、見ていたいの……」

 しゅん、と琴子は小さくなっている。直樹にも、琴子が来たのはほぼ紀子のせいだとわかっていた。
 ため息をつき、机の上に広げられた本を少し片付ける。

「仕方ねぇな。ほら、来いよ」
「え…?」

 ぽん、と直樹が膝の上を叩く。琴子はもじもじと直樹に近づいた。
 照れて上目遣いになった琴子は、直樹の目には可愛らしく映る。これだから振りほどけないんだ、と思った。
 琴子は直樹の膝の上に座ると、えへへ、と頬を緩める。その琴子を抱え、直樹は再びパソコンに向かった。

「静かにしてろよ。後少しで終わるから」
「うん!」

 きゅ、と琴子の小さな手が直樹の服を掴む。直樹は華奢な背中に支えるように腕を回し、ぽんぽんとあやした。
 目が赤いところを見ると、自分がリビングを出た後泣いていたのだろう。最近の琴子は、直樹がいないとすぐに泣くのだ。まるで子どものようだけれど、不思議とそれが苦痛ではない。
 寂しいからと他の男に邪魔されるよりは、こんな風に求められる方がずっと良かった。

「入江くん、大好きっ」
 
 うふふ、と琴子が幸せそうに笑う。
 視界の端にそれを捉え、直樹は無意識に口を緩めるのだった。




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~ Comment ~

 

琴子の「あのね、あのね」可愛い!!!

コメントありがとうございます。 

>匿名さま

私も大好きなフレーズです♪琴子が言うと、また可愛いんですよね!
コメントありがとうございました!

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>りほ様 

はじめまして!ようこそ、このような辺境の地へ…!
こちらのお話は素敵なリクから完成したものなんですよ~(^^)
書くのも楽しかったお話なので、りほ様にそのように言っていただけると嬉しいです!

ほんと、こんな旦那さんだったらいいですよね(笑)
現実には難しいだけに、入江くんの優しさが際立つかと(^^;
これからも何かしらアップしていきますので、ぜひぜひお付き合いくださいませ!
コメントありがとうございました(^^)
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