*初恋*

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 【初恋】的、キャライメージ(入江家の人々) 夏的恋愛二十題-8-
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「お題」
夏的恋愛二十題

夏的恋愛二十題-7-

 
 【初恋】的、キャライメージ(入江家の人々) 夏的恋愛二十題-8-
7.ホラー映画見に行こう










 看護科に移ってから久しくご無沙汰だったじん子と理美から連絡があって、この夏放映の話題の映画を見に行くことが決まったのは、つい昨日のことだった。
 何の映画か聞いても二人ともはぐらかすばかりで教えてくれず、琴子は「これ見とけばこの夏の話題は押さえたようなもんだから」という二人の言葉を信じるしかない。
 電話口の向こうでちょっと笑ってるような雰囲気の二人に違和感を覚えつつ、琴子は翌日を迎えていた。
 この時の琴子の勘は当たっていた。
 二人は、琴子に甘い直樹の姿を見て見たかったのだ。





                                    ◇◇◇





 好きな人に会う時も女の子はオシャレをするが、女同士で会う時もけっこう気合が入る。
 自分を可愛く見てもらいたいからではない。まだ女捨ててないよ、という意思表示のためだ。琴子の場合は夫が直樹なだけに、手抜きをすると間違いなくからかわれる。
 二人が冗談で言っているとわかっていても…冗談でも、捨てられちゃうよとか、飽きられるかも、なんて言われると悲しくなってしまうからだ。
 その可能性を捨てるためにも、琴子はいそいそと支度をしていた。
 貴重な週末を、自分の使いたいように時間を使えるのは正直助かる直樹である。だが同じくらい、釈然としなくもあった。
 我ながら勝手だなとは思うが、正直な気持ちなので仕方がない。
 だからと言って、女友達と出かけるのを止めるほど狭量でもないのだが。

「で、何観に行くって?」

 ベッドの上にごろんっと寝転がったまま、直樹はドレッサーの前に座る琴子に問いかけた。
 普段は申し訳程度にしかしない化粧を、ちょっとだけ丁寧にしながら(それでもフルメイクではないのは琴子らしい)琴子が応える。

「わかんないの。この夏一番話題らしいんだけど」
「一番話題…ねぇ」

 直樹はピンと来ていた。
 はからずも先日、真里奈をデートに誘いたいと大騒ぎしていた船津が言っていたのだ。

――内臓がバンバン出てくる解剖系の医学映画が、この夏一番の話題なんだそうですよ!真里奈さんを誘ったら喜んでくれますかね!?

 それを普通の人は「ホラー映画」と言うのだと思うのだが、直樹は黙っていた。
 恐らく琴子たちが観るのはそれだろう。じん子と理美は、言ったら琴子が来なくなるのを知っているから黙っているに違いない。

「……ま、楽しんでくれば」
「うん!」

 この無邪気な笑顔が帰りはどうなってるのかな、と思いながら、直樹は疲れた体をベッドに再び沈めたのだった。




 

                                 ****************





 数時間後。
 直樹は呆れたような顔で映画館の前に立っていた。
 映画館のウィンドウにはおどろおどろしい謳い文句のポスターが並び、入り口を入ってすぐのところに置かれたポップでは、何体ものゾンビが迫るシーンが再現されている。
 これを見た瞬間琴子がどれだけ騒いだか、想像するだけで頭痛がする気がした。

 なぜ直樹がこんなところにいるのか?

 答えは簡単―――理美とじん子に、琴子の携帯を使って呼び出されたのだ。
 曰く、映画が怖くて琴子が泣いて、手が付けられないから迎えに来てやって、と。
 映画の内容に当たりをつけた時からなんとなーく予感していたことではあったので、面倒というよりもやっぱりな、というところなのだが。
 直樹は映画館に入ると、辺りを見回した。
 チケット売り場、いない。
 売店前、いない。
 トイレの前もいない。
 そうして次々と確認した直樹は、劇場への入場口付近のベンチで泣きじゃくる女と、それを苦笑しながら宥める見慣れた顔を見つけた。
 もちろん、宥めているのがじん子と理美で、泣きじゃくっているのが琴子である。
 せっかくのおしゃれも台無しに思えるほど、琴子は大きくしゃくり上げていた。

「あ、入江!」
「琴子~、来てくれたよ、ほらほら」

 直樹に気付いた理美が声を上げ、じん子が琴子の背中を叩く。
 真っ赤な顔をして、涙でぐしゃぐしゃになった琴子が直樹を見て、それから、ずびっと鼻を啜った。

「い゛り゛え゛ぐん゛…!」

 泣いて鼻が詰まって、ちゃんと喋ることができないらしい。
 琴子はその状態で、直樹のところに突っ込んできた。おいおいと、数年ぶりの再会を果たしたかのような琴子に衆目を集めていることに気付きながらも、直樹はため息一つで受け止めていた。
 二人が結婚した時は驚いたものだが、こうして見てみるとお似合いだ。 
 特に、琴子のこれを堂々と受け止めるなんて、やっぱり入江って天才、などとよくわからないことを思う。

「琴子が苦手なのは知ってたんだけど、まさか腰が抜けちゃうなんて思ってなくてさ」
「そうそう。しかも泣いちゃって止まんないし」
「入江が来てくれて助かったわ。ありがとう!」
「ほんとほんと、ありがと!」

 ぎゅうっと直樹に抱きついている琴子をちらっと見て、二人は笑っている。

「琴子ぉ、映画は怖かったけど、あんたの大好きな入江が迎えに来てくれたんだから、良かったでしょ?」

 じん子がそう言って琴子をからかうと、理美もニシシと笑った。
 どうやら、あまり反省はしていないらしい。いや、そもそもこの二人の計画では『琴子に甘い入江を見たい』というのがあったので、予定通りなだけなのだから当然か。
 直樹は琴子を抱え直すと、ベンチに置きっぱなしになっていた琴子の籠バッグを取った。
 
「ともかく、琴子連れて帰るよ」

 そうして、直樹はしっかりと琴子を抱き上げたまま、足早に映画館を出ていった。



                                    ◇◇◇




 小さくなっていく琴子と直樹を見送り、じん子と理美は嬉しそうに顔を見合わせた。
 結婚したのは知っていても、直樹がちゃんと琴子を大事にしているのか、二人はずっと気になっていたのだ。
 苦しい片思いをしてきたのを知っているからこそ、今は大事にされて幸せになってほしい。
 そのために、未だ大学生の琴子の夏休みに合わせて、今日という日を企画したのだ。

「見た?」
「見た見た」

 うふふ、と二人は笑う。

「琴子のこと、しっかり抱きしめてたね」
「うん。大事にしてるって感じしたよ」
「あれなら安心かなぁ」
「うんうん」

 二人は満足そうに、そして安堵に胸を撫で下ろすと、この後どうしようか~と話しながら二人もまた映画館を後にしたのだった。
 




END
 

                   


お題配布元:TOY様
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>かくちゃん様 

>かくちゃん様

あの二人は素っ気ない入江くんしか知らないので、こんなこと思ってそうだなぁと思いまして(^^)
私はスプラッタに限らずホラー系は全般ダメなので、琴子ちゃんほどではないにせよ、近い状態(しかし、私の場合は挙動不審なだけ)になりそうです(笑)。きっと映画タイトルがわかった瞬間抵抗したとは思いますが、琴子ちゃんって「限定」とか「流行」とかに敏感に反応しそうなので言いくるめられて見ちゃったんjyじゃないかな?なんて。

入江くんって、免許いつくらいに取ったんでしょうね。天才だから、スマートに取得してそうですが…わからないので、ここは一応タクシーで♪目立つの嫌いですし、かくちゃん様のおっしゃる通り、琴子ちゃんを無駄に見せて歩くほど心が広くない(笑)ですもんね!ぷぷっ……入江くん、今回はわかりやすくチョイ甘ですよね(^^)

>ちぃ様 

>ちぃ様

そう、琴子ちゃんが優しくて魅力的な子だから、周りにもそういう人が集まってくるんですよね。入江くんもそういうところにも惹かれたんじゃないかな~って思います(^^)上辺の友情じゃないのがいいな、とも。
大人っぽくて洗練された琴子ちゃんなんて、琴子ちゃんじゃないよ!と思うのですがいかがでしょうか(笑)
入江くんは言わないけど(言ってやれよ)自慢の奥さんだと思ってますよね。むふふ…♪
私も男だったら、琴子ちゃんみたいな魅力的な子がお嫁さんならいいなって思います。もちろん、そのためには入江くんみたいな魅力的な男でないといけないんですよね……そこがネックですが(^^;

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

入江くんを呼び出すため、そして甘いところを見るためなら親友の涙など安いもの!?
作戦通りとほくそ笑みつつ、ちゃんと琴子ちゃんを大事にしている入江くんを見てホッとしたと思います♪琴子ちゃんが一人で頑張ってた片思い時代を主に一緒に過ごしている二人なので(^^)
これ、やっぱり帰宅後は可愛がられてますかね(笑)

あまりに余談だったので書きませんでしたが、この後二人は甘いものを食べて喋くりまくりの、女子会みたいなのをやって帰る予定でした~。

>むさぴょん様 

>むさぴょん様

私もホラー系はどんな売り文句でも絶対NOです(笑)
最後に見たホラー(?)はキョ○シーでした。あの、息を止めてると気付かないで行っちゃうって、御札貼ればOKなやつ。あれですら怖くてぎゃーぎゃー言ってたので、その後出てきたホラー映画など見るわけもなく。
なのに琴子ちゃんには見せてしまうこの非道(^^;魘されてしまいますかねぇ…ごめんね、琴子ちゃん!
あ、でも入江くんが寝かせてくれないってのもいいですねぇ♪(鬼か)

>kaotokuchan様 

>kaotokuchan様

漫画だと「入江くん」だったりもするんですが、私はここだけはアニメの「入江」呼びが好きで、そっちをイメージしております(^^)言われてみれば、確かに結婚後は入江くんに対して対等な人って出て来なくなってしまったので(船津くんくらい?)こういう人たちは貴重ですよね!
私も忙しくても続く友情はいいなって思います(^^)久しぶりだけど、すぐに話が弾んじゃうとか。それぞれフィールドで頑張りつつ、たまには3人で連絡取り合ってるといいですよね♪

>匿名様 

>匿名様(08/09 16:21頃)

ああは、熱烈なメッセージありがとうございました!
あんな嬉しいものをいただいておいて、お返事しないなんてありえないですよ~♪
これからも楽しんで行ってくださいね!

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NoTitle 

小さくなっていく琴子の直樹じゃなくて
琴子と直樹じゃないですか??

>通りすがり様 

>通りすがり様

誤字のお知らせ、ありがとうございます!
今修正しました~(汗)!本当に助かりました(^^)!

>narack様 

>narack様

ご家族でって一番大変なパターンではないでですか!この暑い中と思うだけでぞっとします(><)
無理なさらないでくださいね…!!

私としては入江くんはツンデレの元祖だと思っているので(笑)このくらいのツンはざらかと思っております。最初から「その映画はきっとこうだからやめとけ」って教えてあげればいいのに……泣いて帰ってくるであろうことは最低限想定してるんですから、意地悪ですよね(^^;
迎えに行くのもあり得る、まあ行かずに済んだらラッキーくらいに思ってたのではないかと。
これも社交的になったと言われればそうなのか……入江くんの社交レベル、低すぎやしませんか(笑)nでも、ほっこしていただけたならヨシ!
病み上がりに心のこもったメッセージ、ありがとうございました(^^)

確信犯の直樹♪ 

これはもう直樹の確信犯でしょ(笑)
ホラー映画を観ることも、その後琴子がどうなるかも御見通しの上で行かせてるんじゃないでしょうか?だって、泣きながら直樹の助けを求める琴子の姿は、S気たっぷりの直樹にとっては嬉しい愛情確認表現なんじゃないの~(笑)面倒くさそうに振る舞いながら実は嬉しかったりして♡
↑コメ拝見して、最後の場面を私は勝手に理美とじん子がパフェとかつつきながら会話をしていると思い込んでいたのに気付きました~♪あはは。まあ2人にとっては琴子はいつまでも「手のかかる可愛い親友」なんでしょうね。こんな女同士の友情も琴子ならではでしょうね。
映画館から直樹に抱きしめて貰っての帰宅も実は琴子ちゃんも嬉しいんじゃないでしょうか~♪めでたしめでたし、ですね。
有難うございました。

>ひろりん様 

>ひろりん様

泣いてる琴子で愛情表現って、本当に入江くんはドSですよね(笑)でも妙にしっくりくるその表現…入江直樹、恐るべし!
「…ったく、こうなる気がしたんだよ」とか言いつつ、すぐにでも出かけてしまう入江くんを創造していただけたら幸い♪
女同士の友情は少女漫画では色々な描かれ方をしていますが、イタキスの場合琴子ちゃんがああいう可愛い子なので、温かく描かれているのが好きなんです(^^)「手のかかる可愛い親友」っていいですよね。私の身近にもいたら、なんだかんだと言いつつも結局あれこれ心配しちゃうんだろうなって思いますもん♪

帰りはきっとタクシーだよね、という話をコメントでいただいているのですが、それを踏まえて、タクシーの車中でこんな会話をしてるかも!?を妄想してみました。

直樹「ったく、観なきゃよかったじゃねーか」
琴子「だって……子供も観るって言うんだもん。実際あたしの横は小学生の女の子だったし、だから」
直樹「お前は小学生以下だろ」
琴子「ひどいっ」
直樹「なら一人で帰るか?それで一人で寝るんだな?俺はトイレにも付き合わねーぞ」
琴子「……ゴメンナサイ」
直樹「ならお前はホラー映画の、とくにスプラッタ系は見るな。休みの日は家でじっとしてろ」
琴子「はぁい」

…なんて会話を、タクシーの中でしてたらどうでしょうか(^^)休みの日はじっとしてろ=俺の横にいろってことですよね。やっぱり素直じゃない入江くんでございました~。

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>吉キチ様 

>吉キチ様

私もダメなんですよ、ホラー系。夏にお馴染の怪談番組や心霊写真紹介番組もダメで(^^;
すぐチャンネル変えちゃいますもん。

そして、二人は入江くんに「愛されている形」を見たかったというのは同意です(^^)
なにせ高校時代の態度が態度ですから、仲の良い二人からすれば心配でたまらないと思うんです。それに、恋人期間も短いですから。騙されてるとは思ってないにせよ、大丈夫なのかなとは思い続けていそうですよね。
入江くんがどこまで感じ取っているかは私も謎です(笑)。天才の気持ちは難しい!
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