*初恋*

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 夏的恋愛二十題-3- 夏的恋愛二十題-5-
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「お題」
夏的恋愛二十題

夏的恋愛二十題-4-

 
 夏的恋愛二十題-3- 夏的恋愛二十題-5-
4.水遊びって年でもないけど








 その日、あんまり良いお天気だったので琴子は外でチビを洗ってあげることにした。
 自分の水遊びを兼ねて…というわけではないけれど、エアコンのきいた室内にいるよりも、外で水と戯れている方がまだ健康的だろうと思って。
 とはいえシャンプーを使うわけではないから、水遊びの意味合いの方が大きいかもしれない。
 琴子はホースを繋いだ蛇口を勢いよく捻った。
 プシャーッと水が弾けるように飛び出す。

「きゃ~!」

 琴子は嬉しそうに悲鳴を上げた。
 冷たくて気持ちいい。これならチビもいいだろう。
 そう思ってホースをチビに向けると、お風呂嫌いのチビは濡れるのを嫌がって離れてしまった。

「えー、チビ、一緒に水遊びしようよ~」

 琴子は言いながら水を太陽に向けた。小さな虹が出来る。
 あ、虹。そう言って、琴子は何度も虹を作り出そうとホースを振り回した。
 本来濡らしてやりたかったチビはろくに濡れないまま、琴子だけが濡れていく。白いTシャツワンピースはぴったりと体に張り付き、一つに結った髪からはぽたぽたと滴が垂れていた。
 だが、暑いので気にならない。
 琴子はそのままホースを振り回すと、きゃっきゃっと子供のようにはしゃいだ。
 その様子を、直樹は部屋の窓から呆れたように見下ろしていた。

「まるっきりガキだな、あいつ…」

 大学生にもなって、と直樹は呟く。
 だが、そんな子供のようなところも好きだと思うのだから、自分も相当暑さにやられているのかもしれない。
 直樹に気付いた琴子が、庭からぶんぶんと手を振っていた。

「いーりーえーくぅーん!」

 大きな声である。
 直樹はため息をつくと、がらっと窓を開けた。

「なんだよ」
「一緒にチビと水遊びしようよ!楽しいよ、気持ちいーよー!」

 別に、直樹は水遊びなど興味はない。もうそんな年は卒業したと思っている。恐らく裕樹ですらそう言うだろう。
 直樹はもう一度琴子を見た。
 ここがいかに高級住宅街と言われるところで、1ブロックの敷地が広いとはいえ、近隣の目というものは存在する。
 直樹は、琴子のあんな姿を野放しにする気はなかった。
 
(仕方ねーな)

 やめろと言っても聞かないだろう。それもわかっているので、直樹は諦めて庭へと降りて行った。





 直樹がバスタオルを手に庭に出ると、琴子はすっかりずぶ濡れだった。
 当初の目的が何だったか直樹は知らないが、少なくとも今の様子だけ見ると、最初からこれが目的だったのか?とすら思える。
 直樹は周囲を見回した。
 入江家は丘を切り開いた住宅街にあり、傾斜を利用しているので一階は地下扱いで駐車場とカラオケルームになっている。その上が庭になっているので、平地に建っている住宅よりは人目に付きにくい。
 加えて家の周囲を塀が囲んでいるので、その気になって覗かなければ見えない。
 そうわかっているのだけれど。

「…琴子」

 直樹は厳しい顔で琴子を呼んだ。
 子供のようにはしゃいでいた琴子が、直樹の怖い声に気付いて顔を強張らせる。

「な、なに…?」
「お前が犯した罪がなんだかわかってるか?」
「はい?」

 突如問いかけられたことに、琴子がきょとんと眼を瞬かせた。
 その間に、直樹は水道の蛇口を閉めてしまう。水が止まり、ホースが力なく項垂れた。
 琴子はぽたぽたと髪から水を滴らせ、僅かに首を傾げている。

「あたし何かした?」
「ああ」

 自信たっぷりに頷かれても、琴子には全くわからない。
 そんな琴子に、直樹の拳骨が落ちた。
 
「お前のぺちゃぱいをさらした罪だ!」
「ぺ、ぺちゃぱいとは何よっ!」

 ごつん!と遠慮なく食らった拳骨の痛みに涙目になりながら、琴子が直樹を見上げる。
 むぅっと膨れているところを見ると、かなり面白くなかったらしい。琴子は直樹がため息をついた隙を突いて、ダッと蛇口に向かって走った。
 勢いよく蛇口を捻り、持ったままだったホースを直樹の方へと向ける。
 
「うわっ、やめろバカ!」
「きゃ~!あはは、入江くんもびしょびしょ~!」
「やめろって言ってるだろ!」

 盛大に頭から水をかけられ、直樹が何とか琴子を止めようと手を伸ばす。
 掴まえようとするとホースを向けられ、惜しいところで琴子を逃す。そんなことを数分繰り返し、ついに直樹は盛大な舌打ちと共に琴子を抱え上げた。

「いい加減にしろ!」

 ぺちん!
 丸く小さなお尻にぺたっと張り付いた布地の上から、頑是ない子供にするように叩く。ちらっと見れば、薄いTシャツの奥から、ウサギのアップリケが透けて見えていた。
 まさか誰も見ていないとは思うものの、やはり面白くない。
 直樹がむぎゅっと琴子のお尻を掴むと、琴子の手からホースが滑り落ちる。落ちた衝撃と水圧で少しの間暴れていたホースを踏みつけ、直樹は再び蛇口を閉めた。
 ようやく静かになった庭で、直樹が前髪を掻き上げながら琴子を睨む。

「お前の罪状が増えた」
「な、なに…?」
「自分で考えな」

 直樹しか見てはいけないものを、不特定多数が見るかもしれない場所で無防備にしたこと。琴子の罪はその二つである。
 直樹は最初の攻撃で取り落したバスタオルを拾い上げ、それで琴子を包んで抱え直した。
 そして、遠巻きに様子を窺っていた賢い愛犬を呼んだ。

「チビ、家に入れ」

 わん!とチビが元気よく鳴いて、これ幸いと家に入る。直樹は琴子を抱えたままそれを追いかけて家に入った。
 チビが水を飲みに自分のスペースへと入っていくのを視界の隅で確認し、玄関の鍵を閉める。これからおしおきするのに、邪魔が入っては堪らないからだ。
 今日は裕樹はまだ学校があるし、紀子も重樹も夜まで帰ってこない。重雄は団体客のための仕込みで早々に出かけているし、赤の他人の邪魔がなければ、かなりの時間を琴子に費やせるのだ。
 こんなチャンスを棒に振るほど、直樹は馬鹿ではない。 
 直樹はずぶ濡れの琴子をお風呂に放り込み、自分も濡らされた服を脱ぎ捨てた。
 
「い、入江くんも入るの!?」
「お前のせいで冷えたからな。このままじゃ風邪ひく」
「え、あ、う……」

 真っ赤になって呻く琴子を見下ろし、直樹がニヤッと笑った。

「ぺちゃぱいをさらした罪、下着姿をさらした罪――いっぺんに償わせてやるよ」






 数時間後。

「あたし…もう水遊びは卒業しようと思う」

 そんな力ない琴子の呟きがあったとか、なかったとか…?

 

END



だからどうしたって感じの、バカップルの夏の一コマなんですが(^^;


お題配布元:TOY様
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~ Comment ~

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琴子ちゃん、逃げろっ!笑 

あらまあ、無自覚な琴子ちゃん、またも「お仕置き」ですか・・・笑
とか言いながら、実は入江くんの計画通りだったりして?!
だって、お家には二人っきりなんですもの。ふふっ。
水遊び卒業宣言しちゃうほどですから、「お仕置き」もさぞかし大変だったんでしょうね笑。
それにしても、無防備な琴子ちゃんはカワイイ!!そりゃ、入江くんも心配しますよね。あはっ。微笑ましくて、笑っちゃいます!

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>babaちゃま様 

>babaちゃま様

こういう無邪気なところが、琴子ちゃんの可愛いところかな?と思います(^^)
そのためならびしょ濡れになったってお構いなし!入江くんはぎょっとしてると思いますが(笑)。

下着が透けたということは、ボディーラインだって透けていたわけで……実は琴子ちゃんラブな入江くんには、もうたまらん状況だったんですよ!うん!
ほんと、あのピンクの照明と音楽が欲しいところですよね(^m^)集合しますよ、イリコト好きが!

>おかき様 

>おかき様

大事な琴子ちゃんが無防備な姿を外で見せてたんだから、実は独占欲の激しい入江くんが黙ってられるはずありませんって(笑)!天然小悪魔は、夏でも元気です♪
虹色にキラキラ…なんてもったいないお言葉を…(涙)ありがとうございます~!
その輝きに照らされたのが、入江くんのおしおきだなんて……はうう~~…。

>REE様 

>REE様

天然子悪魔は、天然なので無自覚です♪
もちろん、その後すっごい反省をさせられたようですが(笑)びしょ濡れ…ですからねぇ。実はこの続きがあるのですが、そりゃもう大変なことになっております。そりゃ卒業宣言するよ!って感じで…いずれお目見えさせることができればいいのですが(^^;

お仕置きなんて言葉が出て来ても微笑ましく思えるのは、イリコトの素敵なところですよね。これからもそんな可愛い二人を書いて行きたいなって思います(^^)

>ちぃ様 

>ちぃ様

そう、そうなんですよぉ~!!琴子ちゃんは胸は控えめかもしれないけど、スタイルはいいんですっ!
…って、なに力説してんだって話なんですが(笑)
でも、そもそも華奢でウエストも締まってて、きっとお尻だってぷりっとしてると思うんですよね(変態)!
そんな体を無防備にしたら、そりゃお仕置きされるだろうって思うんです♪
また痩せちゃうのかな、琴子ちゃん……でも、卒業宣言しちゃうくらいですから、それもあり得ますよね(汗)。

>narack様 

>narack様

なんて見事な例えを…(笑)!
いつも皆様的確な、ツボに入る例えを出してくださるのですが、またしてもやられました!だめ、面白すぎる…!ムツゴ/ロウさんが出てくるところもヤバかったです。ぶぶっ…(笑)

あの野獣に狙われたら最後、逃げられませんよね。狙ってるんだと認めてからは、そりゃすごい執着心ですし♪
私も独占欲丸出しの彼が好きなので、この続きを妄想したとき、張り切る彼を止められませんでした(笑)。

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

それを学んじゃ、琴子ちゃんじゃない!ってなわけで、今回も美味しく召し上がられたようです(笑)。
チビはきっと、庭の隅で「あ~あ、またやってるよ」と思ってるでしょうね。賢いワンコだし。
暑い時こそ熱いものを食べる、の心ですね(笑)!
この後、琴子ちゃんが水遊び卒業宣言をするまでの苦労を思うと、それどころじゃないわよ~!という彼女の悲鳴が聞こえてきそうですが(^^;

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>hitomi様 

>hitomi様

ですよね、そのツッコミ入ると思います!!
最後の「なんかもう天然すぎる刑」って…(笑)!!性質の悪いチンピラみたいじゃないな入江くん(^m^)プッ

そういえば、確かにチビは見ちゃったんですよね。ワンコだから許してもらえるのか、それとも餌が変わったりするのかな…安い奴に(笑)。

>ぴくもん様 

>ぴくもん様

琴子ちゃんの良さは無邪気さにもあると思ってるので、あんな無邪気な琴子ちゃんを書かれるぴくもん様にそう言っていただけて嬉しかったです(^^)
多分、最初はちょっと足を濡らす程度でいいや、と思っていたと思うんですが、ついついはしゃいでしまって気づいたらずぶ濡れで、ここまで濡れたなら後は一緒だよね?となってしまったんだろうなぁ、と思います(笑)。
そして、入江くんはつけ入る隙を見つけたのでホクホクです♪完全に楽しんでると思います!

いわれのない罪の咎を突き付けられる、天然小悪魔琴子ちゃん…黄金のお菓子ならぬ、黄金のオトナ時間を進呈すれば許してもらえるんだと思います(^^;
卒業宣言に至るには、入江お代官様のご無体がありました。ええ、いずれそのうち…♪

>chan-BB様 

>chan-BB様

プチ復活おめでとうございます!そして、ストレスに晒されたという週末…お疲れ様でした(^^;
なんかもう、うちのテイストがぎゅっと詰まってますよね(笑)
つけ入る隙を見つけた後の行動の、早いこと早いこと!
そう、勝手に琴子ちゃんに「ムラッ」として、自分以外が見たらどうするんだよって「イラッ」として、そして最後は「ガオッ」と行く。
この後浮かんだ妄想は、とんでもないものでした(笑)

私も入江くんの「プチ嫉妬&独占欲」が大好物なので、痛快と言っていただけて嬉しかったです~♪
ありがとうございました!

>吉キチ様 

>吉キチ様

出来るなら、それくらいしたいかもですね(笑)この入江くんは特に…。
琴子ちゃん可愛いから「夢を叶えて輝いてる顔が見たい」とかでお外に出してますが、開業とかして二人っきりで始めたりしたら、なんかすごいことになりそうです。買い物行くにもイチイチ言わないと出してもらえなさそう!

生身のスキンシップ、なんせ琴子ちゃんにしか反応しませんから……(笑)そりゃあ、触れたいやりたい、ですよね。むふふ…(←変態)!

こんばんは 

他人に、いや他の家族にさえも、琴子のボディを見せることは許さない!見ていいのはオレだけ!…ホント徹底してますね、直樹さん(笑)
なのに無自覚な琴子は白いTシャツがズブ濡れで体にピッタリンコでも全然平気なんだもの。裕樹が近くに居たらもう大変だったでしょうね。
さて、お仕置き編の実況中継は?とりあえず脳内で妄想しときま~す(笑)

>たーくんママ様 

>たーくんママ様

徹底してますよ~。最近は周知も徹底されてきたので、裕樹くんは入江くんセンサー機能を身に着けたらしいです。半径5メートルから感知可能で、近づくとアラームが鳴るとか鳴らないとか?
もっとも、無自覚な琴子ちゃんの方から近づいてきてしまうので、多くは高機能の意味を成さないようですけれども(笑)

そして、実況中継…すごいやばくなりました。ので、お蔵の方に入れることにしました(笑)

>moko様 

>moko様

ボディーラインの綺麗な琴子ちゃんですから、入江くんはも~たまらんかったと思います♪
色々スケスケで……前は生地が重なってるから無事だったでしょうけども、お尻の線くらいは浮かんでたんだろうなぁ、なんて思うと、入江くんが怒るのも無理ないですよね(笑)
余談ですが、入江家の造りはアニキスを参考にしています♪原作はよくわからない部分も多いので、そこだけ臨機応変に(^^)
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