*初恋*

スポンサー広告

スポンサーサイト

 
 My tranquilizer バカップルのマタニティーブルー -前編-
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ   3kaku_s_L.png   スポンサー広告
*Edit   

「バカップル」
バカップルライフ

バカップルのピロートーク

 
 My tranquilizer バカップルのマタニティーブルー -前編-
たまには真面目(?)に。

バカエロではない…と思います。(最近そんなのばっか更新してたから妙に気恥ずかしい)
琴子一人称。ヘタれ気味の入江くんとのお話です。

今日、明日と忙しくて更新できそうもないので、お出かけ前に急いでアップしました。昨日まとめてやっときゃよかった(笑)。
拍手のお返事も、出来たら明日の帰宅後か…明後日までには致します。少し遅くなってしまいますが、ごめんなさい。ちゃんと見てますので、励みになる拍手、お待ちしておりますm(_ _)m


…って書いたのが今朝5時のこと。出先なんですが、更新日時が書き始めた時のものになったままで、埋もれてしまっていたので上げときます。早く使いこなさねば(ーー;

バカップルのピロートーク




 勤務を終えて帰っていく入江くんの後姿が、何故かいつもと違って見えた。
 無駄のない動き、隙のない言動。それはいつもと全く一緒なのに、何かが違うってあたしの中の勘が告げている。
 入れ替わりに出勤したあたしは、ナースステーションですぐに理由を知ることが出来た。


 


 帰宅後、あたしは寝室の前に荷物を置くと、足音を忍ばせて書斎へ向う。
 ぴたりとドアは閉じているけれど、その中から醸し出される空気が中に人がいることを告げていた。
 同時に、拒絶の意思も。
 ノックをしようと持ち上げかけた腕を、ゆるゆると下ろす。
 入って、何を言う?ただいま、とでも?
 それは、さっき玄関で大きな声で言ったから聞こえているはずだ。それでも出てこないのは、それが入江くんの意思だからだ。
 今は誰にも会いたくない――そういうことなんだろう。
 あたしは目の前のドアにそうっと額を押し当てた。

(仕方なかったんだよ……入江くん)

 入江くんだってもちろんわかってるはずのことを、泣きたい気分で胸の中で呟いた。








 
 入江くんは、担当になった患者さんが亡くなってしまっても泣かない。
 ただ、最後まで誠実であろうとするかのように、真摯に遺族となってしまった家族に向き合っている。
 最近はあたしも遺族の前で泣くことはなくなってきたけど、それでもやっぱり、悲しかったら休憩室とかで泣くこともあるのにね。
 その代わり入江くんは、書斎に閉じこもる。
 最初、何も知らずに書斎に入ろうとして怒られた。悪いけど、と言う声は硬くて、苛立ちを含んでいた。
 あたしに対してかと思ったけど、二言、三言会話をしてわかった。力不足だった、と入江くん自身に苛立っているんだ。 
 それからは、あたしはそういう日に書斎には入らない。
 本当は背中に抱きついて、入江くんの代わりにあたしが泣きたいくらいだけど…ぐっと我慢するの。
 だから、中で彼が何をしているのか知らない。でも、時間を無為にすることのない人だから、きっと勉強でもしているんだろうな。
 そして、そういう日の夜は。

「…琴子」

 いつもはあたしを腕に抱えて寝るのに、逆になる。
 強い入江くんの、弱い部分…になるのかな。
 あたしの胸に顔を埋めて、ただ抱きついてくるの。時々苦しいくらい抱きしめられるけど、こういう日は我慢。
 だって、気づいちゃったんだ。
 入江くん、あたしの心臓の音を聞いてるんだって。
 温もりを感じたくて抱きついてきているんだって。
 わかってしまったから、苦しいなんて言えない。
 もちろん、確認したわけじゃないの。確認したって入江くんが素直に認めるとは思えないし。
 逆に、もうこれはやらない~ってことになって、入江くんの得ていた心の安寧――あたしなんかで、それほどのことが出来ているのかは自信ないけど――がなくなってしまって、彼を放り出すことの方が嫌だから。




 そして、夜。
 わざとらしくならないよう、でも心持ち急いで、あたしはお風呂から上がった。
 いつも丁寧にしてるブラッシングもそこそこ、入江くんの待つベッドに入る。
 おやすのキスを、一つ。
 それからやっぱり、入江くんはあたしの胸に顔を埋めた。何をするでもなく、ただ、そうしてじっとしている。
 あたしはそんな入江くんの髪の毛を撫でていて、きっとこのまま、いつものようにあたしの方が先に眠ってしまうんだろう。
 そう思っていたら、珍しく入江くんが口を開いた。

「…俺もまだまだだな」
「うん…?どうして?」
「お前にこんな風に気を遣わせてさ」

 あ、わかってたんだ。
 認めるのもなんだか変で、あたしは何も言わずに、ただ入江くんの髪の毛を手で梳いていた。

「あの夏に……」
「…うん?」
「お前を泣かせてばっかりだった、あの時。俺はいつも無力感でいっぱいで、なのにお前は、やっぱりこうして俺に気を遣ってたよな」

 どうしたんだろう、急に。
 
「あの時の無力感と…今、ちょっと似てる」

 ああ、そういうこと。
 でも、あの時も今も、入江くんは頑張ってた。自分で出来ることをしようって、その両腕を精一杯広げていたでしょう?
 知ってるから…だから、あの夏だって、あたしは入江くんを責めたりできなかった。
 あたし達の関係が特別なものではなかったこともあるけど。
 だからあたしは、入江くんのためになるなら何でもしようって思うの。
 その為なら、あたしが苦しくたって何だって構わない。

「ね、入江くん」
「…何?」

 入江くんが、あたしの背中をきつく抱く。
 ふふっ、やっぱりちょっと苦しい。笑っちゃうなんて、あたしも変ね。

「幸せな思い出って、辛い時に役立つでしょ?」

 入江くんは、何を言い出すのかって顔であたしを見上げた。
 んー…入江くんを見下ろすなんて、なんか変な感じ。上から見ると、いつもよりちょっと幼く見えるね。
 入江くんは、少し考えてから頷いた。

「…だな」
「でもね、辛い思い出だってちゃんと使えるんだよ」
「いつ?」
「んっと、幸せな時。あんなに辛いことがあったから、今こんなに幸せに思えるんだって思うの」

 だから、大丈夫。
 今入江くんがどんな無力感に苛まれていたとしても、この経験を無駄にしないように入江くんはいつだって前を向いてる。
 だから、きっと。次は今日のことを糧にして、より良い治療を患者さんにできるよ。
 だって、そうでしょ?あの夏の日々は確かに辛くて、あたしも泣いてばかりだった。入江くんは心を押し殺してて(今思えばだけど)やっぱり辛かった。
 だからこそ、今二人でいる時間が幸せに感じられる。あんな辛い思いをして得たんだものって、より大切に思うことが出来る。
 そういうもの…だと思う。
 亡くなった患者さんに対して、思うことがないわけじゃないけど。そりゃ、あたしだって未だに泣いちゃうことなんていっぱいあるけど。
 あの時辛かったけど、それで頑張ったから今があるって、そう思う日が絶対に来るよ。


 
 って、あたしの言いたいこと伝わったかな…?あたし、説明ヘタクソだから。
 どうかな?って入江くんを見ると、入江くんは驚いたようにあたしを見ていた。それから、くっと喉を鳴らす。

「琴子……」
「なぁに?」
「お前って、やっぱすげぇ」
「え?そ、そう?」
 
 どこが…だろう。
 わからない。
 けど、入江くんが少し元気出たみたいだから、いいや。
 あたしは、入江くんの頭をぎゅうって抱きしめた。
 頑張る入江くんがやっぱり大好き!
 あ、いや…凹んでても大好きなんだけど。
 入江くんは珍しく、いつものようにあたしを腕に抱えた。あれ?今日はもういいのかな。
 今度見上げるのはあたしの番で、見上げた先の入江くんは、いつになく優しい目をしていた。

「おやすみ、琴子」
「うん、おやすみなさい。入江くん」

 きゅ、と目の前の広い胸に抱きつく。
 そうして、ゆるゆると意識が沈んでいって、夢か現かわからなくなった頃。



『お前には敵わないよ…』



 そんな声が聞こえた気がした。









 END






いや…普通に置けるものも増やさないとって(笑)
そんな冗談はともかく、琴子の前向きパワーに癒される入江くんを書いてみたかったのでした。


関連記事

総もくじ 3kaku_s_L.png 【バカップル】
もくじ   3kaku_s_L.png   バカップルライフ
*Edit ▽CO[2]
Tag List  [ * ]    

~ Comment ~

拍手お返事 

>01/17 19半頃 匿名様

ありがとうございます!珍しく書いた真面目な(?)お話だったので、そう言っていただけると嬉しいです♪
コメントありがとうございました(^^)

承認待ちコメント 

このコメントは管理者の承認待ちです
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
  • 【My tranquilizer】へ
  • 【バカップルのマタニティーブルー -前編-】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。