*初恋*

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 バカップルの母の暗躍 おねがいごと
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「二次創作」
短編

ファースト・レディ

 
 バカップルの母の暗躍 おねがいごと






 じーっと琴子の視線が直樹に注がれる。
 何も言わず、ただ視線のみを向けられていた直樹が、苛々した様子で琴子を睨んだ。
 が、そんなことで怯む琴子ではない。

「入江くん、あたし入江くんが好きなの」
「あっそ」

 突然の告白。
 しかし当然のように、直樹の態度は素っ気ない。
 読んでいた本のページを捲り、物語を進めている。琴子はコーヒーを一口飲んで、それからまた、じっと直樹を見た。

「あのねあのね」
「……」
「ね、入江くん聞いてる?あのね」
「うるっせーな。あのねはもういいよ」

 一応聞いている、ということらしい。
 琴子はむぅっと頬を膨らませつつも、それならと続けた。

「あたし、ファーストレディになりたいの。なれると思う?」
「はぁ?」

 あまりに突拍子もない発言に、さすがの直樹も読んでいた本から顔を上げる。
 どんな馬鹿が言っているのかと思えど、琴子は真面目も真面目、大真面目な顔で直樹を見ていた。
 一体何を考えたらそんな発言になるのか、天才と言われる直樹でも全く理解できない。
 呆気にとられていた直樹だが、すぐにため息をついた。琴子の馬鹿な発言を一々真に受けていたら同居などできないのだ。

「なれるんじゃねーの」
「本当にそう思ってる?」
「…しつこいな」

 なりたいと言うのならなればいいし、そんなこと、直樹の知ったことではないと思う。
 大体、ファースト・レディの話と自分のことを好きだという話が何の関係があるのか、それも直樹には理解できないことだった。
 琴子はリビングテーブルに両手を付くと、ずいっと身を乗り出す。

「入江くんのファースト・レディになりたいの!」
「……お前はついに頭がイカれたようだな」

 直樹は思わず、持っていた本でべしっと琴子の頭を叩いた。
 あう、と呻いた琴子が頭を押さえ、涙目になって直樹を睨む。尖らせた口が「だって」と呟いた。

「だってじゃねーよ。俺にそんな予定はない」
「あたし入江くんでなきゃ嫌だもん」

 お願い、と琴子が直樹に懇願する。
 琴子の言っている意味が本当にわからない直樹は、苛々するのを通り越してもはや呆れていた。
 一度こいつの頭の中を見てみたい、とすら思う。
 天才だなんだと言われている直樹ではあるが、彼からすると、この突拍子もない発言を繰り出せる琴子の頭の方が、余程、複雑怪奇な造りに思えるのだ。

「よくわかんねーけど、なりたいならなれば」

 直樹の人生計画に、一国を導く指導者となる項目はない。
 当然、どう答えようと琴子の望みを叶えることもない。
 まともに相手をする気のない直樹には、どうとでも答えることができたのだ。
 ―――後に、これを後悔することになるとも知らずに…。





              ******************






「おっはよ~ん、琴子ぉ!」
「おはよ、じん子、理美!」

 F組の教室の前で、琴子は仲良しの二人に元気よく朝の挨拶をする。
 その横を、相変わらず澄ました顔の直樹が通り過ぎた。
 きゃっきゃっと朝から(直樹的には)くだらない話に花を咲かせる三人が、姦しくF組に入っていく。
 その時も、直樹はいつも煩いと思うだけだった。A組からF組まで、学力別に割り振られた教室は廊下ですらクラスカラーが出ている。
 学力が下がるにつれて、騒々しい。
 当然、直樹のA組は朝から勉強をしているので煩いということはない。カリカリと机に向かう音が響いている。
 やはりこちらの方が落ち着くな、と安堵した直樹は、後から入ってきた渡辺に肩を叩かれて視線を向けた。
 穏やかな朝の始まりだった。




 一方、F組では琴子が頬を赤く染めて「きゃ~」と照れていた。

「あのね、入江くんがあたしを初めての女にしてくれるって!」
「ええ~~~!」
「あの入江がぁ~~~!?」

 おおお、とF組の教室が揺れる。
 廊下を通り過ぎる生徒が何事かと覗き込むが、中心にいる生徒の周りには人だかりができており、何が何だかわからなかった。

「ホントにホントに、そう言ったの?」
「うん!なりたいならなればって。あたし幸せ~!」
「よかったね、琴子!初めて同士って大変そうだけど、頑張って!!」
「うん!!」

 理美とじん子に左右の肩を交互に叩かれ、琴子は恥ずかしそうに頷く。
 その足元では、金之助が滂沱の涙を流していた。

「嘘や…入江の野郎、すけべぇかましやがって……わしの琴子になんちゅーこと宣言すんねんっ」
「き、金之助さん…!」

 舎弟二人が金之助を慰めるが、一番に慰めてほしい琴子は直樹のことで頭がいっぱいで金之助のことなど見てもいなかった。
 相変わらず、さっくりすっぱり、見事な無視っぷりである。
  
「にしても、意外ね。入江って童貞だったんだー」

 理美が腕を組んで、やっぱり勉強一筋なのかしらねー、などと呟く。
 周囲もその発言を面白がり、直樹のブツがどんなものか、などと下世話な話題に移っていく中、琴子だけが恥らっていた。

「なんでもいーよ、入江くんだもん。入江君の初めての女…恥ずかしいけど、嬉しい!」

 もう皆様おわかりだろう。
 ファースト・レディ―――初めての女(琴子解釈)。決して、世で言う最高指導者の妻のことではない。
 F組の琴子の頭では、精一杯の賢い翻訳なのだ。
 
「じゃあ、その時に入江にガッカリされないように、琴子も頑張って女磨きしなくちゃね」
「あ、そ、そうね……怖いけど、入江くんなら…だもの。頑張る!」

 楽しそうに話を進める琴子たちの横で、絵の上手い生徒がまだ使う今月のカレンダーを引きちぎって、裏にイラストを書き始めていた。
 さらさら、さらり。
 時々カラーマジックなども出てきて、なんとも華やかなポスターが出来上がる。
 そのポスターは、そっとF組から出荷されると掲示板へと運ばれた。
 
『入江直樹、相原琴子に捧げる童貞愛!俺のファースト・レディにしてやるよ発言!!』

 そんな言葉の下には、恥らう琴子のイラストと迫る直樹のイラスト。
 明らかに裸であり、そして琴子の胸がほとんどなくつるっぺたに描かれているのが特徴的だ。(F組では琴子の胸の控えめさは常識らしい。)
 そしてそのポスターは、午前中の授業が終わる頃には学校中の…教師までもが知るものになったのである。





「琴子、てめぇッッ!!!!!」

 直樹の怒声がF組に響くのは、昼休みに入ってすぐのことであった―――。





<オマケ>

 廊下に呼び出された琴子の前に、直樹が仁王立ちしている。
 一通り叱られて、琴子は唇を尖らせていた。
 
「だ、だってだって、入江くん言ったじゃない!なりたいならなればって、言ったじゃない!」

 確かに言った。言ったが、言葉の意味を正確に理解していた上でのことだ。
 勝手にすれば、という意味合いも強い。
 だが、言ったことは言ったので、これでも正直者な直樹は思わず言葉に詰まる。
 琴子が我が意を得たりとばかりに胸をそらせた。

「あたしを入江くんのファースト・レディにしてくれるんだよね!あたし、それまでにCカップになるし、入江くん好みの体になってみせるから!」
「お前の体がどーなろーと俺が知ったことじゃねぇよ!」
「それってそれって、あたしの体がどんなでも、入江くんは愛してくれるってこと!?」
「お前はどんだけプラス思考なんだ!?」

 っきゃ~、と喜ぶ琴子に抱きつかれ、直樹は必死に引きはがす。
 だが、琴子は負けない。挫けない。
 
「入江くん好みの巨乳になってみせるから!待ってて!」

 琴子のその宣言を聞いて、野次馬の視線が突き刺さる。

――入江って、巨乳好きなんだ…。

 直樹の額に、ぴしりと血管がまた一筋。

「琴子!!てめぇ、今日は特訓するからな!!」
「えぇ~~…」

 嫌そうな顔をする琴子に、直樹が拳骨を落とす。

「ええ、じゃない!いいか、覚悟しとけよ

 あくまで、琴子の酷い英語力を思って、徹夜で勉強させようとしてのことである。
 が、そこはそれ、誤解を招く発言で面白がることに長けたF組の面々なので、大騒ぎになったのだった。



 END



琴子がやりそうな間違いを想像したらこんなお話が(^^;
でも琴子なら可愛いと思っちゃうんですが、いかがでしょうか~。
最近、入江くんに振り回される琴子ちゃんを書いてきたので、高校時代に戻って振り回していただきました!
ちょっとスッキリ(笑)

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~ Comment ~

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NoTitle 

miyacoさん、こんばんは(*^^*)
更新ありがとうございます~!!

ファーストレディとは、考えましたね~(笑)
IQ200の入江くんでも、まさかファーストレディ=初めての女とまでは、考えが及ばなかったようで・・・
で、適当に相槌を打ったのが運のつき!?
とんでもないポスターを作られた挙句、巨乳好きだと暴露&誤解(!?)され・・・(汗)
恐るべし琴子ちゃん!!
入江くんの逆境の日々は、まだまだ続きそうですね~
次はどんな災難が待ち受けているのか!?
入江くん、怒り過ぎて、血管切れなきゃいいけど・・・(汗)

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>hitomi様 

>hitomi様

そう、琴子ちゃんの辞書には正しい翻訳がなかったんですよね(笑)
確かに結婚後なら危険すぎるワードですね!言われてみて、思わず「ああ!」と頷いてしまいました。
オイタ…なんて邪悪なオイタでしょう(笑)ん、オイタ…?オイタ!すいません、ネタ帳にメモらせていただいてもよろしいでしょうか!?

高校時代の青い甘さがたまらなく愛しく思えるときがあります♪これからも琴子に振り回される入江くんを妄想していきますね!
また、お祝いのお言葉ありがとうございました(>▽<)/
皆様からいただいた拍手を胸に、これからもイリコトへの愛を様々な形で(えろ含♪)出させていただきたいと思います!よろしくお願いいたします♪

>michi様 

>michi様

時々フッとネタの神様がいらして、こういうネタをぽとんっと落としていかれるんですねぇ(笑)
楽しんでいただけてよかったです♪
琴子に関わって振り回されたくないと思うあまり、結局振り回される入江くん…諦めて琴子と向き合っちゃえばいいのいにね☆というツッコミが入りそうですよね(^^;

そういえば、入江くんは何本の血管を犠牲にしてきたんでしょうね(笑)もう残ってないんじゃないのかな…なんて思うほどなんですが(汗)

>moko様 

>moko様

琴子ちゃんの全ては入江くんのために!!
…なあまり、とんでもないところでとんでもないことを発言してしまった琴子ちゃん。さぞかしお家で怒られたことでしょう(笑)
入江くんのために大きくしたい琴子ちゃんと、協力する入江くん……鼻血もんですね、それは!!

直樹「ふーん、大きくしたいの?」
琴子「…うん」
直樹「コツがあるんだよな。闇雲にやってもなぁ」(そう言いながら、琴子の持つ豊乳サプリをチラ見)
琴子「教えて!」
直樹「いいけど、俺の言うこと全部信じて従えるか?」
琴子「うん!」
こうして入江くんのイタキスナイトが始まるとかですか!?

鍵付き作品でもコメの確認は取れると思うのですが…私は常に管理モードで見てしまっているので、実態がつかめていないのかもしれません。頂いたコメは全部目を通してお返事してますし、moko様からの物はいつも小躍りしたり鼻血ものが多いですから、いつも喜んで拝見させていただいております!こちらこそ、放置したような形に見えていたら申し訳ないです…ごめんなさい!
そして、そして!
な、なんという萌えを投下なさるとですかー!!!大事に目に焼き付けさせていただきました。素敵すぎます……だ、誰か輸血を…!
本当にありがとうございます~!!

>ひろりん様 

>ひろりん様

あえてぼかしていたわけではないのですが、確かに入江くんなら最年少院長とかありえそうですよね。天才ですし♪しかし、琴子が院長夫人…なんだか楽しそうな、恐ろしいような(笑)

入江くんは相変わらず言葉足らずなので、今日も今日とて自らネタ提供してしまいました。
「!!!」と気付いた顔を、原作絵で補完していただけると幸いです♪
高校時代は無邪気に可愛いラブで、大人な世界を書いた後はとっても癒されます~。あのネタも心待ちにしておりますが、お忙しいと思いますのでお時間のある時でかまいません!どう調理できるか…ドキドキしてます(汗)

>narack様 

>narack様

大統領夫人も、F組の頭脳にかかると童/貞vs処/女の単語になってしまうのです(笑)
恐るべし、F組…!と入江くんは呆れと怒りを覚えたことでしょう(^m^)プッ

結局は琴子にかまって、巻き込まれるんだから早々に諦めてれば、お見合いなんてしなかったんでしょうにねぇ。(そこに話が行っちゃうの?という感じですが)
琴子は入江くんが大好きなので、何でもすると思います。サプリ、怪しげなグッズ…etc.
ああ、本当に可愛い……そんな可愛さを感じ取っていただけて嬉しかったです。ありがとうございます(^^)

>nannna様 

>nannna様

琴子ちゃんに振り回される入江くん、いいですよね♪
後でってことは…こんな感じですか?

直樹「ったく、なんであいつが俺の相手になるんだよ」(ここで妄想。他の女では想像もできない&する気もないのに、何故か琴子だけは想像してしまう)
直樹「……馬鹿らし」(意外に様になっていて自分でも驚いてる、とか)
だとしたら、確かにむっつり!(笑)

でもそんな彼を琴子ちゃんもみんなも愛してるんですよね♪

>たーくんママ様 

>たーくんママ様

ああ、二度手間をおかけしてごめんなさい!
今他の方へのレスで同じ単語で弾かれたので、どの単語が引っかかったかはすぐわかりました(笑)

そう、琴子ちゃんは入江くんはきっとまだ未経験だと思ってる(というか、思いたい)んですよね!本当は違ったらショックだけど、それならそれで受け入れるつもりで…覚悟の「ファーストレディ志望」。健気な琴子ちゃんです(笑)
F組の皆は面白がっているようですが…。
こんなことばっかりしてるから、ついついからかいたくなってしまうんでしょうね(^^;
入江くんの額の血管を無事を祈る日々です♪

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

F組の英和辞書、ちょっと変わってるみたいです(笑)
思わず正直になってしまう入江くん、可愛いですよね。嘘なんてつかない、というのはジョセフ入江の歌を思い出しながら書きました。好きなものは好き、嫌いなものは嫌いっていう。余計な飾りや嘘は好まないんですよね!ってことで(^^)基本原作イメージでいるんですけれども。

未来は琴子の思うがまま……けれど、その未来は入江くんの思うがままにされてしまう琴子ちゃん(笑)
イリコトっていいなぁ、とコメントを読んで再確認してしまいました!

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>吉キチ様 

>吉キチ様

吉キチ様に笑っていただけた!やった~!!
そうそう、間違えた意味の方も、あながち間違ってないんですよね(笑)ふふふ…(^m^)

ファーストレディ……結婚したって私なんか……ははは…。

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>あやみくママ様 

>あやみくママ様

一瞬、旦那様のしっくりくる!?なんて思ってしまいましたが、いやいや…と訂正(笑)
楽しそうな会話が浮かんで、素敵って思いました♪
男性の天然もかなりイイ味出ますよね!もし琴子ちゃんがその言葉を言ったら、間違いなく入江くんに実行されますよね(笑)。ああ、つけ入る隙を見逃さない入江くんが浮かびます~(^m^)ププッ
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