*初恋*

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 バカップルの子供のおままごと バカップルの友人なりきり100質
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「二次創作」
短編

お願いダーリン☆

 
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お願いダーリン☆





「俺様神様入江様!!お願いしますっっ」

 ソファーで寛ぐ直樹に、琴子が足に縋り付くようにして何かを頼んでいる。
 もう必死も必死、哀れなほどだ。
 だが、直樹の方は素っ気ない。新聞から一秒たりとも目を離さず、温度を感じさせない声で「断る」とだけ答えた。

「だって、入江くんにしかお願いできないの!あたし達、もう満身創痍なのよぉ~!!」
「嫌だ」

 取りつく島もない、というのはこのことだろう。
 えぐえぐと泣きながらの懇願に、キッチンで聞くともなしに聞いていた紀子の方が可哀想になってしまう。
 エプロンで手を拭きながら出てくると、妻に冷たい自身の息子を睨みつけた。

「こんなに可愛い妻のお願いを無視するなんて、なんて冷たい男なの、あなたは!」
「お、お義母さん…!」
「可哀想な琴子ちゃん、ごめんなさいね、こんな冷徹な男で…」

 紀子の応援に感動する琴子の手を取り、紀子が息子の冷たさを詫びる。直樹は新聞を捲りながら、バカにしたように鼻を鳴らした。

「何と言われようと嫌なものは嫌だ」
「んまっ。裕樹、あなたからも何とか言ってやりなさい!」
「…嫌だよ」

 直樹の隣でスケッチブックを広げ、将来形にしたいオモチャのデッサンをしていた裕樹が、急に降りかかった火の粉に顔を顰める。
 琴子は悲しげにため息をついた。
 裕樹はそんな琴子を見て、面倒そうに眉を寄せる。そしてスケッチブックにサラサラと鉛筆を走らせながら言った。

「大体、何をそんなに頼んでるんだよ。お兄ちゃんがここまで嫌がるなんてさ」
「…剃毛」
「は?」
「だから、剃毛!一生懸命練習してるんだけど、あたしも看護科の友達も、みんな傷だらけなの~!」

 はぁ、と直樹がため息をつく。
 見て!と訴える琴子の脇には絆創膏が貼られ、うっすらと血が滲んでいるのがわかる。
 裕樹は思わず「なんで」と呟いていた。

「だって、一枚刃なんだもん!逆剃りも二度剃りもしちゃいけないのに、なんか妙に古いし安そうだしっ」
「加えてお前は不器用だしな」

 直樹の容赦ないツッコミに、琴子はむぅっと膨れた。

「だから練習したいの!啓太もモトちゃんも嫌だって言うし、真里奈と智子とはもうお互い傷らだけだし」

 琴子はため息をついた。
 お互いの練習のためにと、ケーキバイキングを餌にしてみたりと色々したのだが、琴子の半端ない不器用さを知っている面々なだけに、交渉はいつも難航する。
 それでも啓太や桔梗は根気よく付き合ってくれていると思うのだが、啓太はついに腕から足の毛まで全てなくなってしまい、もう無理だと断られたのだ。
 さすがの琴子も、仕事ならともかく、そうでないのに直樹ではない男の股間など見たくもない。
 これ以上俺の体に毛はない!などとおかしな宣言をされてしまっては、引き下がるしかなかった。
 そこで、冒頭のお願いに至るのだ。
 琴子はぱっと顔を上げた。

「裕樹くん!裕樹くんでもいいの!」
「い、嫌だ!!」
「お願い、ちょっとでいいの。腕と足と脇と」

 学校では体育の授業もある。突如体毛を失って授業に出たら、間違いなく笑い者だ。
 事情を話したところでネタにされないわけがなく、明らかに不本意な結果になると読めるのに頷くわけがない。

「あ、裕樹くんなら子供だしいいかな。あのね、そこもなんだけど」
「そこ……?」

 つい、と琴子が指さすのが自分の大変デリケートな、大事な大事な部分だと知って、裕樹はぐはっ!と咳き込んだ。
 まだ何もされていないのに、大事そうに股間を両手で隠す。

「ぜっっったい嫌だ!!」
「いいじゃない、ほら、ちょっと手術前だと思って」
「お前馬鹿だろ!?」
「失礼な」
「大体、僕もう高校生だぞ!子供じゃない!」
「え~?あたしにとっては子供だもん。いーじゃない、毛の1本や2本。ケチケチしなくたって」

 だからね、お願い!
 ターゲットを直樹から裕樹に変えた琴子が、うるうるっと目を潤ませて裕樹にすり寄る。
 途端に、裕樹は隣に座る直樹から怒りのオーラが吹き出すのを感じた。
 琴子のお願いを聞いてやるつもりはないくせに、琴子がそうして自分に以外の男に…それが例え弟でも、すり寄っていくのは許せないのだ。
 紀子は剃毛と聞いた時点で、そそくさとキッチンへ避難していた。
 いくら琴子が可愛くても、刃物を持たせる勇気は持っていないらしい。
 わざとらしい鼻歌などが聞こえてきて、自分は関わってないアピールをする周到さだ。

「お兄ちゃん、何とかしてよ!」
「………」

 黙って琴子と裕樹のやり取りを見ていた直樹が、ばさっと新聞を畳む。
 そして、くるくると丸めた新聞で琴子の頭を叩いた。

「いい加減にしろ、琴子」
「じゃあ、入江くんがさせてくれるの?」
「……いや、それは…」

 剃毛の重要性は理解しているが、今この状況で琴子に、というのは直樹も遠慮したいところである。
 思わず言葉に詰まる直樹に、琴子がずいっと顔を寄せた。

「練習しなきゃ上手くならないと思うの。上達しないと患者さんに迷惑かけちゃうでしょ?これも大事な勉強だと思うのよね」

 琴子にしてはまともなことを言う。
 直樹に迫る琴子の横を、そうっと裕樹が離れていく。足音を忍ばせて、気配を消して。
 裕樹はキッチンの方から回って廊下に出た。琴子はそれには気づかず、直樹をじっと見つめて懇願している。

「お願い、入江くん。全身なんて贅沢は言わないわ!腕と脇と…今日はとりあえずそれでいから、お願い!」
「…今日はってなんだ、今日はって」
「え?明日もさせてくれたらなーって……明日は足と…きゃっ」

 きゃ、じゃねえよ!!
 …と恥らう琴子を睨み、直樹は自分の腕を見た。これと言って体毛が濃いわけではないが、全くないわけではないので普通にある。
 それに、腕ならばそう酷いことにはならないだろう。
 腕だけならば、だが。いや、足もズボンで隠れてしまうし、問題ないかもしれない。 
 問題があるとすれば、下腹部の方である。
 男のプライドとして、それだけは避けたい。剃毛が必要な手術があるわけでもないのだ。
 
「腕と足は良い。けど、他は断る」
「えぇ~~~~」
「ええ、じゃない」

 ギロッと睨まれて、琴子は渋々頷いた。
 練習させてもらえるだけ感謝しなくてはならないのだ。下手に文句を言って、やっぱりやめたと言われるのだけは避けたい。
 
「わかった、それでいい!準備するから待っててね。えっと…絆創膏と……」
「おい…その準備おかしいだろ。なんで絆創膏から入るんだよ。カミソリはどうした、カミソリは」
「え?だって絶対切っちゃうし」

 どういう自信だ、と直樹は頭痛を覚えた。明日自分は、包帯でぐるぐる巻きになっているかもしれない。
 やはり、どれだけ懇願されても下腹部だけは死守しよう――直樹は妙な決心をする。
 救急セットを運んで来たり、学校帰りに買ってきた一枚刃のカミソリを出してきたりと琴子が準備を進める中、直樹はふと思いついた。

「…なあ、俺が貴重な時間と体を提供する見返りは?」
「え?」
「タダってことはないよな?だってお前、他の奴らは餌で釣ってたんだろ?」
「入江くん、高野のフルーツビュッフェ行きたいの?それとも、ケーキバイキング?」

 きょとん、と目を瞬かせる琴子に、直樹はにやりと笑った。
 琴子を手招きすると、何やら耳元で囁く。直後、琴子が真っ赤になって直樹と距離を取った。

「い、入江くんっ」
「さーて、やるならとっととしろよ。後5分で始めなかったら俺は勉強始めるぞ」
「え!?や、ちょっと待って!」

 とっくにその気はなくしているくせに、直樹は意地悪く笑う。琴子が慌ててカミソリを握った。
 先ほど囁かれたことは気になるものの、今集中すべきは目の前の直樹の体毛だ。

「いざ、参ります!」



―――数分後、哀れな悲鳴が東京の夜に響いた…。






               *******************






「おっはよーございます!」

 清々しい朝には不釣り合いな眼鏡男が、ご機嫌よく直樹に朝の挨拶をする。
 昨日は真里奈と話ができたと言いながら寄ってきた彼は、直樹の両腕が包帯で包まれていることに気付いて首を傾げた。

「どうしたんです?腕」
「…別に」

 相変わらずの素っ気なさで、直樹は歩いていく。その少し後ろを歩いていた琴子に気付き、船津はおや?と眼鏡を持ち上げた。

「琴子さん、どうしました?なんだか妙にお疲れなようで……そういえば、随分とツヤツヤしていますね」

 琴子を見た後首を傾げ、船津は直樹を見てそう言った。
 ぴく、と琴子が小さく体を揺らす。

「“勉強”の成果じゃねーの?」

 わざとらしく琴子の腕を撫で、直樹がにやっと笑った。
 今回ばかりは自分だけが被害者ではない琴子が、真っ赤になって恨めし気に直樹を見上げる。

「い…入江くんのイジワル~~~!!」

 うわーん!!とダッシュで看護科の教室へ走っていく琴子を、船津は茫然と見送った。
 一体、何がどうなって琴子が走り出したのかも理解できない。
 
「あ、相変わらず変わった方ですねぇ」
「いつものことだよ」

 首を傾げる船津の横で、直樹はふんっと息をつく。
 そう、確かに「いつものこと」だった。
 琴子が突拍子もないことを言いだすのも、それに直樹を巻き込むのも、その後結局返り討ちにあって夜中啼かされることも。
 直樹にとっては日常でしかない。
 それに、昨夜のことに関して言えば、これだけの傷を両腕と脇に負わされたのだから、一晩で済んだだけ感謝してほしいくらいだと思う。
(そう、結局琴子のお願いに負けて脇も提供してしまったのだ。)
 ついいつものように腕を動かそうとして、引き攣ったような痛みを脇に感じた直樹はそう思う。
 彼の脇には今、普通の小さな長方形サイズの絆創膏ではなく、正方形に近い形の絆創膏が貼られているのだ。

「あ、それより、今日の発表は僕が勝ちますからね!」
「…ま、頑張れば」

 相変わらずの余裕を見せる直樹に、船津がギャンギャン噛みつきながら、二人は医学部の教室へと入って行った。




「い、入江くんの馬鹿……もうもう、絶対お願いしないんだからぁっっ」

 油断すると笑いそうになる足腰に力を入れながら、琴子が呟いたのはある意味お約束なのだった。



 END


 
さすがにデリケートゾーン(男の人もこう言うのかな)は死守したようですよ、入江くんもwww

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~ Comment ~

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こんばんは 

両腕包帯巻くぐらい大ごとだったのに、アレと引き換えに交渉成立だったのですね(笑)
琴子が、身体はクタクタなのにお肌はツルツルってところがいいねっ!
裕樹は、下腹部を剃毛?!の危機だったけど、嫉妬深い兄のおかげでセーフ!
不器用大王の琴子が1枚刃のカミソリ持ってるなんて…凶器だわぁ…。琴子だけは特別にT字カミソリってわけにはいかないんでしょうか?細井師長!

>ピーチ様 

他にもたくさんお願いしたいことはあったと思うんですが、今回は剃毛で(笑)
さすがにデリケートな部分をお願いしたら傷物(文字通り)にされてしまいそうですから、入江くんも必死だったと思います。その代償が他の部分なら涙をのんだのかも~。
全身傷だらけですから、頑張ったのは入江くんじゃなくて琴子だったかもですよ?(^m^)ププッ

私も、剃毛中に反応しちゃう人のお話は聞いたことがあります。でも、それでも何事もなかったかのように処置をするんですよね。ほんと、看護師さんってすごい…本当は嫌なんだろうけど、億尾にも出さないんですもんね。私にも絶対にできません~(汗)

>たーくんママ様 

両腕を犠牲にしてますので、琴子が頑張ったんだと思います。さぞかし巧みな交渉だったのではないかと(笑)
琴子ってお肌綺麗で、ツヤツヤなイメージがあるんですよねぇ。まさかそれが、あれのお蔭だとは……それだけではないでしょうけども♪
下腹部の剃毛も、琴子がやったら惨事になりそうですよね(^^;確かに、琴子にだけT字カミソリを持たせてあげてほしいかも…。

>紀子ママ様 

私も琴子ちゃんラブで大好きですが、注射と剃毛だけは勘弁かもしれません~。入江くんも骨折した時は他の人呼んでましたもんね(笑)
でも今回は剃毛の犠牲になってくれたので、株が上がったようでよかったです(笑)

台湾版の情報もありがとうございます!
そんな美味しいシーンがあるんですね。ああ、なんでほんと、シリーズ2しか置いてないんだろ…。
もういっそDVD-BOXを買ってしまおうかと思ってるんですが、夏のボーナスまで余裕なし(><)
萌えのために食費を切り詰めるか…!?

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>吉キチ様 

ぶぶっ…!た、タイトルが妙にツボに…(笑)!
残したかったのか…私としては、ハードな報酬の予感に尻込みしてた、に食堂の特A定食を賭けたいと思います(^m^)
デリケートゾーンまで手を出してしまったら、そりゃあ夜は大変ですよね。いや、夜だけで済めばいい方かも!?
でもなんか、琴子に触れられてるってだけで反応しちゃう素直な(笑)入江くんに対して、興味津々になってる琴子も想像できたりします。どっちにしろ、そこに手を出した時点で美味しく召し上がられてしまうんですけども(笑)

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>吉キチ様 

珍道中もなかなか……東海道中ならぬ、という感じがまた(笑)
私もお毛様から離れなさそうです~(^m^)ププッ

>moko様 

それやると、入江くん、とんでもないところまでツルツルにしてしまいそうで……ここに置けなくなってしまいそうです(笑)。
でも、最近はスーパー銭湯とかで温泉も身近ですから、そこに同僚と出かけるのは面白そう!と思いました♪メモメモ~!
貴重なネタ、ありがとうございます!

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>あやみくママ様 

>あやみくママ様

そう、大事な大事なアノ部分!琴子ちゃんが手出ししちゃダメですよね(笑)
入江くんなら何でも上手だから、剃毛もすっごく上手なんだろうなぁって思いますが……って、部位はもしかして!?きゃ~!なんてネタを投下してくんですか(笑)!!
でもやっぱり、そっち考えちゃいますよね(^m^)フフッ
お気持ちわかります!!
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