*初恋*

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 夏的恋愛二十題-15 後- 夏的恋愛二十題-15 night ver.-
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「お題」
夏的恋愛二十題

夏的恋愛二十題-15 after-

 
 夏的恋愛二十題-15 後- 夏的恋愛二十題-15 night ver.-
15.じりじり。ちりちり。いらいら。-結婚後ver.-

甘めで短め、です。
オマケという感じで、軽く読み流してくださいませ♪









 直樹は少し急ぎ足で新宿駅を抜けようとしていた。
 駅構内は人が多くて待ち合わせには向かないので、目的地であるデパートの前で待ち合わせることにしたのはいいが、直樹の方が仕事が立て込んで思ったような時間に病院を出られなかったのだ。
 いつもなら琴子の買い物なんて付き合ったりしないのだが―――見返りを得てしまっているので、仕方ない。

(…恥ずかしがり屋のあいつがあそこまでしたんだからな)

 一体何をさせたのか、この男。
 まあ、そこは触れてはいけないとして、直樹は待ち合わせ場所へと急いだ。
 今日は頑張った甲斐あって、直樹とデートできるので、琴子はめかし込んで出かけていた。朝からバタバタ騒がしかったので間違いない。
 それだけに、何となく嫌な予感のする直樹だった。
 




                                   ******************





 待ち合わせ場所であるデパート前では、琴子がにこにこしながら直樹を待っていた。
 薄化粧をした琴子は、いつもに増して愛らしい。
 先ほどから道行く人やビラ配りのバイトの男、AVスカウトの男などがチラチラ盗み見ていた。

(入江くんまだかな~♪ふふっ、こうしてるとカップルって感じよね!)

 同じ家に住んできたので、待ち合わせした回数など片手にも満たない。当然、琴子の中ではカウントされていないもの含まれているので、実際は指数本で事足りてしまう。
 なので、琴子は朝から嬉しくて仕方なかった。
 別にそのために仕事をしているわけではないけれど、こういう時、仕事をしていてよかったと思ってしまう。
 そんな琴子に、学生風の男が声をかける。

「ねえ、誰か待ってるの?」

 琴子は首を傾げた。まさか自分がナンパされるなんて思っていないので、目の前の男の意図がわからないのだ。
 きょとんとする様子に、つけこむ隙ありと思ったのだろう。男がにっこりと笑って琴子の細い腕を取る。

「さっきから見てたけど、待ちぼうけじゃん?すっぽかされたんじゃないの?」

 柔らかな琴子の肌に、男の指が食い込む。
 かなりの力で引っ張っているようだ。琴子は踏ん張って、ぶんぶん首を横に振った。

「違います!ちょっと遅れてるだけなの、離して!」
「いーじゃん、遅れるのわかってるなら、ちょっと遊んで待ってようよ」
「や、やだ…」

 ここまで強引なナンパも珍しいのかもしれない。人々は何事かと見ていくが、厄介ごとに巻き込まれたくはないとばかりに、そそくさと視線を逸らして立ち去って行く。
 琴子は泣きそうになった。
 直樹をここで待っていただけなのに、どうしてこんなことになるんだろう。
 
「離してください!やだ…ちょっと!」
「そんな怖い顔したら、可愛い顔が台無しだよ~?ほらほら、行こうよ」

 腕を掴んでも動かないと判断したのか、男が琴子の肩を抱く。
 いつものぺったのこのパンプスではなく、少しばかり背伸びしてヒールのある靴を履いていたせいか、琴子は前のめりにつんのめった。
 そのままガッと膝をアスファルトに打ち付け、転んでしまう。

「琴子!!」

 直樹が駆けつけたのは、その時だった。
 入江くん、と琴子が口にするより先に琴子を助け起こし、元凶となった男を睨む。

「汚い手で触んな」
「な、なんだよ…気取ってんじゃねーよ!」
「バーカ、喧嘩売ってんだ」

 直樹が底冷えするような眼差しでナンパ男を睨む。
 琴子も今まで、何度も直樹に睨まれてきた。
 けれど、この視線の強さを見たことはない。今まで睨まれたと言っても優しいものだったのだと思い知った。
 今にも本当に喧嘩が勃発しそうな雰囲気に、琴子が慌てて仲裁に入る。

「だ、だめだよ!」
「けっ、かっこつけやがって。ちょっと声かけただけじゃねーか!」

 琴子の声をチャンスと見たのか、ナンパ男が捨て台詞を吐いて走り去る。
 行方を見ていた人たちの視線もまた、さっと逸らされた。直樹はナンパ男が完全に見えなくなるまでそちらを睨んでいたが、見えなくなったところでようやく視線を琴子に戻す。
 琴子は不安げに直樹を見つめていた。

「悪かったな、遅れて……膝、どうだ?」
「ん。ちょっと切ったみたい…」

 せっかくおめかししてきたのに、どうしていつもこうなってしまうのだろう。
 結婚記念日のデートも散々で、血まみれで登場して直樹を慌てさせるは、結局ディナーは楽しめないはで散々だった。
 最終的にラブラブな時間を過ごせたとはいえ、心残りがないわけではない。今日がそのリベンジというつもりはなかったけれど、またこうなるのか、と思わないわけではない。
 琴子はしょんぼりと肩を落とした。
 直樹はとりあえず琴子が無事であることに安堵し、デパートの壁側に寄ってしゃがんだ。そして、琴子をしゃがんだ膝の上に座らせる。

「ほら、絆創膏貼ってやるから出せよ。持ってるんだろ?」
「う、うん…」

 琴子が絆創膏を差し出すと、直樹は黙ってそれを貼ってやった。
 思いがけない熱々ぶりに、先ほどのいざこざから見ていた人たちが、またも視線を逸らす。だがそれも、五分も経つ頃には人が入れ替わり、一部を除いて、直樹と琴子に注意を払う人はほとんどいなくなっていた。
 絆創膏を貼り終えると、直樹は黙って琴子を立たせる。
 
「ねぇ、入江くん」
「何?」
「さっき本当に喧嘩するつもりだったの?」

 直樹の腕に手を置いて、琴子が悪戯っぽく覗き込む。
 絆創膏を包んでいた紙を丸めた直樹が、ちらっと琴子を見た。

「…さぁな」
「あのね、あたし嬉しかったよ。本当に喧嘩が始まったらどうしようって思ったけど、でも、入江くんが怒ってくれたの嬉しかった」

 切れ長の直樹の目が、今度は琴子を覗き込む。
 大きな茶色の目には澄ました顔の自分が映っていて、それだけで、琴子の気持ちが迫ってくるようだった。
 
「ありがと」

 琴子が嬉しそうに笑う。
 直樹はぴんっと琴子の額を指で弾くと、そのまま手を引いて歩き出す。
 すると琴子が嬉しそうに直樹に寄り添ってきたので、直樹は琴子の華奢な肩に手を添えることにした。
 一連の騒ぎの後もちらちらと琴子を盗み見ていた男たちへの、トドメの牽制である。
 琴子は何も知らずに、ぺたっと直樹にくっついた。

「えへへ、入江くんが優しいな♪」

 それはそうだろう。何せ、含みがあるのだから。
 何も知らずに喜ぶ琴子に、直樹は僅かに口角を上げる。

「行くぞ」
「うんっ」

 琴子は少しだけ甘さを見せた直樹にひっつき、そうして、二人はデパートへと消えていったのだった。
 
 

END





入江くんがこんな風に守ってくれたら、琴子ちゃんでなくても「ムフフ」ですよね♪
ちぃ様からネタを頂いた時はどう動いてくれるか予測もできなかったのですが、書き始めたら意外と動いてくれてほっとしました。買い物に付き合ってもらうために代償を支払わせたようですから、当然かもしれませんが…何させたんだろ、この人(笑)
まあ、そこは聞かない方向でね。ええ。とてもここには書けないようなコトでしょうから(^m^)ププッ

 
お題配布元:TOY様
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>ちぃ様 

>ちぃ様

こちらこそ、ネタをありがとうございました♪
いつもは冷静な入江くんも、琴子ちゃんのピンチには男になります!私も琴子ちゃんしか見えてない入江くんが大好きなので、同じだ♪と嬉しくなっちゃいました(^^)
寝る前にネタが浮かんで、起きてからぶわ~っと書きあげた作品です。寝る前の妄想の名残は、冒頭の「代償」に出ていますが……(笑)
楽しんでいただけてよかったです。ありがとうございました!

>紀子ママ様 

>紀子ママ様

同じく~!!私も同じシーンできゅんきゅん来てました(>▽<)
琴子ちゃんもその時は素直にちょこんと座っちゃって、また可愛くって!
自分の体重考えたら無理難題であることはわかってるんですが、憧れてしまいます♪

で、奥様!まだ恥ずかしいことがあったようですよ(笑)←誰だお前
何させたんでしょうねぇ。怖いですねぇ、野獣は…いや、調教師というべきか…!?何も知らない琴子ちゃんは、無事睡眠を確保できたんでしょうかね(^^;

>むさぴょん様 

>むさぴょん様

ぶっ(笑)!あははは、そういえばそんなこともありましたね!
書いた本人が忘れていて、むさぴょん様に言われて「ああ、そういえば」と思いだしました。
そうそう、その彼が「あれだけのことをさせたのだから」と思うくらいですから、琴子ちゃんにはとてつもなく恥ずかしいことだったと思われます。
それが優しさなのか誠実さなのか難しいところですが(笑)琴子ちゃんからすれば、きっと「当然でしょっ」と言いたくなることかもしれません。うーん、こう書くと確かに知りたいかどうかは複雑かも(^^;

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>narack様 

>narack様

きゃ~!今日もお忙しい中ありがとうございます!
野獣がちゃんと(!?)王子です。王子といえばnarack様のところに素敵な王子がいるので見習いつつ……(笑)
牽制と見せつけをなくして、入江くんの琴子ちゃんへの愛は語れまい!というわけで、今回もきっちり…二度と会うこともないであろう通行人の皆様まで対象になっております(^^;

イラスト、二枚も描き下ろし…ですと!?なんというご褒美!!
ぜひぜひお願いしたいです!(←日に日に図々しくなってごめんなさい・汗)
narack様の良い時に、良い方法でいただければと思いますので……よろしくお願いいたします(^^)

>光子様 

>光子様

あはは、ですよね!
ちゃんとカッコイイ入江くんもいるんです♪…ならもっとそういうのも書けよ、というツッコミが入りそうなのですが(笑)

琴子ちゃんの代償、入江くんの前で一人…それはまた恥ずかしそうです(きゃ~///)!しかし、脳内では入江くんがもっとすごいアイテムを駆使してくれまして……次のアップはそれ(鍵つき)予定です♪リクありがとうございます!お時間がありましたら、見返り編を見てやってくださいませ(^^)

>あやみくママ様 

>あやみくママ様

モテるのは入江くんの愛のお蔭…いいですね、それ♪うんうん、と頷いてしまいました(^^)
入江くんも、それなら少しは牽制を控えてくれるでしょうか(笑)
琴子ちゃんに名前……?それ、なんだか入江くんがすごく楽しんで取り組みそうですね(^m^)プッ
キスマークだけでは飽き足らず、ついに名前!
いつかどこかで使わせていただいてもいいでしょうか…!?

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>吉キチ様 

>吉キチ様

ふふふ……さすが吉キチ様、お見通しですね♪
入江くんのことですから、さぞかし琴子ちゃんが恥ずかしがるようなことをさせたのではないかと。

入江くん、琴子ちゃんが絡むと自制心なくしちゃいますもんね。いざ喧嘩になったら、迷わず掴みかかってたと私も思います。そんな彼に挑まれたら、ナンパ男も怖かったんだろうな、と。琴子ちゃんが常に「入江くんのものです」って看板下げておければいいんですけれどもねぇ。となるとやっぱり、キスマークでアピールしかないでしょうか(笑)
コメのラストに大好きなエロ吉様が出てくるの、大歓迎です♪待ってました!と言っていいくらい(^^)
私、この日はこれで帰っただろうと思っていたのですが、言われてみればこの後だって、どこぞに二人で…という展開はあり得ますよね。その展開もあった~!と目から鱗でした☆
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