*初恋*

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 さくら 誓いは薔薇の庭で(2012/04/23イラスト展示)
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「二次創作」
短編

濡れ衣2

 
 さくら 誓いは薔薇の庭で(2012/04/23イラスト展示)
濡れ衣2

さあ、今度は誰が……?








「…行ってきます」

 ガタン、と静かに立ち上がる直樹の後を、琴子がパタパタと追いかける。
 いつもの入江家の朝の光景だ。裕樹が自分も一緒に出るのだと言い張り、紀子に窘められるのもいつものこと。
 けれど、一つだけいつもと違うことがあった。

「お兄ちゃん、忘れ物なぁい?ハンカチは?」

 二人を見送りに玄関まで出てきた紀子が、琴子と直樹にそう声をかけたのだ。
 いつもなら「いってらっしゃい」と言うだけなので、少しだけ違う声かけではあった。けれど、ものすごくおかしなことを聞いてきたわけでもない。
 二人は特に何を思うこともなく、大丈夫(です)、と答えた。

「そ、ならいいわ。気を付けてね。あ、お兄ちゃん!琴子ちゃんと仲良く行くのよー!」

 そんな余計な一言に追いかけられて、二人は慌ただしく家を出たのだった。




            *************




 A組に入った直樹は、いつものように席に座って授業の準備をする。
 とは言っても、特別なことをするわけではない。すぐにそれは終わってしまって、授業前にトイレに行っておくことにした。
 トイレは登校した生徒たちが、直樹と同様授業前にと思うのか少し混んでいた。とはいえ、男子なので並ぶと言ってもそんなに時間がかかるわけではなかったけれど。


 同じ頃、琴子もまたトイレに向かって歩いていた。


 直樹は用を足すと、ざっと手を洗う。
 混んでいることもあって、直樹は外に出てからハンカチを出して手を拭くことにした。
 そこへ、隣の女子トイレにやってきた琴子が直樹を見つけ、顔を輝かせる。朝一緒に来たくせに、何が嬉しいのかわからない直樹は、ため息をついた。
 学校では話しかけるなよと言ったのはいつのことだったか……とにかく、今となってはそんな命令は守られていなかったのだ。

「入江く~ん!」

 嬉しそうな琴子を目の端に捕えつつ、直樹はズボンのポケットからハンカチを出した。
 
…ひらり。

 何かが落ちる。

「入江くん、何か落ちたよ」

 落ちたのは、小さな布だった。
 昨日のハンカチを洗濯に出し忘れたのかな?などと思った琴子は、至って普通にその布を掴んで直樹に差し出した。
 だが、直樹はそれがなんだかわからない。
 昨日使ったハンカチは間違いなく洗濯物に出したのだ。

「何だこれ」

 直樹もまた、特に疑問を抱かずそれを受け取り、ぺろんと広げた。

「…!」
「なっ…!?」

 直樹が無言で目を見開き、琴子があんぐりと口を開ける。
 水色の生地で、絵にするなら三角で―――。

「な、なんであたしのパンツ持ってるの!?」

 琴子が真っ赤になって叫ぶ。
 やはりこれはそうか、とようやく停止しかけた頭が判断した直後、直樹は事のとんでもなさに気づき、慌ててそのパンツを手の中に隠した。パンツは、そうして隠してしまえるほど小さな布なのである。
 だがそれは、更なる混乱を呼んだ。


 え、返さないの!?


 
 ざわっと揺れる3年生の廊下……その中心で、直樹と琴子は睨み合っていた。
 …が、原因はパンツ。理由としては如何なものか。

「そ、それあたしのお気に入り…まさか、入江くんがぬ、盗んでたなんてっ」
「盗んでなんかいねーよ!」
「じゃあ、どうして持ってるの!?しかも、ぽ、ぽ、ポケットになんて入れて持ち歩いたりして!」

 そんなの、直樹だって知りたいくらいである。
 直樹は非常に淡泊なので、ただでさえ色気のないお子様パンツはもちろん、セクシーな下着だったとしても一切興味はないのだ。
 だが、その直樹でも、この多すぎる人目の中で琴子の下着を放り出すことは出来かねた。
 それは直樹なりの気遣いだというのに、全く気付いていない琴子は「天才もやっぱり男!?」などと呟いていた。
 そして何を思ったのか、はっと顔を上げる。

「それとお揃いのブラもなくなってるの。まさか…」
「違う!もしあったとしても、それはお前が忘れてったからだろ!」

 洗い上がった洗濯物は、各人がそれぞれしまうことになっている。大抵は紀子が机の上などに置いて行くのだが、時たま、琴子がやることもあった。
 なので、裕樹のものと直樹のものを混ぜてしまうことも、最近の入江家では珍しくない。
 その延長で、琴子の靴下などが紛れ込むことも極たまにではあるが、ないこともなかった。
 それ故の発言なのだが…。

「なんで入江の部屋に相原の下着が忘れられてくんだ?」
「やっぱり、そーゆーコト…?」

 ざわざわとざわめきが広がる。
 それに気づいた直樹は、握った下着を琴子の手に強引に突き返した。

「とにかく!これに関して俺は無実だ」
「ええ~~~?」
「ええ?じゃない!」

 ものすご~~く胡散臭そうに直樹を見る琴子に、直樹は思わずぺしっと頭を叩いてしまう。

「た、叩いたわね!?もっとバカになったらどーしてくれるのよっ」
「それ以上バカになれるか、バカ!」
「バカって言った人がバカなんだもん!入江くんのすけべ!パンツ泥棒!」
「だから違うって言ってるだろ!!」
「ブラだって盗ったくせに!」
「そんなの盗ってどうすんだよ。大体、お前の乳なんか見たってなんとも思わないね!哺乳類ならみんなついてんだ!」
「ご、ゴリラのおっぱいと一緒にしないで!!」

 ぎゃんぎゃん言い合う二人の横を、澄ました顔の担任が通り過ぎていく。
 彼らの感覚も、大分麻痺してきたらしい。
 A組の担任からは

「入江、授業始めるぞ。下着はちゃんと返してやれ…気持ちはわかるが」

 と直樹がよくわからない理解を寄せられ。
 F組の担任からは

「相原、パンツくらいいいじゃないか。旦那だろ?」

 と琴子がよくわからない説得をされた。
 それを機に、行方を見守っていた野次馬達がぞろぞろと各教室へと吸い込まれていく。
 まるで、本日の出し物が終了したかのようだ。
 その様子を揃って眺めていた琴子と直樹だが、少ししてから聞こえてきた低く唸るような直樹の声に、琴子はびくっと震える。
 
「……琴子、帰ったらお袋問い詰めるぞ」
「え!?」
「朝の不自然なやり取りが妙に気になる。いいな!?」
「は、はいっ」

 そうして。
 ずんずんと肩で風を切って歩いていく直樹を、琴子はパンツ片手に茫然と見送ったのだった。
 手に残るのは、お気に入りの水色のパンツ。
 
「……」

 ちらりとそれを見て、琴子は思う。
 
(もう少し大人っぽいパンツに変えようかな……)

 なんとなーく、複雑な乙女心が刺激された朝の一コマなのだった。





END




個人的にはやはり縞パンを押したいところですが、しかし水玉も捨てがたく(笑)。

久々の更新がパンツネタですいません~!



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~ Comment ~

初めまして♪ 

こんにちは、初めまして♪
めぐりんと申します!
数年ぶりにイタキスを再読してはまってしまいました(〃⌒ー⌒〃)ゞ
ネットでこちらを知り丸一日がかりで全部読破しました!!
最高に面白い小説ばかりで、読みながら胸がキュンキュンしまくりでした!!
更新楽しみに待っていましたぁ(*^^*)
濡れ衣(祐樹くんVer.)では大笑いしてしまいました♪
直樹Ver. も面白かったです(^^)

これからもちょこちょことこちらに訪問させて下さい!
次の更新を楽しみにしています!
頑張って下さい!!

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます

絶妙~♪ 

更新有難うございました。御宅の高校生イリコトが大好きなので、また読めて嬉しいです。この頃の青い入江君は琴子にも紀子ママにも結構好き放題やられている感もあり、またしても~♪あはは、楽しいです♪
中ほどの「え?返さないの?」の太文字に大爆笑、さらにA組とF組の教師からの言葉がやけにリアルで(笑)野次馬達の目も爛々と輝いているのが目に浮かびます(笑)お蔭様で良い腹筋運動でございます~♪週末のひと時を思い切り楽しませて頂き感謝です。有難うございました。
ところで、そろそろお身体を動かすのも億劫な頃では?くれぐれもお大事にして下さいね。

管理人のみ閲覧できます 

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>めぐりん様 

>めぐりん様

初めまして!この辺境の地まで足をお運びいただき、ありがとうございました~!
嬉しい初コメにも関わらず、お返事が遅れてしまい申し訳ありません(><)

丸一日がかりで読破だなんて、もったいないお言葉に舞い上がっております♪ありがとうございます~(^^)
濡れ衣はあともう1パターンあるので、いずれ見ていただくことができたら…と思っております。その時はよろしくお願いいたします!
めぐりん様のまたのお越し、心からお待ちしております♪色々全部、頑張りますね~!

>ひまわり様 

>ひまわり様

ふふふ、実はもう1パターンあるのですよ~。あの学校の先生たち、割と生徒の恋愛に大らかですよね(笑)
イリコトがバタバタしてても「ほ~、本当に仲がいいんだな」みたいな感じで。
って、野獣入江氏が学生時代に降臨!?そ、それはあれですか、卒業と同時に出産コースですか!?(笑)

来月の出産で、少しずつ準備をしているのですが進んでいるのやら、進んでいないのやら……自分でもよくわかりません(^^;
この時期になっても嘔吐蹴りが流行しているなんて、知りませんでした。ううっ、気を付けます~!

>ひろりん様 

>ひろりん様

高校生イリコトは、書いていても楽しいですよね!ひろりん様の仰る通り、天才のくせにママと琴子ちゃんに振り回されてるのが好きなのです♪青すぎるにも程があるだろ~!って(笑)
最初は琴子ちゃんを敵視していた女子も、入江くんにあそこまで構われる琴子ちゃんに一目置くようになるといいな、なんて思うのですが、いかがでしょうか(^^)教師すら認めちゃう仲なんですけども~。

お察しの通り、体が重いです(笑)。腰を庇うから姿勢も変で、ちょっと歩くと息切れしたりしてるので、更年期の母に「私よりばばぁね」と配慮もへったくれもないことを言われております(--;
悔しいので、今度の母の日には命の母を送ってやる、と思う今日この頃です~。

>ちぃ様 

>ちぃ様

青い入江くんなので、パンツもただの布なのです(笑)
ただし、それは青い入江基準!普通なら真っ赤になって手放すとか、なんか反応があるところですよね。
それなのにあの反応だから、もしや見慣れているのでは、なーんて邪推されちゃうという(笑)

無自覚バカップル、大好物です!ちぃ様にもお褒め頂き、ホッといたしました♪
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