*初恋*

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 バカップルの子供の企みを見てしまった バカップルを作る企み -後-
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「バカップル」
バカップルライフ

バカップルを作る企み -前-

 
 バカップルの子供の企みを見てしまった バカップルを作る企み -後-
遡って、高校時代です。


バカップルを作る企み -前-




「んん…こんなものかしらね?」

 ガタガタと家具やら機材やらをセットしながら、紀子が呟く。
 見慣れた我が家のリビングとキッチン――そこを全て収めることのできる場所をようやく見つけた彼女は、大変ご機嫌だった。
 この日のために大型家電量販店に通い詰め、店員を捕まえては突っ込んだ質問をしたりして必要な機材を揃えたのである。
 紀子は全てのセッティングを終えると、にんまりと目を三日月にした。

「さぁて……早く帰ってこないかしら。お兄ちゃんとこ・と・こ・ちゃんっ」

んふふ♪と笑う紀子からは、ピンクとも紫ともつかない、なんとも微妙なオーラが見えるようだった。





             ************





 帰宅した琴子は、いつもなら開いている玄関の鍵がかかっていることに気づき、あ、と声を上げた。

(そうだ、おばさん達旅行なんだっけ)

 何を思ったのか、裕樹の学校を休ませてまで旅行を思い立ったらしい。強引に重樹にも休みを取らせたらしく、3人は琴子達が学校に行っている間に出かけたのだった。
 すっかりそのことを忘れていた、と琴子は鞄を探る。
 ハートのチャームのついたキーホルダーを出したところで、琴子の携帯が鳴った。

「はい?」
『おう、琴子。悪いけど、お得意さんの宴会が入っちまってな。今日は店に泊まり込むから、戸締りしっかりしてくれ』
「は~い」

 肩と頬で携帯を挟み、琴子はよく考えもせずに話を終えた。
 静かな家の中に入った時、琴子はふと気づいた。

「…もしかして、また二人っきり!?」

 ドサッと鞄の落ちる音が廊下に響いた。
 




 直樹は帰宅すると、料理本を片手に青ざめている琴子をリビングから眺めていた。
 夏の失敗から勉強しなかったのか、琴子は「今度は任せて!」と直樹をキッチンから追い出したのだが、こうして見つめること30分。料理に取り掛かる気配はない。
 このままでは夕食にありつけない可能性も出てきて、直樹はため息をついた。
 持っていた新聞を畳んでリビングテーブルに放り投げると、後ろから声をかける。

「…おい」
「ひぃっ!」

 まるで化け物にでも声をかけられたかのような反応を示す琴子を、直樹はじろっと見下ろした。
 そして、琴子をからかうように、キッチンカウンターに向かう琴子の背後から覆いかぶさる。

「俺、腹減ったんだけど?」
「みみみ、耳元で喋らないで…!」
「へぇ?耳弱いの?」
「やんっ」

 ふっと息を吹きかけられ、琴子はぴくんっと体を揺らした。
 変な声出すなよ、と思ったものの、琴子の反応が面白い。直樹はにやりと笑うと、ふっと何度も琴子の耳に息を吹きかけた。

「やっ、も……お料理できないよ…!」
「元からできてないだろ」
「…おっしゃる通りでございます」

 冷静なツッコミに、琴子はがっくりと肩を落とした。日本語で書かれたはずの料理本なのに、どうしてこうなってしまうのだろう。
 
「ねえ、どうして1カップとか200ccとか、大匙~とか書き方いろいろなんだろうね。全部統一してくれればいいのに」
「……お前、そのレベルでよく夕食は任せろとか言ったもんだな」

 直樹はさすがに呆れて、琴子の手から料理本を奪い取った。至って普通のグラタンの作り方が書いてある。
 これがどうして理解できないのか。
 ある意味F組の頭はすごいかもしれない、と感心しつつ、直樹は琴子を押しやった。

「どけ。俺がやった方が早い」
「入江くんが作ってくれるの!?」
「これ以上夕飯待たされるのはご免だからな」
「きゃ~!ありがと~!」

 ぎゅうっと直樹の腕に抱きつく琴子を振り払い、直樹はため息をついたのだった。




 それから、二人は直樹の作ったグラタンを食べた。
 そしてそれぞれが風呂に入った後、たまたま琴子が借りてきたミステリー・ホラー系の洋画を見た。
 怖いのが嫌いなくせに、どうしてかこんなものを借りてきた琴子は、半分くらいの時間、隣に座った直樹の肩に顔を埋めていたのではないだろうか。
 鬱陶しいと振りほどこうとすると、うるうると大きな目が落ちるのではないかと思うほど見つめてくるので、直樹は最後は諦めて好きにさせていた。

「っきゃ~!!」

 真犯人だった男が、ずるりと崩れた体でヒロインを追いかける。
 琴子は真剣に叫び、ついには直樹に抱きついて本気でびびっていた。

「うるっせーな。見なきゃいいだろ、終わりにするか?」
「ダメ!この後のシーンが素敵だってじん子達が言ってたもん。そこが見たいの!」
「それってどこ」
「最後の方…進めたらわかんかくなっちゃうから、ダメ」

 けど怖い!
 …と半べそをかく琴子が面倒で、直樹は琴子が自分の膝に上半身を預けて来ても黙っていた。重たいとは思ったけれど、先ほどのように耳元でギャンギャン騒がれるよりはマシだったのだ。
 見るのをやめるという選択肢もあるはずなのだが、どいうわけか、直樹の中にその選択肢は存在していないらしい。
 直樹の膝に顔を埋め、ちらっとテレビを見てはぱっと目をそらし…を繰り返す琴子に、直樹はため息を零した。
 結局、映画が終わるまで直樹はしっかり付き合ってやったのだった。



 
「…ったく、信じらんねーな…」
 
 あれだけ自分で見たいと騒いだ映画なのに、目的のシーンを見た直後、琴子は眠りに落ちていた。
 ぱったりと体の力を抜き、くかーっと安らかな寝息を漏らしている。
 このまま放置も考えたのだけれど、翌朝紀子が見つけて大騒ぎされるのもこれまた面倒だ。直樹は仕方なく、琴子を抱き上げた。
 そのまま器用にドアを開け、リビングを出ていく。
 パチンと電気が消され、部屋が暗くなった――。





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>hiromin様 

こちらこそ、見ていただきありがとうございます!
ママの企みは果てしないので、今回はどのような被害が出るのやら……学校新聞も校内新聞も使ってしまいましたしね…(^^;
ママの企みが一体何なのか、ぜひ後編をお待ちくださいませ!
こんな風に、次を待っていただくことも、実はすごく幸せなことだったんだなと実感しています。体調には気を付けてお過ごしくださいませ。

>babaちゃま様 

ああ、そういうのって焦りますよね!
結局原因もわからないままですか?でも、とりあえず対処法だけ見つけておけば安心ですよね♪
読んでいただけてよかったです(^^)

>michi様 

こんばんは!
家族がいたら絶対ありえないと思うんです。ただ、二人しかいなかったらどうかな?と思うと…ママの言うなり、思うままっていうのが何より気に入らないだけで、琴子という存在にはそれほど苛立っていない気もしたんですよ。受験の時にしろなんにしろ、わかりにくいんですが(^^;
後編で納得していただけるといいなぁ~って思います♪

-------------------------------------------------------
実際に経験された方のお言葉は迫るものがありました。そうですよね…それまで、もう必死に張りつめていたものがぷつりと切れてしまったらと考えると、私も気楽ではいられない気がします。想像なので、軽々しく聞こえてしまったら申し訳ないのですが、そんなつもりはなく…。

震災に遭われた方々にとって、このブログがそんな存在になれたら……今、テレビを見ているだけで何もできない自分を、少しだけ許してあげられそうな気がします。節電とか募金とか、できることはちょっとやってみたんですが、それだけなのって心苦しくって。
ここ数日の更新で一番怖いのは、こんな時にと怒られることはもちろんあるのですが、被災された方を傷つけてしまはないかな?というのが一番怖かったです。
実際に被災された方からありがとうの言葉を頂けたときは、この形でも力になれたのだとホッとしました。
michi様のお言葉も、同じように嬉しいです。見て、支えてくださる方が一人でもいらっしゃるというのがこれほど心強いことはありません。
元々暗いお話はほとんど置いていない当ブログですが、これからも皆様に楽しんで、笑っていただけるようなお話を出していけたらな、と思います。
温かいお言葉、本当にありがとうございました!

>紀子ママ様 

原作でも、琴子と二人とわかってれば割と優しさを見せなくもない…ですよね?
高校の時はほとんどないですが、お守りもってあげたり、電車のドア押さえてあげたり…あれだって、入江ママが見たら狂喜乱舞してると思うんですよね(笑)
ところで、台湾版!そんな美味しそうなエピソードがあるんですか!?なに、ハートのチャームがついた合鍵って!!うわ~~、聞くだけで妄想が広がります!それでまた、楽しいお話が出来上がりそうな感じ。
見たいな…うちの近所のツ○ヤ、品ぞろえ悪くて置いてないんですよ……宅配レンタルに手を出してしまおうかと迷ってしまいました(^m^)

こんばんは! 

2度目の2人きりの夜…ママがいろいろと買い揃えてたみたいですけど、何が起こる~??期待値大です!
それにしても、何だかんだと文句を言いつつも、料理をしてやるは、映画見るのに付き合ってやるは、抱っこして部屋まで連れて行くは…、ほっとけないんだよね~!
何気にボディータッチ多いし…無意識にイチャイチャだよっ!
続き楽しみにしてま~す!

>たーくんママ様 

ママはいったい何をしでかすのか!?
まさか何もないわけもなく(笑)日付の変わる間もなく、明らかになるでしょう~(^m^)入江くんと琴子も大変です。いや、そんな風に書いたのがいけないんですが(^^;
入江くんって、ママの呪縛さえなければ琴子にそれなりに普通に対応してたと思うんですよね。お守りだってちゃんと持ってったりと、琴子のすることを受け入れてた気がして。よかれと思って動くけど、息子には逆効果なママっていうイメージがあるので、ママが留守な時はそれなりに普通にできる入江くん、という風にしてみました(^^)
無意識バカップルですよねぇ(笑)

策略 

こんばんは
 よからぬ企みママが・・・ニンマリしながら作業してますねぇ。アイパパのお仕事まで、お手手を回したかのようなぁ二人っきり・・・次で判るんですねぇ。

 ママがどの様に作るのかが非常に楽しみえなりません

 直樹は何だかんだ言ったって・・・マシだと言いつつ密着は大丈夫のようで・・・内心ニンマリしてたりして・・・。

>吉キチ様 

きっと大手家電量販店とかで、メモ帳片手にすっごい聞きまくってたと思いますよ(笑)
あっちにセット、こっちにセット……まさか集音マイクまではないと思いますが、素人技ではないセッティングだったのではないかと思っています。

ママの罠は一筋縄ではいかないのです♪
入江くんって、原作でもけっこう琴子に近い気がするんですよね。なので、今回も無意識に遠慮なくひっついていただきました(笑)
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