*初恋*

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 花冠の姫君 -後- バカップルの休日の朝
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「二次創作」
短編

僕の結婚式

 
 花冠の姫君 -後- バカップルの休日の朝
裕樹くん視点です。イリコト結婚式辺り。
裕樹→琴子的な感じなので(決してユウコトではありません)ご注意くださいませ。


僕の結婚式



 思い返せば約2週間前。
 会社のためにと綺麗で完璧なお嬢様と結婚するはずだったお兄ちゃんが、ようやく自分の気持ちに従うことにして、琴子の手を取った。
 夏からずっと二人を見てて、気にしていた僕は実はそれが……すごく嬉しかったりする。
 だってさ、お兄ちゃんも琴子も、お互いのことずっと好きだったんだから。
 それなのに我慢してさ、言いたいこと言わないで。琴子の方は昔からバレバレだったけど、お兄ちゃんなんて琴子に自分の気持ち伝えないまま結婚しようとしてたんだ。
 最初は僕も、お兄ちゃんがそう決めたならって思ったけど。
 でも、違った。
 僕の知ってるお兄ちゃんは、大好きなお兄ちゃんは――いつの間にか、琴子といるお兄ちゃんになってたんだ。



 琴子はすごくドジで、おっちょこちょいでそそっかしくて、馬鹿で。
 けど、それを補って余りあるパワーと、優しさがあると思う。
 あいつは、いつも馬鹿の一つ覚えみたいに真正面からしか向かってこないから、相手をしていて疲れない。とにかく正面だけ向いていれば、あいつは必ずそっちから来る。受け止める覚悟さえできれば、琴子はただ飛び込んでくるだけだ。
 まあ、今までお兄ちゃんの傍に出没してた女たちとは違うよな。
 自分を良く見せようだとか、着飾って気を惹こうとか、そういう駆け引きはしないもんな。まあ一応、可愛く見られたいとは思ってたみたいだけど……琴子は知らないだろうけど、お兄ちゃんは「琴子」なら何でもいいんだぜ。
 多分、変な顔の気ぐるみ着てたって、それが琴子なら腕組んで歩くと思う。
 何かの時にそんな話をしたら、琴子は最初は笑って聞いてたけど、そのうち泣きだした。

「そうかな、入江くん、あたしならいいって思ってくれてるかな」

 ああ、こいつもまだ実感ないんだなって思った。
 ママが結婚式を決めてきたのも急だったけど、そもそも、お兄ちゃんが琴子を選んだのも突然だったもんな。
 今回に限っては、琴子はお兄ちゃんに随分振り回されたと思う。
 それをつぶさに見てきただけに、琴子の気持ちはわかる気がした。
 
「……少なくとも、お前だけには思うんじゃない?」
「そうかな…」
「自信持てよ。暗い顔の花嫁なんて、目も当てれないぞ」

 そうだね、と笑う琴子の顔を見て、僕はなんだか胸がちくっとした気がした。
 琴子のこんな顔、見たくない。笑うならもっと、すっごい笑い方しろよ。
 僕は6年間も琴子のバカ面を見てきたから、琴子が本当に笑った時の顔ってのはわかるんだ。
 もっと目が細くなって、口の端も上がるだろ。それに、全身から喜んでる空気が漂ってくる。
 少なくとも、今僕の目の前にいる琴子からそれは感じられない。
 こいつ、本当に結婚式大丈夫か……?


               ********


 結婚式当日。
 僕は式が始まる前にと、ホテルのトイレに入った。
 別に必要もないのに、個室に入る。
 どうせだからズボンを下ろして、便座に座って。さっさと用を足して、ママ達のところに戻らなきゃならない。
 そう、わかっているのに。
 僕は涙が止まらなくなっていた。
 

 ママの立てた無茶苦茶なプランを実行するため、お兄ちゃんはこの二週間ほとんど会社に缶詰だった。
 今となっては短すぎる婚約期間で、それはつまり、短すぎる恋人期間で。
 琴子はもちろん、お兄ちゃんだって琴子と一緒にいたかったと思う。
 琴子が不安だったのは、そういうこともあったんじゃないかと今ならわかるんだけど。
 6年間片思いして、もう駄目かと思ってたのにプロポーズされて、あっという間に結婚式が決まって、そしたら肝心の恋人には式まで会えません、じゃあ…琴子でなくたって、辛いよな。
 子供心に何となくそれがわかってたから、僕も琴子を気にかけてたんだと思う。
 あいつに笑っててほしくて。
 僕でも…いや、僕ならあいつの笑顔を引き出せるんじゃないかって、そう思ってた。
 でも、僕は何もできなかった。あいつの心からの笑顔なんて、僕が引き出せるはずがなかったんだ。
 思い知ったのは、昨日。
 さすがに式の前日だからと早く帰ってきたお兄ちゃんを琴子が見た瞬間、琴子の顔がぱあっと輝いたんだ。
 僕がどれだけ言葉を重ねても、最後まで見ることのできなかった琴子の笑顔。
 それを、お兄ちゃんは顔を見せただけで引き出してしまう。
 だからこの二人は結婚するんだって再確認すると同時に、昨日からどうも、僕の心は落ち着かない。
 

 そして今、ホテルのトイレで涙が止まらない僕。
 多分……ちょっと悔しかったんだ。僕がどれだけ頑張っても、琴子を笑わせてやれなかったってことが。
 お兄ちゃんを取られるから悔しいのもある。間違っても、琴子のことだけじゃない。
 あんな一歩間違えたらストーカーみたいな女、僕の手に余るのはわかってるし。ババアだし。琴子といるお兄ちゃんが大好きなんだし。
 僕はトイレットペーパーを盛大に取ると、チーン!とこれまた遠慮なく鼻をかんだ。
 

 認めるのは悔しいけど。
 僕はきっと、琴子に何かしらの特別なものを抱いていたんだろう。
 それは決して、お兄ちゃんと琴子の間にあるような確かなものではなくて、もっとあやふやで、形も色もよくわからないようなものだけれど。
 でも、確かに僕の中にあったんだと思う。
 けど、今日はあいつの晴れ舞台だから。お兄ちゃんにとっても、一生に一度の晴れ舞台だから。
 バイバイ、形にすらならなかった僕の中の何か。
 ぐるぐると水に呑まれていくトイレットペーパーを見つめながら、僕はふう、と息をついた。


 そうだ。
 琴子にいいこと教えてやろう。僕とお兄ちゃんだけの秘密だったんだけど、もういいよな。
 トイレでちょっと泣いたら、僕はすっかり落ち着いていた。
 ママ達のいる控室に戻る道すがら、そんなことを思いつく。
 そして控室に戻ると、案の定ガッチガチに緊張している琴子に耳打ちした。
 
「いいこと教えてやるよ、耳貸せよ」
「え?なになに?」
「……で………の時…」
「え……ええええええ!!??」

 くくくっ。
 すげーバカ面!!


「新婦様、お時間でーす」

 ホテルの人が琴子を呼びに来る。
 式が始まる前から真っ赤になった琴子を見送りながら、僕は心の中でひっそりと「おめでとう」と呟いていた。




裕樹くんも、琴子のこと好きだったと思うんですよ~。近所のお姉さんに憧れるようなものとは思いますが。
なんだろう……サ○エさんで、お隣のユキ○さんに憧れるカツ○君のような。まあ、琴子は皆が憧れる才色兼備なお嬢さんではないわけですが、あの兄弟、どうも女の好みは似てるようなので(笑)琴子は可愛いですしね。

裕樹くんの幼い好意が微笑ましいと思う今日この頃です。
つい最近まで「甘やかしてやる」と言ってご無体を強いたお代官様を書いていたのでwww
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こんばんは! 

裕樹の淡い恋心?なのでしょうか・・・。
琴子にお兄ちゃんを取られたってよりも、お兄ちゃんに琴子を取られた気持ちの方が強いのかな・・・。
自分ではどんなに頑張っても琴子を笑顔にさせることはできないのに、お兄ちゃんはいとも簡単にそれができる・・・。しょうがない!2人は大人だし、確かな愛で結ばれちゃってるのよ~♡
でも裕樹は2人とも大好きなんだよね!
これからは、弟として琴子を支えてあげてね!入江にヤキモチされない程度に・・・。

 

あー あったかもですね。裕樹の片思い。
自分でもわからなかった淡い感情
琴子と 大好きなお兄ちゃんだから 祝福できるんでしょうね

もし金ちゃんと結婚式だったら 裕樹も略奪にいってたりして(^_^)
琴子が全く気付いてないのが いいよね

>吉キチ様 

こんにちは!
好美ちゃんが出て来てからは別として、少なくともイリコトが結婚するまでは淡い何かを抱えていたのではないかな、な~んて。吉キチ様も同じでかなり嬉しいです♪
相手がお兄ちゃんでなく啓太とかだったら、全然違う姿を見せてくれたかもですよね(^^)
そう、琴子のとびっきりの笑顔は可愛いですもん!裕樹だって惚れますよね!わかりますわかります!!
形になる前に終わりがわかっているというか。そういうところがいいな、なんて。

普通(?)少女漫画でメインの二人がいて、その弟が出てきてもこんな妄想あまりしないのですが、イタキスに限ってはできちゃうんですよね。そこがまた大好きなポイントだと思います♪
コメントありがとうございました!

>たーくんママ様 

恋心と名前がついたかどうか…という微妙なところかなって思います。
なんとなく琴子が特別だった、そういう感じ。それが大好きなお兄ちゃんの好きな人だからなのか、大好きなお兄ちゃんを好きな人だからなのかはわからなくて、けど、琴子が笑ってる方が好きで。なんでかわからないけど、二人が幸せになるのが嬉しいのにちょっと切ない。そんな微妙なところで止まっているのがいいな、なんて。これぞ妄想なんですけど(笑)。
とかなんとか裕樹をヨイショしておいて、実際書くと入江くんにヤキモチ焼かれて酷い目にあったりしてもらってて、申し訳ないんですよねぇ(^^;
弟にまでヤキモチをやくお兄ちゃんですが、大好きな琴子とお兄ちゃんのためなので、裕樹には頑張ってほしいところです。

コメントありがとうございました(^^)

>さくら様 

そうなんですよ、大好きなお兄ちゃんと琴子でなかったら、邪魔してたと思うんですよね(笑)。
金ちゃん……結婚式の前に、プロポーズの時点で邪魔してそうですよ。なんだかんだと琴子を引きとめて、約束の場所に行かせなかったり、デートにお邪魔虫したり。
琴子は入江くん以外の男性を男と思ってなさそうなので…まして裕樹くんじゃ、可愛い弟ってのが関の山なんじゃないかと思います。
…可哀想に(^^;

コメントありがとうございました!

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>匿名様 

なるほど…と納得しつつも、反省させていただきました。
コメントに鍵をかけてくださる配慮をしてくださっているので、ここで詳しく書くことは控えさせていただきますが、しっかり受け止めさせていただきました。
仰る通りですので…以後気をつけますね。
そんなつもりはないとはいえ、そのように思わせてしまって申し訳ありませんでした。
また、言いにくかったであろうことをはっきりと伝えてくださって、ありがとうございました!
うちのブログに遊びに来てくださる方はみなさんお優しくて、影でコソコソ言ったりしなくて気持ちよくて、本当に感謝しております(^^)
まだまだ至らぬことが出てくるかもしれませんが、ダメな奴…と呆れずにまた来てくださると嬉しいです。
ありがとうございましたm(_ _)m

拍手お返事 

>naotti3様

風邪流行ってますよね(><)もう大丈夫ですか?無理しないでくださいね!
確かに、琴子の来る前の入江家って、裕福だし子供完璧だし、一見なんの問題もない完璧な家庭に見えるけれど、親子間に問題のあるイメージありますよね。っていっても、主に入江くんとママの間ですけど(笑)。
それが琴子によって変化して、少しずつだけどぬくもりのある感じになって…いただいたコメントを見て、わかる!って思いました♪
裕樹くんの淡い淡い、形にすらならなかったものにも共感していただけて嬉しいです(^^)
コメントありがとうございました!



>TOM様

完全復活おめでとうございます☆さっそくスキー行くなんて、頼もしすぎです(笑)
裕樹の場合は自覚なしってのがいいかなって。しっかり理解して、僕はそれでも身をひくぞ、みたいな感じじゃないのが彼らしい気がするし。
忙しいのは今週末までで(--;それが過ぎたら、来週になった…いや、今月中にできたらラッキーくらいのが自分の首を絞めることにはならない気もしますが、前々から温めていたことを出せたらと思ってます♪

あっちの祭り…!
私も一度は目にしたくて本屋に走ったんですけど、どういうことか売り切れてました(笑)いつも残ってるのに!
何これ、祭りの効果!?とびっくり(^^;
でも祭りになるのも無理はないかなぁ、とか。いかに彼が厨房のようでも、読者は待たされまくってるし。
連載されるだけで感謝とかどんだけM体質にされてしまったのとか思うけど、今までのことを思えば気持はすっごくわかる気がします(笑)



>紀子ママ様

そう、そうなんですよ~!裕樹は感情が普通なんです!!
好美ちゃんはそこのとこ、琴子に感謝してもいいくらいですよね(笑)
あんな兄がいたら、弟はひねくれて育つのが定番なのに……本当にいい子ですし♪

ほんと、あのやりたい放題……ある意味自由人なお兄ちゃんは、裏だと特に好き放題しています(--;
裕樹はそこは見習わなくていいと思う、と声を大にして言いたいですねぇ。
もしお兄ちゃんのそんな姿を知ったら「お兄ちゃん…うそっ」って顔を引き攣らせると思います。
あ、それも面白いかもしれないなぁ(酷)なんて。
コメントありがとうございました(^^)
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