*初恋*

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 上手なお酒の飲み方を -後- オトメ心
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「二次創作」
晩年シリーズ

アレの行方

 
 上手なお酒の飲み方を -後- オトメ心
エロ系の後はピュア系でお口直し(?)を…♪




アレの行方



 直樹が神戸で単身赴任を初めて数か月。
 つい先日は琴子が押しかけ、すぐ帰ると言っていたのに結局一週間も滞在していったばかりだ。
 それでも会いたい気持ちは日に日に膨れ上がるばかりで、直樹は仕事と理性で琴子に会いたい気持ちをコントロールする日々だった。
 

 ある日のこと、医局で担当する患者の疾患について調べていた直樹は、持参していたファイルを出して更に考えをまとめようとしていた。
 周囲には他の医師もいて、仕事のことからプレイベートなことまで話をしていた。
 もちろん直樹はその輪には入らず、黙々とパソコンに向かっている。
 その時、ファイルを出した時に鞄から一緒に何かが落ちた。
 ひらりと宙に出たそれは、直樹が掴む前に同僚医師たちの足元へと滑りこんでしまう。突然舞い込んできたそれを、同僚医師の一人が拾い上げた。

「なんやこれ?入江先生の?」

 白い封筒は少々年季が入っていて、端が折れて草臥れていた。
 表面には“入江直樹様”の文字。丸みを帯びた字は男性のものではなく、明らかに女性の手だった。
 裏面の封をするところには、ハートのシールが貼ってある。どこからどう見てもラブレターだ。
 途端に、その場にいた数人の医師がニヤリと笑った。東京からきた、この優秀だけれど可愛げのない研修医をおちょくるネタができたのだ。

「どう見てもラブレターやな」
「奥さんいるのに、入江先生もなかなか…」
「まあ、鬼の居ぬ間にってのはわからないでもないけど」

 まあ、なんとも下世話なことである。
 医師だって人間だとわかっていても、元々そうした話題を好まない直樹には決して楽しい状況ではない。
 直樹は立ち上がると、手紙を受け取るためにその輪に入った。

「妻からのですよ。俺のお守りなんで、返してください」
「奥さんからの~?」

 本当に?と言わんばかりに同僚が直樹を見る。
 
「ええ。琴子から…あいつからもらった最初の物なんですよ。俺も妻もまだ高校生でした」

 そういえば、直樹が結婚していることは知っていたけれど、どういう女性とどういう経緯で結婚に至ったのか、同僚医師らは何も知らなかった。最初の頃に歓迎会があったものの、そもそも忙しい研修医という立場と、真面目な直樹の性格からして、飲み会などにはほとんど参加していないからだ。
 やはりそういう話を聞くのはお酒の席が多いから、彼らは初めて聞く直樹の話に「へぇ」と相槌を打つしかなかった。

「俺が受け取った、最初で最後のラブレターですね」

 イケメンなのにあんまりモテなかったのか?と周囲は思ったが――実際のところは、琴子のもの以外はすべて破棄されただけだ。
 そんなことも思い出しながら、直樹は琴子からのラブレターを見た。
 受け取ったというよりも無断で読んで手にした、というのが正しいところだが、その後捨てなかったのは明らかに直樹の意思だ。
 そんなに離れているわけではないと思う。遠い遠いとは言っても、海外ほど遠くもない。
 ついこの間だって、一週間も滞在していた。それでも、胸を打つほど愛しく思える琴子の、懐かしい優しい字だった。
 それをゆっくりと指でなぞる。
 無意識のその行動の間、直樹の目は優しく細められていた。彼が今何を思っているのか、すぐにわかるような。
 
「まだ字が幼い…」

 呟く声も、聞いたことがないほど優しかった。
 これがあの入江直樹か、と神戸で知り合った医師達は呆気に取られている。可愛げのない研修医だが、この顔を見るとそれだけでもないかも、と思えた。
 だが、直樹はすぐに顔を引き締め、手紙を鞄にしまってしまった。

「そういうことですので」

 次に見た顔は、いつもの可愛げのない研修医、入江直樹の冷静な顔になっていた。



               *************


 
 部屋に帰り、直樹は鞄から手紙を出した。
 お守りにと思って持って来て、つい持ち歩いてしまっていたけれど、今日のように落としてしまってなくしてしまったら、目も当てられない。

「家に置いておく方が安心だな」

 ぽつりと呟いた直樹は、それが手紙だけではなく、書いた本人にも当てはまることに気づいて苦笑した。
 他の男の目に触れないように、自分以外を見ないように――本当は家の中に閉じ込めておけたらそれが一番いいと思う。
 もちろん、そんなことをしたら琴子の良いところを潰してしまうのはわかっているし、そもそも現実的な話ではないのだけれど。
 直樹は机の引き出しの、鍵のかかるところに手紙を入れた。
 滅多に使わない鍵を取り出し、カチリ、と音を確認するかのようにゆっくりと鍵をかける。
 その鍵をじっと見つめ、直樹はベッドに転がった。
 本当は、時間のある時にシャワーだけでも浴びて、少しでもいいから寝ておいた方がいい。
 それでも今は、琴子のことだけを考えていたかった。
 
『入江くん、だーいすき!』

 今も鮮やかに耳に蘇る琴子の声に口を緩ませ、直樹は目を閉じた。



 END



琴子登場しなくてごめんなさい!
エロでなく終わらせることができました♪やればできるじゃないか、私!
いやもう、一歩間違ったらまたしても入江くんが風呂場に直行でしたからwwww
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~ Comment ~

 

裏に行って、今度は表に来ましたよ~!(楽しみが増えてほんと幸せだわぁ・・・)
私も、この流れだと風呂場行き!だと思いましたが・・・、きれいな形で終わらせたのですね。
琴子にzokkonな入江って、やっぱいいね~!!

>たーくんママ様 

ええ、なんとか綺麗に終わらせられました(笑)!
危うく風呂場に…という言葉を打ち込みそうになりましたが(^^;
もー、それじゃあ入江くんが常に一人でやってるみたいじゃないか!!と自主規制ですよ。さすがにそんなイメージを受け付けるわけには…って、すでに調教師だの何だのやっておいて、今更なんですけども(苦笑)
やっぱり入江くんは琴子べた惚れが好みです♪
ママ風にいえば「お兄ちゃん、琴子ちゃん大好きでしょ?」(琴子ちゃんみたいな子タイプでしょ、の感じで)ですかね(^^)

ピュア直樹 

     こんにちは
ヤバイヤバイ一歩どころじゃないほどに・・・私は間違って色々妄想してました。 お風呂場即直行かとタイトルで思っちゃいました。 スゴクスゴク純な直樹のお話なのにねぇ・・・。ほんとに恋焦がれる思いが充満してますよねぇ。琴子思う時は心穏やか何時もとは別の顔ですねぇ。

感動! 

直樹にとっては大切な琴子からのラブレター♪
お守りなんですね!私にもピュアな気持ちが蘇ってきました(笑)心が温かくなるお話でした。

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>吉キチ様 

あはは、タイトルですでに…ですか!(笑)さすがです~!
なんだか背中がむず痒くなるほどのピュアな入江くんを書いてみました。書けるもんですね…意外と。
目の前に琴子がいなければ、こんな風に想っている姿を見せることもあるんじゃないのかな、なんて思ってるんです(^^)
そうだったらいいのにな~♪ってやつですね。

>ななみ様 

よかった、ピュアな気持ちが戻ってきましたか(笑)!
私も少しだけですが、戻ってきました……またすぐに、遠くとぉ~~くへ行ってしまいそうですが(^^;
またこんな風な、ピュアなお話を書いてみたいと思ってますので、その時はぜひぜひまた見てくださいませ♪

>ピーチ様 

たまに見て、琴子を思い出して…うんうん、それ素敵ですよね!
…で、時にはお風呂場直行……って、ピーチ様(笑)!!ぷぷって吹き出してしまいました!

あのラブレター、絶対保管してますよね。実はラブレターはもう1つネタがあって…そちらはちょびっと切ない感じなので、エロの後の気分転換に書いてみたいと思っています(^^;

神戸から斗南に戻るまでかぁ。
すっごいドタバタしてそうですよね(笑)あそこって、琴子絡められるかな…妄想リストに入れておきます☆

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いいな、ピュアって。 

こんばんは!!
ピュア…すぎて最後の「入江くん、だーいすき」には泣きそうになりました…。

miyacoさんの書かれる入江くんはこんなこと言ったら叱られるかもしれませんが、本当に可愛くて!
あのラブレターをお守りにしているなんて、琴子ちゃん以上に純粋じゃないですか(*^。^*)

私も綺麗な心を取り戻しに旅に出たいです…←どこへ?

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>こちこ様 

こんばんは!
素直な入江くんなんて、入江くんじゃない…!とすら思う時もあるので、ラブレターも捨ててはいないだろうけど、目につかないように持ってきてそうだよな~、お守りとして持ち歩いてたらいいな~と思って♪
琴子が知ったら泣いて喜びますよね(笑)

そのセリフ、いいなぁ…素敵ですね!うん、言わせてみたい♪
う、うずうずしてきました!!メモメモ……皆様から頂いたリクメモ帳が埋まっていくが楽しいです(^^)
ありがとうございます!
そして甘々もですね。私も甘いの大好きなので…バレンタインも近いですし、甘いの書いてみます♪
少しくらいのご褒美は私も思います~(^^)

>水玉様 

ピュア光線、いかがでしたでしょうか(笑)
入江くんの頭の中では、ずっと琴子の「だいすき」がエンドレス・リピートだと思います♪

可愛いですか!?な、なんかくすぐったいですねぇ…うへへ(←きもい)
琴子に関してだけは純粋にもなれる、そんな入江くんだといいな~なんて。
旅先は…そうですね、小野急線沿いにある大蔵駅なんてどうでしょう?もれなくママ・プレゼンツ「イリコトを望遠レンズで見守ろうツアー」に行けます(^m^)

>TOM様 

悲恋系はアウト、それは私もです!途中はまあアレですけど、最後まで悲恋だと読後に悲しくなっちゃうので…。
悲恋じゃなくて、切ないのはOKなんですけども(^^;

ババ心って…自分でババって言っちゃダメですよ!!(笑)さすがにもう自分で「お姉さん」とは言いませんが(言ったら白い目で見られる)おばちゃんとは言わないようにしないと~ww
そういえば、確かに低周波や机の引き出しだったけど…琴子人形はどうなったんでしょうね。二人のクローゼット?それじゃ琴子に見つかりそうですし……???
ラブレター持ち歩いてた事件(神戸では事件扱い・笑)は、同僚医師達は触れまわってると思いますよ。入江先生は奥さんしか見てないってわかれば、入江くん一人勝ち状態も解消ですし。

コメントの表示方法…ごめんなさい、吹きだしました(笑)!!
ほんと、なんでですか~?ふふふっ。

拍手お返事 

>紀子ママ様

落差激しかったですか?(笑)確かに、同じピンクでもえっちぃピンクからベビーピンクって感じですよねぇ。
台湾版でもラブレターは机なんですか!知らなかった!
でも、琴子のくれたものなら何でも大事にしてそうな入江くんなので、そう妄想する人はたくさんいますよね。
台湾の脚本家さんから見ても、入江くんの琴子への愛の感じ方は一緒なんですね♪
すごいな~、海を跨いで愛されるイリコト!なんだか幸せになれることを教えていただき、ありがとうございました♪


>りあ様

ピュアな入江くんに負けじとピュアなりあ様ですね♪
えろかっこいい、は入江くんには褒め言葉です(笑)少なくとも、うちではww
入江くんは琴子が大好きで、でも普段はわからないようにしていて……神戸の時だけは、一人だしやっぱり琴子恋しいでこんなことしてたらいいな、って妄想したんです(^^)
あと、コメントは非公開OKにしました!そういうお声が多くて、こだわりがあったわけではないしということで、変更しましたので、ばしばし送りつけてくださいませ♪見ていただくだけでも嬉しいですが、コメントいただければもっともっと喜びます(笑)


>babaちゃま様

はい、やればできました!褒めて~、と誰かに向かってアピールした気分です(笑)
ピュアな気持ちはみなさん持ってますよね、うん!お、表に出にくくなっただけ……ですよ(^m^)


>naotti3様

原作でももう少し見て見たかったですよね。結婚後、いつになく二人の心が近づいていた時だと思っているので、原作で見ることが出来ていたら、幸せだったかも~。
なんて、風呂場直行なんて書いておいてなんですけども(笑)
入江くんがピュアな日は、私もピュアな気分です♪なんでしょう、たまにぶわ~~っとピュア系を書きたくなるんですよね。知恵熱ならぬピュア熱っていうのかな?
こちらこそ、ありがとうございました!

 

なんかいいですね♪ 直樹が琴子を本当に愛してる感じが伝わってきます∨ それにしても直樹のツンデレっぷり 最高に萌えるうっっ 想像しただけで萌えがオーバーヒートしちゃうわぁ ぶぱあぁ←鼻血 (笑)

>あやみくママ様 

>あやみくママ様

琴子ちゃんがお酒を飲んで潰れちゃたり、こうして映画とかで動けなくなっちゃうことがあったら、入江くんは割と迎えに来てる気がするんですよ(笑)あやみくママ様に鼻血まで出していただけて嬉しいです!
じゃなくて、えっと…ティッシュ!!ボックス1つで足りますか!?(笑)
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