*初恋*

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「二次創作」
中編

Likes you who do your best -2-

 
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Likes you who do your best -2-




 琴子がこの世の中で恐れている最たるものと言えば、直樹だ。
 それは彼が怖いということではなくて、彼にまつわることに恐れているというのが正しいだろう。

 直樹の足を引っ張ること
 直樹に自分を選んだことを後悔されること 
 直樹に嫌われること

 琴子の人生において、その行動の全てに起因してきたと言っても過言ではないほど、直樹は琴子にとって大きな存在だ。高校一年で出会ってから、もうずっと彼を見てきているのだ。
 だから、今回のことでも、自分が叱られるのも呆れられるのも、仕方ないと思っている。当然だとも。
 でもそのせいで、直樹まで悪く言われたり、情けなく思われるのだけは嫌だった。
 あいつを選んでよかったと、彼に認めていてほしいから。
 
「…これでいい……かな?」

 一度帰宅して、また数時間後には出勤しなくてはならない琴子ではあったが、その僅かな睡眠時間を削って看護計画を見直していた。
 少し寒気もするし食欲もないけれど、こうして頑張らないと今の自分は人並みですらない。
 そんな風に自分を奮い立たせているからか、あまり眠気も感じていなかった。
 そんな生活を、かれこれ1週間続けている。
 合間、合間に眠ってはいるものの、活動時間に対して短すぎるほどだった。けれど、やはり琴子は気にしていなかった。
 相変わらず本調子とは言えないけれど、集中しているせいか全てが他人事のようだったのだ。



             ********



「おーい、入江」

 医局に向かって歩いていた直樹は、西垣に呼び止められて振り返った。
 仕事か、それともいつもの無用な干渉か。声だけでは判断できず、直樹の眉は怪訝そうに顰められている。
 八割方、無用な干渉と踏んでいた直樹だったが、目の前前で来た西垣の目は真剣だった。
 担当している患者に何かあったのだろうか。ポケットに忍ばせた電話は無言を貫いているけれど、と直樹はまたも訝しく思う。

「琴子ちゃん、今日はもう帰るんだろ?」
 
 今日の琴子は深夜勤だ。まだ勤務について数時間しか経っておらず、当然帰るには早い。 
 勤務のすれ違いで、ここしばらく満足に琴子と話をしていなかったけれど、何かあったのだろうか。
 事情を読めないでいる直樹に、西垣はがしがしと頭を掻いた。
 直樹が何も知らないということを察したらしい。

「酷い顔色だぞ。お前、夫のくせに知らなかったのか?」
「いや…少し前に風邪をひいたのは知ってますけど」
「治りきってないんだろ。桔梗君が言ってたが、かなりハードな生活送ってたらしいから」

 直樹の脳裏に、一週間ほど前のことが思い出された。
 些細なミスを連発し、いつか大きな怪我をしたり、させたりしてしまうのではないかと危惧したことがあった。
 新人の頃ならともかく、経験もそれなりに積んだ今では見られなかったミスばかりだっただけに、直樹も気になっていたのだ。
 いつものように、優しくするのではなく激励することで琴子を奮い立たせたつもりだったのだが、良い結果にはならなかったのだろうか。
 直樹の顔をじっと見ていた西垣は、これ見よがしな溜息をついた。

「さてはお前、琴子ちゃんにまたキッツイこと言ったんだろ」
「…は?」
「病気で弱ってる奥さんにも厳しい夫…お~、やだやだ。鬼だね、鬼!」

 思わずぎろっと睨んだ直樹だが、少し図星でもあったので言葉が出てこない。
 琴子ならできる、と信頼することは直樹にとっては容易いことで、むしろ優しく手を引いてやることの方が難題だったのだ。
 世間一般には逆かもしれないけれど。
 なんにせよ、琴子はいつものように直樹の言葉を素直に受け入れ、文字通り骨身を削って頑張っているのだ。 
 たまには…そう、少しくらい甘い顔をしてもいいかもしれない。
 入江くんが優しい!?と驚いて目を白黒させて、けれど嬉しそうに笑う琴子の顔を思い浮かべ、直樹はそんなことを思った。


 直樹が琴子の様子を見にナースステーションに行くと、入れ違いで琴子は出て行った後だった。
 清水主任によると、傍目ですぐわかるほど顔色も悪いらしい。さらにその横にいた鴨狩によれば、体調不良からくる食欲不振と睡眠不足もある、とのことだった。
 夫婦とはいえ、二人とも家に帰れば必ず会える職種ではない。だが、そんなことは今は言い訳にもならないだろう。
 直樹には、琴子がそこまで無理をした理由が、一週間ほど前の自分の言葉にあるとわかっていた。
 励ますつもりだったとはいえ、労りの言葉ひとつかけずに仕事にかまけていたのだ。鴨狩が責めるような目で見てきても無理はないと思う。
 直樹はくしゃっと前髪を掻きあげた。
 琴子が一人で頑張る度に、次こそは優しくフォローしてやろうと思うのに、いざその時がくると忘れてしまう。
 今回はまだ間に合うだろうか。 
 必要なら看護師長にかけあって、シフト変更をしてもらった方がいいのかもしれない。
 そのためには、まず自分の目で琴子の様子を確かめたかった。
 直樹は琴子を追いかけて、ロッカールームへと向かう。
 職員用通路に出ると、丁度琴子が階段を降りるところだった。
 元気がないからか、華奢な体が殊更小さく見える。それでも姿が見えたことに安堵し、直樹は一歩踏み出した。
 
「琴…」

 呼びかけて…直樹の頭の中では、立ち止まった琴子が振り返るはずだった。そうしたら先日のことを謝って…。
 けれど、直樹の目の前で、琴子はぐらりと揺れた。
 
「琴子……!!」

 小さな体が踊り場に打ちつけられて、跳ねる。
 それを、直樹は目を見開いて、信じられないものを見るように見ていた。間抜けに伸ばした腕が視界に入るものの、届かなかったそれは空を切っている。
 直樹はすぐに階段を駆け下り、倒れた琴子に近づいた。
 
「おい、琴子、琴子―――!!」

 騒ぎを聞きつけ、人が集まる。
 医師として冷静に判断を下していく直樹の中で、別の彼がいるようだ。その男はみっともなくうろたえ、琴子の名を繰り返している。
 ただ、その男は決して表に出ることはなく、冷静な医師の仮面の下から出てくることはなかったけれど。
 





『入江琴子』――そう書かれたプレートを見つめ、直樹は動けずにいた。
 ぴったりと閉じたドアの向こうに琴子がいる。
 いつかの日、琴子を庇って階段から落ちた直樹同様、琴子も全治2か月の骨折だった。
 他に損傷はない。受け身もなく階段から落ちてそれだけで済んだのだ、僥倖だったと言うべきだろう。
 それでも、直樹の胸に突き刺さった棘がある。
 あの時、自分がもう少し琴子の様子に気を配ってやっていたら。今更どうしようもない、そんな思いがぐるぐると直樹の頭の中を廻っていた。
 医師としてどうかは第三者の評価に任せるが、少なくとも、夫としては落第だなと思う。
 直樹は意を決してドアを開けると、まだ麻酔が効いて眠っている琴子を見下ろした。
 すやすやと眠るその顔は、直樹の記憶のそれよりも少しだけやつれている。

「…ごめんな、琴子」

 泣きもせず、弱音も吐かずに頑張った末のことだけに、直樹は余計に苦しく思うのだった。




うちの琴子ちゃん、よく階段で危ない目に合ってます(^^;
前は落ちかけて、今回はついに落ちちゃいました。入院するほどの骨折のレベルって、実体験がないのでよくわからないことではあるのですが。父が経験してるんですけど、大昔で記憶があやふやな上に、事故だったんで入江くんや今回の琴子よりも悲惨な感じだったから、参考にならなくて。
仕方ないので、原作の入江くんの入院を参考に(と言っても、階段から落ちる→入院という流れのみですが)させていただいてます。
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*Edit ▽CO[12]   

~ Comment ~

 

琴子の怪我は疲労と睡眠不足と食欲不振…直樹は自分 責めるよね(-_-;)
元気な琴子がいないと
自分も元気じゃあいられないって 気づいてね。直樹の優しい言葉が 琴子には一番の薬なんだからね

>さくら様 

女の人はデリケートなのよ!ってことで(笑)大変残念なことに、私の場合は睡眠不足でも食欲不振にはならないので、腹に肉を蓄える一方なのですが(--;
次は甘く、いつもの調子で終わるように書いてます♪入江くんが琴子に甘くしようって、素直に思ってくれるといいんですけども(笑)。
明日…うーん、どうかな?という遅さですが、もう少しお付き合いください(^^)
コメントありがとうございました!

骨折! 

正座し、頭を深く垂れてお待ちしておりました(^o^)/

骨折!そんな大事になるとは…入江くん、生きた心地がしないでしょうね…
くしくもあの時の琴子ちゃんと同じ気持ちを味わうことになるとは…(T_T)

でも琴子ちゃんの頑張りはすごいo(^-^)o
私も見習わないと(>_<)

さあ入江くん!
今度は君が献身的に介護する番だ!(b^ー°)

おはようございます! 

過労、栄養不足、睡眠不足・・・気力だけでがんばってた琴子・・・力尽きたね・・・。
ゆっくり休んで充電しなきゃ!
2ヶ月の入院で、どれだけ入江が琴子に愛情注ぐのか見ものです!あんなこともこんなことも?あるのかしら・・・。
楽しみにしてま~す!

 

がんばり屋さんの琴子だからなぁ~ギリギリまで頑張ったんですね。日々、いかに理由をつけて家事をさぼることしか考えてない私は・・(汗)
階段から落ちていく琴子を見てる時、入江くんはさぞ生きた心地しなかっただろうなぁ( p_q)エ-ン
「妻を助けられないなんて旦那失格!」とまた紀子ママに叱られちゃうのかなぁ。汚名返上!!甘~い看護で骨も心も体もピタッとひっつけちゃってください♪

後悔 

   こんにちは
何もなくて良かったです。自他共に認める今回は直樹の痛恨のミスですねぇ。
琴子の頑張りは今回空回りみたいだし、直樹の言葉に一喜一憂の琴子だからこその頑張りだし・・・。

 直樹の内心・・・うろたえ・・・今後病室で、琴子の前で彼は表に出てくるんでしょうか?それとも隠されたママなんでしょうかぁ?続きが気になります。

>水玉様 

原作を読み返していて、入江くん骨折エピで逆ならどうなってたかなぁ、と思ったら最後、琴子はこんな痛い目に。ごめんね琴子、と思いながら書いていました。

私も琴子の頑張りを見習わないと……いかに日々、手を抜いて生きるかを考えているので(笑)

私が書く入江くんが「献身的に介護」しようとすると、なんだか大変大人なお話になってしまいそうなのが申し訳ないところです(^^;
後少しで終わりますので、ぜひまた見てやってください!コメントありがとうございました♪

>たーくんママ様 

おはようございます~♪
看護師さんのお仕事って、本当にハードなんですよね。いや、又聞きの又聞きなんですが…なので、ただでさえ頑張り屋さんな琴子なら、こういうこともあるかなって。
二か月の入院中はもちろん目いっぱい甘やかしてあげてほしいですよね(笑)
そうすると砂吐きエピだけで1話終わってしまいそうなので端折りますが♪あんなこともこんなこともwwwは…別話として書くつもりです!って、カギ付きなんですが…い、いいでしょうか??(ドキドキ)
コメントありがとうございました!

>たらこ様 

同じです、同じです!私も日々、いかに手抜きをするかを考えて暮らしています!(何の自慢にもならないけど)
とりあえず今日の夕飯が面倒で、お惣菜で済ませたい気分80%。夕飯時までに100%になる可能性が高いです(笑)
入江くんが甘い看護をすると、とても病院では過ごせなくなりそうですよ~。鼻血ぶーでw
ピタッと仲良しになれるよう、妄想を形にしますね!ぜひぜひ見ていってくださいませ♪
コメントありがとうございました。

>吉キチ様 

直樹も悪気はないんですけどね(^^;
いつも通りしてたら、琴子の方がいつもとは違ったという……でも、こういうことって割とあるのかなぁ、なんて。入江くんって天才ですが、こと琴子に関しては普通の人になるところが大好きです(^^)普段なら気づくところを見逃しちゃったり。

琴子の前で彼が出てくるか・・・出てきたら、間違いなく裏行きになりそうです(笑)
片鱗くらい見せてくれないとラブラブが書けないので、私も「彼」の登場を期待してます(^^)
コメントありがとうございました!

拍手お返事 

>naotti3様

こんばんは~(^^)琴子ちゃんは80%ということがないような気がして、やるなら0か100か、というイメージで書きました。
そんなガッツに入江くんも惚れたんだと思いますし♪今回は誰が悪いってことはないお話なので、この後彼が目いっぱい甘やかしてくれることを願ってます(笑)
皆さんにバケツ必要でしたって言ってもらえるくらい甘いのが書けるといいんですが……入江くんに頑張ってもらいます(>▽<)/
コメントありがとうございました!



>紀子ママ様

そうなんです、そんな琴子が私も大好きで~!金ちゃん風に言うなら「いじらしゅうお前が可愛くて」という感じでしょうか。きっと入江くんも同じなんじゃないかと♪
しかし、優しさを表現できる入江くん……裕樹くんとか見たら、鳥肌立てて「おおお、お兄ちゃん!?」って青くなってそうな気がします。私は見てみたいですが(笑)
コメントありがとうございました!


>TOM様

それだけ頑張っちゃう琴子が可愛くて可愛くて…!という気分な入江くんは、この後また暴走しちゃうからヨロシク★(★つけても可愛くならなかった…)
確かに琴子みたいな女の子っていないよね。普通ならどうしたって自分のことだって可愛いく思えちゃうし…自分より他人優先の子で、厭味にならない子って貴重だと思う(^^)どっちかって言うと、男第一の女って好きじゃないんだけど、入江くん第一の琴子は大好きなんだよね。可愛いからかな。
入江くんが本当に尽すのは、続きのR18の方かも~(笑)1話で終わらせようと思ったら入江くんが弾けちゃって2話になりそうだしwwww甘いっていうかえろいっていうか、またしても「これで表…?」という感じになりそうだけど、覚悟よろしくwwwwwコメントありがとうね(^^)/

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