*初恋*

スポンサー広告

スポンサーサイト

 
 Night which thinks of you Likes you who do your best -1-
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ   3kaku_s_L.png   スポンサー広告
*Edit   

「二次創作」
短編

marry me?

 
 Night which thinks of you Likes you who do your best -1-
何で今更、という気がしなくもないのですが、来年まで取っておくとまた忘れそうなので(笑)


marry me?




 俺は今、銀座に来ている。
 お袋にせっつかれたこともあるけど、何より、自分で選びたかった物の為に。
 本当は仕事は忙しいし、昼飯食う時間も惜しいくらいだから、今こうしている時間が余裕の末のものではないことは間違いない。
 沙穂子さんの時には秘書任せでいいと思っていたんだけどな……俺もたいがい現金だ。
 相手があいつっていうだけで、人任せにしたくないと思っている。
 これでよく、あいつじゃない女と結婚しようなんて思ったもんだ。
 自分自身に呆れながら、俺はショップに足を踏み入れた。


 いくつもの煌びやかなリングの中から、琴子をイメージしていく。
 ゴテゴテしたのは似合わない。シンプルに立て爪か…いや、でもこれだと、そそっかしい琴子のことだから、ぶつけたり服にひっかけて騒ぎそうだな。
 エタニティ・リングを順番に見ていく。
 店員が俺に声をかけて、一つ一つ説明をしてくれたけど、俺はあるリングで目を留めていた。
 ハートシェイプのダイヤモンドが飾る、華やかなリング。もう少しシンプルなものでも、と一瞬思ったけど、ハートシェイプっていうのがあいつらしい気がした。
 俺はエンゲージリングをそれに決めると、マリッジリングも一緒に購入することにした。俺もつけるから、これは絶対にシンプルなやつがいい。
 本当は二人で選んでもいいんだけどな…マリッジリングは。でも俺たちの場合、いかんせん時間が足りないから。俺の見立てで我慢してもらおう。
 店員の勧めで、指輪に文字を彫ってもらうことにした。マリッジリングは結婚式を挙げる日とかでいいけど、エンゲージリングの方は少し悩んで、イタリア語で掘ってもらうことにした。
 素直に英語にしてもらわなかったのは、そんな言葉を、あいつでも調べればわかりそうな英語で掘ってもらうのが気恥ずかしかったからだ。
 だからまあ、別にイタリア語でなくても、フランス語でもドイツ語でも何でもよかったんだけど。
 
「こちらでよろしいですか?」
「ええ」

 一週間ほどお時間を言われて、ギリギリ間に合うと安堵した。
 さて、どうやって渡そうか?



         *******



「la mia gioia ed il mio amore.」

 日本語で書くと、俺には似合わないようなクサイ台詞も、こうして横文字になるとそれらしく受け入れられるから不思議だ。
 指定された日にリングを受け取った俺は、鞄の中でひっそりと眠るそれについて考えを巡らせていた。
 マリッジリングの方はお袋に預けておけばいいとして。
 問題はエンゲージリングだな。こればっかりは、結婚式の前に渡しておかないと格好がつかない。
 お袋プランだと、満点の星空の見える草原の下で、愛を囁きながら渡せとのことだけど――ほんと、我が親ながらアホだな。
 どこにそんな時間があって、この東京のどこにそんな場所があるってんだ?
 それがダメなら、ロイヤルホテルのスウィートルームで~なんてほざいてだけど、くどいようだがそんな時間はない。それならヘリで空中散歩とかも抜かしてやがったけど、もうそこまで行くと妄想の域に達していたので無視した。
 しょうもないお袋の提案を思い出しているうちに、ハイヤーが自宅前に到着する。
 ったく、結局何も浮かばなかったじゃねぇか。
 運転手にチケットを渡してハイヤーを降りた俺は、エンゲージリングを箱から出してスーツの内ポケットに移し、家に入った。
 
「お帰り、入江くん!」
「…ただいま」

 玄関を開けると、琴子が出迎えてくれた。
 どうやら二階から見ていたらしく、パジャマの上にカーディガンを羽織っただけの軽装で駆けつけてくれたらしい。
 
「起きてたのか?」
「うん。もうすぐ…だなって思ったら眠れなくって」

 ま、そうだろうな。俺だってリングを用意しているものの、どこまで実感があるのかは怪しい。
 琴子は恥ずかしそうに目を伏せ、えへへと笑った。そして、俺の鞄とコートを受け取ると、パタパタと俺の後をついてくる。
 裕樹を起こすのも可哀想だから、俺は部屋には戻らずリビングに入った。
 リビングの隅にあったポールにコートをかけ、琴子が甲斐甲斐しく俺の周りをウロウロしている。

「琴子、コーヒー飲みたい」
「はぁい」

 もう他の家人は寝てしまったのか、起きている気配もなければ、起きてくる様子もない。
 キッチンへと消える琴子を見送りながら、このリングを渡すなら今かな、と思った。逆に言うと、今を逃すとタイミングがないような気がした。
 俺はどっかりとソファーに座り、ネクタイを緩める。
 コーヒーを持ってきた琴子が、あ、と声を上げた。

「そういうの、いいね」
「何が?」
「だから…そういう、ネクタイをちょっと緩めてっていうの。入江くんが男の人に見える」

 …こいつ、俺を一体なんだと。
 リビングテーブルにコーヒーを置き、琴子はくすぐったそうに笑っている。
 俺はため息をついて、琴子を抱き寄せた。

「俺、男なんだけど?」
「いいい、入江くん!?」

 俺が琴子の腹の辺りに顔を埋めて抱き寄せているせいか、琴子が泡食っている。
 薄い腹が震えるのがおかしくて、俺は喉を鳴らして笑った。
 そのまま琴子の足を足払いで掬い、膝の上に抱え上げる。鳩が豆鉄砲食らったような顔っていう比喩があるけど、まさにそんな感じの顔で、琴子が俺を見上げた。
 膝に抱えるくらい、足払いとかしなくても、もっとこうスマートにできるといいんだけどな。
 ま、今は無理だな。おとなしく膝の上にいてくれるだけでもヨシとしなくては。
 俺は琴子を横抱きにして腕に閉じ込め、艶やかな髪にそっとキスをした。

「…入江くん……」
「もうすぐだな、式」
「う、うん…」

 琴子の小さな手が、俺のワイシャツをきゅっと掴む。まだ俺に甘えることに慣れていないのか(まあ、俺も甘えさせることに慣れてるわけじゃないけど)琴子は落ち着きなくもぞもぞしていた。
 それを腕で押さえつけ、小さくて柔らかい琴子の体を抱きしめる。
 気付かれないようにスーツの内ポケットから指輪を出して、右手に忍ばせた。

「今日何してたんだ?」
「ん?えっとね、ブライダルネイルしてもらってきた。あたし、よくわかんないから初めてだったんだけど…ほら、綺麗でしょ?」

 桜色だった爪が、何やら飾り付けられている。男の俺にはよくわらかないけど、琴子らしさを失うことのないデザインが施されていて、特別な日にはいいのかなと漠然と思った。同時に、爪先一つとっても、もうすぐ二人にとって特別なことがあるのだと示されているようで、妙な気分にもなる。
 俺は素知らぬ顔で琴子の手を取り、華奢な左手に指輪を嵌めた。
 鈍い琴子は最初のうち気付かなかったようだけど。 
 俺がコーヒーに口をつける頃になって、ようやく「あ!」と間抜けな声を上げた。

「いいい、い、い、入江くん!!」
「何だよ」
「これ…あたしの指にいつの間にか!」

 いや、いつの間にかって手品じゃあるまいし。
 俺は思わずぶっと吹き出してしまった。こいつ、やっぱり期待を裏切らないな!
 琴子の左手を取り、俺は琴子を覗き込む。大きな目に、楽しそうに笑う俺が映っていた。
 そうだ、こいつのこんな些細な反応ひとつが楽しくて、嬉しくて、愛しいんだ。
 俺はエンゲージリングの輝く琴子の左手にキスを落とす。 

「俺と結婚してくれますか?相原琴子さん」
「――え?」

 間抜け面をさらして、琴子が俺を見つめる。
 化粧もしていないのに色づいた琴子の唇が、信じられないと言わんばかりにぷるぷると震えた。

「返事は?」
「あ、え……は、はい!」

 素っ頓狂な声で琴子が答え、俺はようやく安堵した。
 思い返せば、肝心の琴子に何も言ってなかったからな。俺は別にプロポーズの言葉なんてどうでもいいけど、後でこいつやお袋がギャンギャン言い出しそうなことではあるから。
 それに、まあ……。

「う、うう、嬉しいよぉ…入江くんがあたしにプロポーズしてくれたぁ…!」

 こんな風に泣いて喜んでくれる琴子を見たかったのもあるし。
 
「ばーか、こんなことで泣くなよ」
「だってだって!うぇえぇぇ~~~」

 泣きじゃくる琴子をぎゅうっと抱きしめる。
 琴子もまた、俺の背中に腕を回して抱きついてきた。
 ああもう!式を挙げるまでは手は出さないって決めてたってのに、人の理性を打ち砕こうとするやつだな、こいつは!
 
「大好きだよ」
「ん、ん……あたしも好きぃ…」

 首振り人形みたいに何度も頷く琴子にキスをして、宥める。
 琴子はようやく俺とのキスに騒がなくなってきてるけど、まだまだ体が硬い。こればっかは慣れだから仕方ないか。
 ちゅ、と音を立てて唇が離れると、琴子がふふっと笑った。
 左手の薬指に輝く指輪を見て、うっとりと目を細めている。

「えへへ…なんか、今日は夢みたいな日になったわ」
「ふーん」
「あの入江くんから指輪をもらって、しかも……結婚してくれますか、だって!ぷぷっ…入江くんがしてくれますかって言うなんて!」

 ……頭ひっぱたいても文句言われないだろ、これは。
 俺は半眼で琴子を見る。
 琴子はすぐにその視線に気づいて「ひっ」と息をのんだけど、遅ぇよバーカ!
 指輪回収すんぞ!?
 琴子が甘えるように俺を下から見上げる。

「えと、あのね。入江くんっぽくないなぁって思っただけでね?嬉しかったんだよ!」
「あっそ」
「あー、怒った!怒ったでしょ!?」

 怒った…違う。怒る気にもならねぇ。
 さっきまでいいムードだったと思うのに、こいつはあっという間にぶち壊すんだからな。おかげで俺の理性は救われたけど。
 琴子は指輪を愛しそうに撫でて、ちら、と俺を上目遣いで見た。
 
「入江くんらしい台詞で言い直す?」

 何だよ、俺らしい台詞って。
 先を促すと、琴子が得意げに胸を張った。

「俺と結婚するぞ!とか。結婚してやるから手を出せ!とか」
「…どんだけ俺様なんだよ」
「だって入江くんじゃない!神様俺様入江様でしょ!」
「………」

 お前は、本当に俺を何だと思ってるんだ!?
 よっぽど怒鳴りつけてやろうかと思ったけど、でも、琴子があんまり嬉しそうに笑うものだから、俺の怒りなんて些細なものに思えてしまう。 
 確かに琴子の言う通り、今までの俺ならそういう感じなんだろう。
 でも俺だって、惚れた女にプロポーズするならちゃんとするんだけどな。ま、こいつに言うだけもったいないから言ってやらない。
 俺は無邪気に笑う琴子の丸い額を指で跳ね、ぶーたれた小さな唇にその夜最後のキスをした。



 END



入江くんが彫った(ことにした)のは「私の喜び、私の愛」です。入江くんのそうした感情のすべては琴子によってもたらされてると思って……みたはいいものの、そんなセリフ彼が口にするはずもなく(^^;
指輪に彫った、ということにさせていただきました。
関連記事

総もくじ 3kaku_s_L.png 【二次創作】
もくじ   3kaku_s_L.png   短編
*Edit ▽CO[11]
Tag List  [ * ]    

~ Comment ~

 

青い入江でもなく、情熱の赤?いや陰謀渦巻く黒!?の調教師入江でもない、素直な入江くんもステキ~(つ´∀`)つ この入江くんを色に例えると・・ピンクってほど甘くないしなぁ~miyacoさん何色だと思います??

いやー 

熱々カップルの夜をこっそり覗かせてもらって いけない気分になりました! 熱いねラブラブだね。この たわいもないやりとりは 琴子だからできるし 沙穂子さんなら素の直樹にはなれないって事なんだよね。
琴子の上目遣いには直樹もノックアウト
新婚旅行最終日までお預けは可哀想
琴子って無邪気の塊で気づいてないのが可愛い!

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます

NoTitle 

あ~、顔がデレ~っとなるよ~・・・。
息子がすぐ傍で宿題してるんですが・・・(パス話じゃないから大丈夫と思って・・・)
ヤバイ、こんなデレデレ顔見せられな~い!無理に平静を装っております。
入江・・・マジシャンかよ!さすがだね!
甘~い2人のやり取りに酔わせていただきました。ありがとうございま~す!

>たらこ様 

素直な入江くんの色ですか!?ううう~~~ん、なんだろう…。
ピンクほど甘くもなく赤ほど情熱的でもなく…間を取ってオレンジ?でも暖色系のイメージがそもそもないし、難しいですね(笑)グリーンですかね、強いて言えば。青臭いような、爽やかなような。この後しばらくお預けを食らって、結婚後にピンクになってしまうので、随分寿命の短い色ですよね(笑)
楽しいコメントありがとうございました!

>さくら様 

そうなんです、この素直な入江くんを見られるのは琴子だけなんですよね(>▽<)
紀子ママですら、もう長いこと見ていないのではないかと思われます♪当然沙穂子さんじゃ無理で。
沙穂子さんが上目遣いで甘えても何とも思わなくても、琴子ならぐっときちゃうような入江くんが大好きです(笑)計算高い琴子って想像できないですよね。いつでも全力体当たりって感じで、そこがまた可愛いんですが。
入江くんもそう思ってるんじゃないかな、と思います(^^)
コメントありがとうございました!

>吉キチ様 

こんにちは!
琴子がお相手だからこそ、なのではないかと思って。琴子と結婚するに当たって、ママにもちょっとは感謝したと思うんですよ。彼女の暴走のお陰で、最高の虫よけができるんですもん。まあ、ママ自身が黙ってないというのも思い出した一因だとは思いますが(笑)
「神様俺様入江様」当たってました?ふふふ~、よかった~!安心しました(^^)
そしてそして、続きが聞こえてきてしまったのですね!?連夜に続く秘め事……ああ、素敵な響き…♪
裏を書きたいスイッチが入ってしまいそうです~!しばらく普通で行こうよ、と密かに思っていたのに(笑)
コメントありがとうございました(^^)

>たーくんママ様 

ふっふっふ…デレてしまいましたか(笑)私も携帯から皆様からのコメントを読んでいて思わずニヤけてしまうことがあるのですが、その時と一緒ですよね!唇がぴくぴくしそうになってます(笑)
マジシャン入江は他にもスキルがあって、主にベッドでなんですが、いつの間にかパンツとブラが消えているとか、いつの間にかひっくり返されている、なんてことがありますww
甘い二人もいいですよね♪また書きたいな~って思うので、その時はぜひお楽しみくださいませ(^^)
コメントありがとうございました!

拍手お返事 

>紀子ママ様

そうなんですよ!原作では「いいな、琴子」で終了で!
そりゃ、あれだけのことがあった末だし、琴子は大好きな入江くんと結婚できるなら何でもって思うかもしれませんが、やっぱりそこは妄想補完してこそ二次の醍醐味だろう!ということで(笑)それに指輪もないなんて、ママが黙ってなさそうですし(^^;
素敵と言っていただけて嬉しかったです!ありがとうございました(^^)!


>naotti3様

私もと~~っくのとうに忘れた雰囲気です。プロポーズ?何それ美味しいの?くらいの感じで。
あの短い婚約期間は唯一の恋人期間で、神戸時代と同じく滅多に会えない分、入江くんが割と素直にデレていたんじゃないかな、そうだといいな~って妄想してます♪琴子は急に変わった二人の距離に戸惑ってそうですが、琴子よりも切り替え早そうですけどね、入江くんは。
またこの頃の二人の甘いお話書いてみたいです!その時はまた楽しんでいただけますように頑張りますね♪
コメントありがとうございました!



>TOM様

あはは、確かに一番ノリノリで書けるのはR18入江かも!!いやもう、本当は頭の中では「恋人期間にアッチの基礎(最後まではしない)を教え込む調教師直樹」なんてネタもあったりするくらいでwww
一応、結婚式は特別だからカウントしてないってことで、誕生日には何ももらってないのは変えてないからOKかな~って思ったの。ここを楽しんでこその二次だ~!ってことで♪
この後猛獣になるために、餌には甘いお菓子を与えて油断させてるのね、きっと。
(ハワイの夜から帰ってきてまたしばらくお預けだし、入籍後の夜はそりゃあもう大変だったと思われwww完全!裏仕様wwww)メール、今週末にはお返事書けそうなので…ごめんね、いつも(><)

NoTitle 

初めまして、楽しく読ませていただいてます。イタキス私が学生の時から大好きなマンガでした。ワクワク・たまににやにやしながらよんでます

>えぐ様 

>えぐ様

初めまして!この辺境の地まで足を運んでいただき、ありがとうございます!
時々変な人たちも出てくる場所ですが、皆様のお眼鏡に適うような妄想をしていけたらと思いますので、よろしくお願いいたします(^^)
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
  • 【Night which thinks of you】へ
  • 【Likes you who do your best -1-】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。